始まる恋
オビトはリンが好き。
リンはオレが好き。
ミナト先生はクシナさん。
ナルトはサクラ。
サクラはサスケ。
サスケも恐らくサクラが好き。
ならオレは?
****
「サスケくん!一緒に帰らない?」
「断る」
「そう・・・」
「サクラちゃん!オレは大丈夫だってばよ!」
「いや!」
「そんなぁ・・・」
毎日毎日飽きもせず同じことの繰り返し。
何がそんなに良いのやら。
「あ、カカシ先生!」
お疲れ、と2人の横を通り過ぎるとサクラに声をかけられる。
「ん?」
「報告書出しに行くんでしょ?付いて行ってもいい?」
「別にいいけど?」
「やった!じゃあね、ナルトー」
「ちぇー・・・」
サクラは片手をポケットに突っ込むオレの腕を掴み、もう片方でナルトに手を振ってその場を離れた。
「で?」
「え?」
「何か企んでるだろ」
「あ、バレた?」
「サクラが何もなく付いていくなんて言わないでしょ」
「失礼ね。ちょっとあんみつ食べたいなーって思って」
「で、先生に奢らせるつもりだ」
「テヘッ」
サクラは舌を出して可愛く笑う。
そんなサクラに苦笑しながらも甘い自分がいる。
一人前の忍にするならこんなふうに甘やかしたらいけないと分かっているのに、唯一女の子のサクラに対しては他の2人より甘やかしている自覚はある。
サクラもそれが分かってるのか思い切り我儘を言ってオレの財布を狙っているのだ。
サクラに急かされて手を引っぱられるのをただ従うしかなかった。
****
「んー!おいしー!」
「それは良かったデス」
リスのように頬に詰め込んで美味しそうにあんみつを食べるサクラを呆れたように見る。
甘いものが好きではないので心太を頼んで食べる。
「ね、サクラ」
「なに?」
「サクラはさ、何で邪険に扱われて振られるって分かってるのにサスケを追いかけるんだ?」
オレの質問にサクラはポカンとして、すぐに眉と目を吊り上げる。
「何それ。なんで振られる確定なのよ。もしかしたら明日は受け入れられるかもしれないじゃない」
「そうか?」
「そうなの!それにアピールしないと他の子に取られるかもしれないじゃない!せっかく同じ班になったのに」
「ふーん。大変だねぇ」
他人事のように(他人事なのだが)返事をすると、サクラがジッと見ていることに気づいた。
「なに?」
「大変だなって。カカシ先生って誰かを好きになったことないの?」
「ないねぇ」
「大人なのに?」
「それどころじゃなかったからね。今はお前たちの世話で誰かと恋愛する余裕なんてないし」
「勿体ないわね」
「・・・勿体無い?」
まさかそんなことを言われるとは思わなくて聞き返す。
「だって人を好きになるって素敵なことよ?本当に好きになった人いないの?」
「うーん・・・ないねぇ」
眉を下げて笑うとサクラはスプーンをガジガジ噛む。
「うーん。先生の好きの心がどこかで迷子になってるのかもね」
「迷子?」
サクラの言葉に首を傾げる。
「そう、迷子。誰かを好きって気持ちが無いんじゃなくて、行き場を失ってるだけで無いわけじゃないのよ。先生に似てフラッとしてるのね」
「ひどいなぁ」
ひどい言われように苦笑すると、サクラはピッとスプーンで指してくる。
「先生、目瞑ってみてよ」
「目?」
「そう。目を瞑って、最初に思い浮かべた人のことが1番大切なんじゃない?」
サクラに言われて目を瞑り、暫くして開ける。
「どう?誰か出てきた?」
「うん」
「ならその人が気になるのよ!」
「でもさぁ、もうその人に他に好きな人がいたらダメじゃない?」
「付き合ってたらダメだけど、そうじゃなかったら良いんじゃない?」
「良いの?」
「うん。猛アピールしてこっちに気持ちを向けさせればいいのよ」
「そっか。ならさサクラ。オレと付き合ってよ」
「は?」
掬ったさくらんぼがスプーンから落ちて転がる。
しかしサクラはそれに気づかず固まる。
「・・・何かの冗談?」
「んー、冗談じゃないんだな、コレが」
「いや、いやいやいや。私子供で生徒よ!?」
「だってサクラが出てきたし。サクラが言ったんだから責任取ってよ」
「む、無理!私はサスケくんが好きなの!」
「でもさ、好きな奴がいても猛アピールしていいんでしょ?付き合ってないんだし」
「う・・・!」
言葉を詰まらすサクラのスプーンを持つ手に自分の手を重ねるとサクラの体が大げさなほど跳ねる。
「ね、オレのことも考えてよ」
「う、ば、か、か、か・・・」
「か?」
顔を真っ赤にして口から言葉にならないことを言っているかと思ったら勢いよく立ち上がって。
「帰る!!」
サクラは周りの客の注目を浴びながら走って店から出て行った。
オレはサクラが去って行った方向を見ながら喉の奥で笑い、明日からどうアプローチしようかとサクラが残したあんみつをスプーンで掬って口に運ぶ。
「・・・あま」
リンはオレが好き。
ミナト先生はクシナさん。
ナルトはサクラ。
サクラはサスケ。
サスケも恐らくサクラが好き。
ならオレは?
