short.1
アスマは自分を恨んだ。
何故、上忍待機所に来てしまったのかと。
いつものように部屋に入ると何かを蹴ってしまった。
足元を見れば、任務服を着てうつ伏せで寝転がる、ナニか。
顔は見えないが髪はボサボサした銀髪で、それだけで分かるのだから嫌になる。
ソレを足で軽く蹴るがビクともしない。
触らぬ神に祟りなし。
部屋を出ようと踵を返すと。
ガッ。
足首を強く掴まれる。
肩越しに見れば、先程と変わらず寝転がっているが、アスマの足をガッツリ掴んでいた。
振り払おうとしてもビクともしない。
「・・・何だよ」
諦めて転がるのに話しかける。
「・・・サクラと喧嘩した」
──だから話を聞け。
アスマは心底ここに来ようと思った自分を恨んだ。
****
「──で、原因は」
ソファーを座り直してカカシの話を聞くことに。
「・・・昨日、病院の先輩と同期とでご飯に食べに行っていいかって相談されたんだ」
項垂れるカカシのその言葉だけで何があったのか容易に分かった。
「ダメって言ったんだろ」
アスマが先に言うと、カカシはゆっくりと頷く。
「男も一緒だって言うんだぞ!?しかも夜!そんなのダメに決まってるデショ!?」
ガバッと勢いよく顔を上げたカカシは涙を滲ませていた。
「あんなに可愛いんだからきっと狙ってる男なんて絶対いる・・・そしたらお持ち帰りなんてことだって・・・」
「まぁ、ありえるかもなぁ」
面倒でそう言うと、とうとうカカシは顔に手を当てて泣き出した。
慰める気もないので煙草の煙を吐き出す。
カカシとサクラが付き合っていることは忍に関わるやつなら誰しも知っていることだ。
カカシと付き合うようになってサクラが綺麗になったといのが言っていた。
女の目から見てそうなのだから男からだったら魅力的に映るのかもしれない。
だがそこいらの男がこの男に勝てるはずはなく。
それを分かって手を出す馬鹿か、知らないで手を出す馬鹿か。
どちらにしろ命はないだろう。
鬱陶しく泣くカカシを横目に見ていると、部屋のドアが開く。
「あら、カカシ?あんたいつからいるの?」
入ってきた紅は不思議そうにこちらに近づいてくる。
「いつからって・・・1時間ぐらい前からだけど」
そんなに前から床に転がっていたのか。
「じゃあさっきのは別の男だったのね」
ガバッ!
「サクラが男といたのか!!」
カカシは勢いよく立ち上がって紅の肩を掴む。
誰とは言ってないのに分かったらしい。
「ついさっきよ。ピンクの髪だったからサクラちゃんだと思うわ。カカシがよく行く忍具屋の店の前で任務服を着た男の人と一緒にいたから、てっきりカカシかと・・・、ってあら」
紅が少し目線をずらして戻すとそこには誰もいなくなっていた。
アスマは呆れたように出入り口を見るので紅も同じ方向を見ればドアがギィギィと揺れていた。
****
「サクラぁぁぁぁ!!」
「きゃあ!!」
店の前で商品を見ていたサクラに思い切り抱きつくとサクラが驚いて叫ぶ。
「か、カカシ先生!?なんでここに・・・」
「紅がサクラが男と一緒にいたって教えてって・・・あれ、ヤマト」
サクラの隣にいた男の顔を睨むように見ると、そいつは誰よりも慕ってくれる後輩のヤマトだった。
「何やってるんですか先輩」
「それはこっちのセリフでしょ・・・なんで2人でいるんだ?」
「サクラに先輩と喧嘩して仲直りにプレゼント贈りたいから一緒に見てくれってお願いされたので」
「や、ヤマト隊長!それは先生には内緒って言ったじゃないですか!」
「もう本人に見られたんだから無理だろう?」
腕の中で真っ赤にして恥ずかしそうに震えるサクラ。
可愛すぎる。
デレっと顔を緩ませるカカシの頭の中には喧嘩をしていたっということは抜け落ちていた。
「じゃあ僕は帰りますので。明日、報告楽しみにしてます」
「あ、ヤマト隊長、ありがとうございました!」
踵を返すヤマトに慌ててサクラがお礼を言うと、ヤマトは背を向けたまま手を上げて去っていった。
カカシがサクラを見ると、何とも微妙な顔をしている。
「・・・ごめん。昨日は言いすぎた」
カカシは頭を掻きながら謝ると、サクラは首が取れそうなほどに頭を横に振る。
「私こそごめんなさい。先生は心配してくれてたのに」
眉を下げて泣きそうな顔で見上げてくるサクラの顔が可愛くて額にキスをする。
「で、オレへのプレゼントは決まった?」
「ううん、まだ・・・。クナイって思ったけど消耗品より残るのがいいかなって。こっちのホルスターとポーチどっちがいい?」
サクラは展示されているクナイと手裏剣が入るホルスターと腰に付けるポーチを手に取る。
どっちも古くなってきてそろそろ替えようかなと考えていたからどっちでもいいのだが。
それよりもいいものをカカシは知っている。
「それより欲しいのがあるんだけど」
「なに?私でも買える?」
「うん。サクラにしか無理かな」
首を傾げるサクラに微笑み、可愛らしい耳に口を寄せる。
「サクラが欲しい。お持ち帰り、してもいい?」
そう囁くと一瞬で耳まで真っ赤になり、口をパクパクさせるサクラ。
それがもう可愛くて。
