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好きな人の好きなものって気になるわよね。






「あ、これもだ」

私は常連になっている図書館で、ある棚に入ってる1冊を手に取って裏表紙を捲る。
裏表紙に付いてある貸し出しカードに書かれた名前に無意識に頬が緩む。
いつだったか、何となく借りた本の貸し出しカードに見知った名前があることに気づいた。
それから何回かカードにその名前が書いてある本を見つけた。
その人の後に何人が借りているなら最近ではない。
もしかしたら私ぐらいの時かもしれない。
たった六文字。
その本人に毎日のように会ってるのに、私の知らないあの人を本を読んで身近に感じれる気がする。
私は書いてある名前をそっと撫で、その下の空欄に自分の名前を書いた。



****



「・・・あれ」

調べ物をしに図書館に来たら奥の席で薄紅色の髪を見つけた。
近づくと、開いた本の上でうつ伏せで気持ちよさそうに寝ているサクラ。
近くに何冊か本が置いてあるのを見ると結構な時間本を読んでいたらしい。
任務が終わった後にこうやって自分に足りないことを一生懸命補おうとするサクラをいつも目で追っていた。
分からない時は聞きに来て、分かった時に嬉しそうに笑うサクラを見ているとオレも嬉しくなる。
だから聞かれて分からないことがあってはならないと時々図書館に赴いていた。
そろそろ暗くなるから起こした方がいいのだろうが、どうせ送っていくからもう少し寝かせておこうと起こさないようにそっと頭を撫で、目的の本棚に向かう。

本棚を見ると何冊か抜けていた。
サクラが持っている本だろうか。
上から指差しで探し、昔読んだ目的の本を見つけて取る。
ペラペラとページを捲ると、パラっと貸し出しカードが落ちる。
拾うとカードに書かれた名前にサクラの名前を見つける。
これも読んでるのか、と勉強熱心な部下に頬が緩む。
他にも借りようと本を手に取り内容を確認する。
ふと気になり、この本の貸し出しカードを見る。
借りた名前の中に昔借りる時に書いたオレの名前がある。
そして数人の下にまたサクラの名前が。
オレは他にも借りたことのある本を手に取ってカードを見ると、全部にオレの名前とサクラの名前が書いてあった。
別に忍術に関する本なのだからか同じのを見てても別に気にすることはないのだが。
何故かそれが気になって本を戻してサクラの元に戻る。

まだ寝ているサクラを起こさぬように静かに前の椅子を引いて座り、サクラの近くに積んである本を手に取り背表紙を捲る。
カードを見ればやはりオレの名前がある。
サクラが枕にしている本にも見覚えがあった。
本当勉強熱心だな、この子は。
今度分かりやすい本でも教えてやろうかね。


そんなことを思いながら眠るサクラの髪を触りながら微笑ましく見ていたカカシ。
何故サクラがカカシが読んだことのある本ばかりを読んでいるのか。
まだサクラの密かな想いには気づいていないカカシなのであった。


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