short.1
カカシが友好関係である砂隠れの里からの要請で任務に行って2ヶ月が経った。
忍の足で三日の砂隠れに行こうと思えば行けるが、サクラも任務や病院勤務がありそれは難しかった。
そのためお互いに手紙を出し合って近況報告をしていた。
いのとこんな話をした、ナルトがまた馬鹿して綱手に怒られていたなどの話の書いて、カカシは任務の話は書けないが隊の人のこととか砂のご飯が美味しかったから一緒に食べに来ようとか他愛のないことを書き綴る。
そして毎回男と2人きりになるなとか男に愛想良くし過ぎるな、と嫉妬心丸出しの文章が書いてありため息が出る。
顔の半分以上を隠しても里の女達からモテるカカシこそ砂の女には気をつけて欲しいと思うが、そんなこと書いたらカカシが調子に乗るため書かない。
そんなカカシの手紙の最後には必ず「愛してる」と書いてある。
そのたった一言だけで嬉しくなり、そして会えない状況に涙が出る。
私も手紙の最後には「愛してる。無事に帰ってきて」と書き綴り早く会える日を祈るばかりだった。
そんな手紙のやり取りをしていた中、週に1回はカカシからの手紙が届いていたのにここ2週間手紙が届かなかった。
嫌な予感はしていたが、不安な気持ちを抑えていつも通りの手紙を出す。
きっと任務で忙しくて手紙を書く暇がないだけだ。
そう思い込むことしか私には出来なかった。
そんな私の願いは残酷にも突き落とされた。
『はたけカカシが重症をおって瀕死』
報告を受けた忍が慌てて火影室に飛んで入ってきて綱手に報告しているのを、火影室の奥で作業をしているときに聞いてしまった。
呼吸が苦しくなって目の前が真っ暗になる。
一緒に作業をしていたシズネの私を呼ぶ声を最後に完全に意識が無くなった。
****
目を覚ますと、見慣れない天井だった。
だが嗅ぎ慣れた消毒の匂いでここが病院で、私はベッドの上で寝ていたことが分かった。
ーー私、倒れたんだ・・・
すっかり夜になっていて電気も消されていたので真っ暗だった。
体を起こして点滴が刺さった左手で手元の電気をつけ点滴パックを見ると、見慣れた可愛らしい文字で「絶対安静!!」と書かれて思わず吹き出した。
私を見てくれたのはどうやらいのらしい。
体をベッドに戻して天井を見ていると、気を失う前のことを思い出して涙が溢れてくる。
「カカシ先生・・・」
顔に腕を覆い、声を殺して泣く。
今すぐ体を引きずってでも砂に行って先生に会いに行きたい。
私だったら先生を治せるかもしれない。
朝にでも綱手のところに行って許可を取りに行こう。
きっと許してくれないだろうけど、里を抜けてでも会いに行く。
止まらない涙に声を殺すことが出来なくなって口から漏れ出す。
「先生に会いたいよぉ・・・」
「サクラ」
幻聴が聴こえたと思った。
窓が開く音が聞こえて顔だけその方向を見る。
するとそこには会いたいと思っている人物が窓を乗り越えていた。
その人は私の側まで歩いてきて泣き顔の頬を一撫でした。
「体調はどう?」
「カ・・・カカシ・・・せんせ・・・」
幽霊を見たかのように目を見開くと、カカシは眉を下げて額にキスを落としてくれた。
それはいつもの大好きな唇の感触と温かさだった。
ようやく目の前にいるのがカカシ本人だと分かると私の涙は決壊してとめどなく溢れてくる。
体を起こして両腕を差し出すとカカシは片足をベッドに乗せて抱きしめてくれた。
包み込んでくれる体温と、大好きなカカシの匂いでやっと安心出来た。
「カカシせんせ・・・カカシ先生ぇ・・・」
私は声を出して泣き出すとカカシは背中を撫ででくれる。
「サクラ・・・会いたかった」
カカシはそう言って私の髪に顔を埋め、私は強くカカシを抱きしめた。
****
「落ち着いた?」
「うん・・・」
私は真っ赤な鼻を啜る。
久しぶりに会ってあんな大泣きしたところを見られ、恥ずかしくて下を向いていると頭を撫でられる。
「そういえば・・・カカシ先生、体は大丈夫なの!?大怪我で瀕死だって・・・」
「ああ・・・あれねぇ・・・」
私が慌てて頭を上げると、カカシは呆れたように眉を下げていた。