****
「サスケくん!一緒に帰らない?」
「断る」
「そう・・・」
「サクラちゃん!オレは大丈夫だってばよ!」
「いや!」
「そんなぁ・・・」
毎日毎日飽きもせず同じことの繰り返し。
何がそんなに良いのやら。
「あ、カカシ先生!」
お疲れ、と2人の横を通り過ぎるとサクラに声をかけられる。
「ん?」
「報告書出しに行くんでしょ?付いて行ってもいい?」
「別にいいけど?」
「やった!じゃあね、ナルトー」
「ちぇー・・・」
サクラは片手をポケットに突っ込むオレの腕を掴み、もう片方でナルトに手を振ってその場を離れた。
「で?」
「え?」
「何か企んでるだろ」
「あ、バレた?」
「サクラが何もなく付いていくなんて言わないでしょ」
「失礼ね。ちょっとあんみつ食べたいなーって思って」
「で、先生に奢らせるつもりだ」
「テヘッ」
サクラは舌を出して可愛く笑う。
そんなサクラに苦笑しながらも甘い自分がいる。
一人前の忍にするならこんなふうに甘やかしたらいけないと分かっているのに、唯一女の子のサクラに対しては他の2人より甘やかしている自覚はある。
サクラもそれが分かってるのか思い切り我儘を言ってオレの財布を狙っているのだ。
サクラに急かされて手を引っぱられるのをただ従うしかなかった。
****
「んー!おいしー!」
「それは良かったデス」
リスのように頬に詰め込んで美味しそうにあんみつを食べるサクラを呆れたように見る。
甘いものが好きではないので心太を頼んで食べる。
「ね、サクラ」
「なに?」
「サクラはさ、何で邪険に扱われて振られるって分かってるのにサスケを追いかけるんだ?」
オレの質問にサクラはポカンとして、すぐに眉と目を吊り上げる。
「何それ。なんで振られる確定なのよ。もしかしたら明日は受け入れられるかもしれないじゃない」
「そうか?」
「そうなの!それにアピールしないと他の子に取られるかもしれないじゃない!せっかく同じ班になったのに」
「ふーん。大変だねぇ」
他人事のように(他人事なのだが)返事をすると、サクラがジッと見ていることに気づいた。
「なに?」
「大変だなって。カカシ先生って誰かを好きになったことないの?」
「ないねぇ」
「大人なのに?」
「それどころじゃなかったからね。今はお前たちの世話で誰かと恋愛する余裕なんてないし」
「勿体ないわね」
「・・・勿体無い?」
まさかそんなことを言われるとは思わなくて聞き返す。
「だって人を好きになるって素敵なことよ?本当に好きになった人いないの?」
「うーん・・・ないねぇ」
眉を下げて笑うとサクラはスプーンをガジガジ噛む。
「うーん。先生の好きの心がどこかで迷子になってるのかもね」
「迷子?」
サクラの言葉に首を傾げる。
「そう、迷子。誰かを好きって気持ちが無いんじゃなくて、行き場を失ってるだけで無いわけじゃないのよ。先生に似てフラッとしてるのね」
「ひどいなぁ」
ひどい言われように苦笑すると、サクラはピッとスプーンで指してくる。
「先生、目瞑ってみてよ」
「目?」
「そう。目を瞑って、最初に思い浮かべた人のことが1番大切なんじゃない?」
サクラに言われて目を瞑り、暫くして開ける。
「どう?誰か出てきた?」
「うん」
「ならその人が気になるのよ!」
「でもさぁ、もうその人に他に好きな人がいたらダメじゃない?」
「付き合ってたらダメだけど、そうじゃなかったら良いんじゃない?」
「良いの?」
「うん。猛アピールしてこっちに気持ちを向けさせればいいのよ」
「そっか。ならさサクラ。オレと付き合ってよ」
「は?」
掬ったさくらんぼがスプーンから落ちて転がる。
しかしサクラはそれに気づかず固まる。
「・・・何かの冗談?」
「んー、冗談じゃないんだな、コレが」
「いや、いやいやいや。私子供で生徒よ!?」
「だってサクラが出てきたし。サクラが言ったんだから責任取ってよ」
「む、無理!私はサスケくんが好きなの!」
「でもさ、好きな奴がいても猛アピールしていいんでしょ?付き合ってないんだし」
「う・・・!」
言葉を詰まらすサクラのスプーンを持つ手に自分の手を重ねるとサクラの体が大げさなほど跳ねる。
「ね、オレのことも考えてよ」
「う、ば、か、か、か・・・」
「か?」
顔を真っ赤にして口から言葉にならないことを言っているかと思ったら勢いよく立ち上がって。
「帰る!!」
サクラは周りの客の注目を浴びながら走って店から出て行った。
オレはサクラが去って行った方向を見ながら喉の奥で笑い、明日からどうアプローチしようかとサクラが残したあんみつをスプーンで掬って口に運ぶ。
「・・・あま」
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