カカシの話によると、砂との野営中に敵襲にあったらしい。
木ノ葉と砂による先鋭のため劣るわけはなく、犠牲を出さずに敵を倒した。
だが、長く続いた雨のせいで地盤が緩み、味方の1人が足を滑らせ崖から落ちそうになったところをカカシが庇って崖から滑り落ちた。
そして雨で増水していた川にカカシは流されてしまい、それを見た味方は大慌て。
幸いすぐに川から出れて怪我も打撲や擦り傷で済んだのだが、慌てた伝令役がカカシを救出する前に木ノ葉に向かってしまったらしい。
砂から木ノ葉までは忍の足で3日。
怪我は軽度だか、どうせ伝令修正をするならと大事を取ってカカシが1人木ノ葉に帰ってきたのだ。
そしてカカシが木ノ葉の門にたどり着くと、門番のコテツとイズモが私と同じ顔をしていたらしい。
不思議に思いながら里を歩いているとすれ違う忍が皆同じ顔をしていて、そこでアスマと紅と出会うと2人も同じ顔をし、アスマにいたっては咥えタバコを落とした。
2人から話を聞いたら、話に尾ひれがついてカカシが瀕死になっていたのだ。
数時間前に瀕死の連絡を受けたカカシが呑気に里を歩いていた為、皆カカシが幽霊になって化けて出たと思って驚いていたらしい。
その足で火影室に行くと伝令役は腰を抜かしていたとか。
綱手から私が倒れたと聞いたカカシは慌てて病室に行くと、点滴を刺された真っ白な顔の私が寝ていた。
起きそうになかったので一旦家に帰ってまた来た、ということらしい。
カカシの話を聞いてようやくサクラの顔に笑みがうまれた。
「良かった・・・本当に良かった・・・」
気を抜いたらまた泣きそうになる私の肩をベッドに腰掛けたカカシが引き寄せて額に唇を寄せる。
「オレがサクラを置いていくわけないだろ。こんな泣き虫な子、心配で逝けないよ」
カカシは意地悪そうな顔をするので、私は頬を膨らませるとカカシは吹き出した。
「サクラ」
カカシは目を細め顔を近づけてくる。
「愛してるよ」
「私も愛してる」
そう言って私は目を閉じて、2ヶ月の空白を埋めるかのようなキスをした。
忍の足で三日の砂隠れに行こうと思えば行けるが、サクラも任務や病院勤務がありそれは難しかった。
そのためお互いに手紙を出し合って近況報告をしていた。
いのとこんな話をした、ナルトがまた馬鹿して綱手に怒られていたなどの話の書いて、カカシは任務の話は書けないが隊の人のこととか砂のご飯が美味しかったから一緒に食べに来ようとか他愛のないことを書き綴る。
そして毎回男と2人きりになるなとか男に愛想良くし過ぎるな、と嫉妬心丸出しの文章が書いてありため息が出る。
顔の半分以上を隠しても里の女達からモテるカカシこそ砂の女には気をつけて欲しいと思うが、そんなこと書いたらカカシが調子に乗るため書かない。
そんなカカシの手紙の最後には必ず「愛してる」と書いてある。
そのたった一言だけで嬉しくなり、そして会えない状況に涙が出る。
私も手紙の最後には「愛してる。無事に帰ってきて」と書き綴り早く会える日を祈るばかりだった。
そんな手紙のやり取りをしていた中、週に1回はカカシからの手紙が届いていたのにここ2週間手紙が届かなかった。
嫌な予感はしていたが、不安な気持ちを抑えていつも通りの手紙を出す。
きっと任務で忙しくて手紙を書く暇がないだけだ。
そう思い込むことしか私には出来なかった。
そんな私の願いは残酷にも突き落とされた。
『はたけカカシが重症をおって瀕死』
報告を受けた忍が慌てて火影室に飛んで入ってきて綱手に報告しているのを、火影室の奥で作業をしているときに聞いてしまった。
呼吸が苦しくなって目の前が真っ暗になる。
一緒に作業をしていたシズネの私を呼ぶ声を最後に完全に意識が無くなった。
****
目を覚ますと、見慣れない天井だった。
だが嗅ぎ慣れた消毒の匂いでここが病院で、私はベッドの上で寝ていたことが分かった。
ーー私、倒れたんだ・・・
すっかり夜になっていて電気も消されていたので真っ暗だった。
体を起こして点滴が刺さった左手で手元の電気をつけ点滴パックを見ると、見慣れた可愛らしい文字で「絶対安静!!」と書かれて思わず吹き出した。
私を見てくれたのはどうやらいのらしい。
体をベッドに戻して天井を見ていると、気を失う前のことを思い出して涙が溢れてくる。
「カカシ先生・・・」
顔に腕を覆い、声を殺して泣く。
今すぐ体を引きずってでも砂に行って先生に会いに行きたい。
私だったら先生を治せるかもしれない。
朝にでも綱手のところに行って許可を取りに行こう。
きっと許してくれないだろうけど、里を抜けてでも会いに行く。
止まらない涙に声を殺すことが出来なくなって口から漏れ出す。
「先生に会いたいよぉ・・・」
「サクラ」
幻聴が聴こえたと思った。
窓が開く音が聞こえて顔だけその方向を見る。
するとそこには会いたいと思っている人物が窓を乗り越えていた。
その人は私の側まで歩いてきて泣き顔の頬を一撫でした。
「体調はどう?」
「カ・・・カカシ・・・せんせ・・・」
幽霊を見たかのように目を見開くと、カカシは眉を下げて額にキスを落としてくれた。
それはいつもの大好きな唇の感触と温かさだった。
ようやく目の前にいるのがカカシ本人だと分かると私の涙は決壊してとめどなく溢れてくる。
体を起こして両腕を差し出すとカカシは片足をベッドに乗せて抱きしめてくれた。
包み込んでくれる体温と、大好きなカカシの匂いでやっと安心出来た。
「カカシせんせ・・・カカシ先生ぇ・・・」
私は声を出して泣き出すとカカシは背中を撫ででくれる。
「サクラ・・・会いたかった」
カカシはそう言って私の髪に顔を埋め、私は強くカカシを抱きしめた。
****
「落ち着いた?」
「うん・・・」
私は真っ赤な鼻を啜る。
久しぶりに会ってあんな大泣きしたところを見られ、恥ずかしくて下を向いていると頭を撫でられる。
「そういえば・・・カカシ先生、体は大丈夫なの!?大怪我で瀕死だって・・・」
「ああ・・・あれねぇ・・・」
私が慌てて頭を上げると、カカシは呆れたように眉を下げていた。
カカシの話によると、砂との野営中に敵襲にあったらしい。
木ノ葉と砂による先鋭のため劣るわけはなく、犠牲を出さずに敵を倒した。
だが、長く続いた雨のせいで地盤が緩み、味方の1人が足を滑らせ崖から落ちそうになったところをカカシが庇って崖から滑り落ちた。
そして雨で増水していた川にカカシは流されてしまい、それを見た味方は大慌て。
幸いすぐに川から出れて怪我も打撲や擦り傷で済んだのだが、慌てた伝令役がカカシを救出する前に木ノ葉に向かってしまったらしい。
砂から木ノ葉までは忍の足で3日。
怪我は軽度だか、どうせ伝令修正をするならと大事を取ってカカシが1人木ノ葉に帰ってきたのだ。
そしてカカシが木ノ葉の門にたどり着くと、門番のコテツとイズモが私と同じ顔をしていたらしい。
不思議に思いながら里を歩いているとすれ違う忍が皆同じ顔をしていて、そこでアスマと紅と出会うと2人も同じ顔をし、アスマにいたっては咥えタバコを落とした。
2人から話を聞いたら、話に尾ひれがついてカカシが瀕死になっていたのだ。
数時間前に瀕死の連絡を受けたカカシが呑気に里を歩いていた為、皆カカシが幽霊になって化けて出たと思って驚いていたらしい。
その足で火影室に行くと伝令役は腰を抜かしていたとか。
綱手から私が倒れたと聞いたカカシは慌てて病室に行くと、点滴を刺された真っ白な顔の私が寝ていた。
起きそうになかったので一旦家に帰ってまた来た、ということらしい。
カカシの話を聞いてようやくサクラの顔に笑みがうまれた。
「良かった・・・本当に良かった・・・」
気を抜いたらまた泣きそうになる私の肩をベッドに腰掛けたカカシが引き寄せて額に唇を寄せる。
「オレがサクラを置いていくわけないだろ。こんな泣き虫な子、心配で逝けないよ」
カカシは意地悪そうな顔をするので、私は頬を膨らませるとカカシは吹き出した。
「サクラ」
カカシは目を細め顔を近づけてくる。
「愛してるよ」
「私も愛してる」
そう言って私は目を閉じて、2ヶ月の空白を埋めるかのようなキスをした。
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