カカシは愛おしそうにサクラを抱き抱えて自分の家へと一足飛びで帰ったのだった。
何故、上忍待機所に来てしまったのかと。
いつものように部屋に入ると何かを蹴ってしまった。
足元を見れば、任務服を着てうつ伏せで寝転がる、ナニか。
顔は見えないが髪はボサボサした銀髪で、それだけで分かるのだから嫌になる。
ソレを足で軽く蹴るがビクともしない。
触らぬ神に祟りなし。
部屋を出ようと踵を返すと。
ガッ。
足首を強く掴まれる。
肩越しに見れば、先程と変わらず寝転がっているが、アスマの足をガッツリ掴んでいた。
振り払おうとしてもビクともしない。
「・・・何だよ」
諦めて転がるのに話しかける。
「・・・サクラと喧嘩した」
──だから話を聞け。
アスマは心底ここに来ようと思った自分を恨んだ。
****
「──で、原因は」
ソファーを座り直してカカシの話を聞くことに。
「・・・昨日、病院の先輩と同期とでご飯に食べに行っていいかって相談されたんだ」
項垂れるカカシのその言葉だけで何があったのか容易に分かった。
「ダメって言ったんだろ」
アスマが先に言うと、カカシはゆっくりと頷く。
「男も一緒だって言うんだぞ!?しかも夜!そんなのダメに決まってるデショ!?」
ガバッと勢いよく顔を上げたカカシは涙を滲ませていた。
「あんなに可愛いんだからきっと狙ってる男なんて絶対いる・・・そしたらお持ち帰りなんてことだって・・・」
「まぁ、ありえるかもなぁ」
面倒でそう言うと、とうとうカカシは顔に手を当てて泣き出した。
慰める気もないので煙草の煙を吐き出す。
カカシとサクラが付き合っていることは忍に関わるやつなら誰しも知っていることだ。
カカシと付き合うようになってサクラが綺麗になったといのが言っていた。
女の目から見てそうなのだから男からだったら魅力的に映るのかもしれない。
だがそこいらの男がこの男に勝てるはずはなく。
それを分かって手を出す馬鹿か、知らないで手を出す馬鹿か。
どちらにしろ命はないだろう。
鬱陶しく泣くカカシを横目に見ていると、部屋のドアが開く。
「あら、カカシ?あんたいつからいるの?」
入ってきた紅は不思議そうにこちらに近づいてくる。
「いつからって・・・1時間ぐらい前からだけど」
そんなに前から床に転がっていたのか。
「じゃあさっきのは別の男だったのね」
ガバッ!
「サクラが男といたのか!!」
カカシは勢いよく立ち上がって紅の肩を掴む。
誰とは言ってないのに分かったらしい。
「ついさっきよ。ピンクの髪だったからサクラちゃんだと思うわ。カカシがよく行く忍具屋の店の前で任務服を着た男の人と一緒にいたから、てっきりカカシかと・・・、ってあら」
紅が少し目線をずらして戻すとそこには誰もいなくなっていた。
アスマは呆れたように出入り口を見るので紅も同じ方向を見ればドアがギィギィと揺れていた。
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「サクラぁぁぁぁ!!」
「きゃあ!!」
店の前で商品を見ていたサクラに思い切り抱きつくとサクラが驚いて叫ぶ。
「か、カカシ先生!?なんでここに・・・」
「紅がサクラが男と一緒にいたって教えてって・・・あれ、ヤマト」
サクラの隣にいた男の顔を睨むように見ると、そいつは誰よりも慕ってくれる後輩のヤマトだった。
「何やってるんですか先輩」
「それはこっちのセリフでしょ・・・なんで2人でいるんだ?」
「サクラに先輩と喧嘩して仲直りにプレゼント贈りたいから一緒に見てくれってお願いされたので」
「や、ヤマト隊長!それは先生には内緒って言ったじゃないですか!」
「もう本人に見られたんだから無理だろう?」
腕の中で真っ赤にして恥ずかしそうに震えるサクラ。
可愛すぎる。
デレっと顔を緩ませるカカシの頭の中には喧嘩をしていたっということは抜け落ちていた。
「じゃあ僕は帰りますので。明日、報告楽しみにしてます」
「あ、ヤマト隊長、ありがとうございました!」
踵を返すヤマトに慌ててサクラがお礼を言うと、ヤマトは背を向けたまま手を上げて去っていった。
カカシがサクラを見ると、何とも微妙な顔をしている。
「・・・ごめん。昨日は言いすぎた」
カカシは頭を掻きながら謝ると、サクラは首が取れそうなほどに頭を横に振る。
「私こそごめんなさい。先生は心配してくれてたのに」
眉を下げて泣きそうな顔で見上げてくるサクラの顔が可愛くて額にキスをする。
「で、オレへのプレゼントは決まった?」
「ううん、まだ・・・。クナイって思ったけど消耗品より残るのがいいかなって。こっちのホルスターとポーチどっちがいい?」
サクラは展示されているクナイと手裏剣が入るホルスターと腰に付けるポーチを手に取る。
どっちも古くなってきてそろそろ替えようかなと考えていたからどっちでもいいのだが。
それよりもいいものをカカシは知っている。
「それより欲しいのがあるんだけど」
「なに?私でも買える?」
「うん。サクラにしか無理かな」
首を傾げるサクラに微笑み、可愛らしい耳に口を寄せる。
「サクラが欲しい。お持ち帰り、してもいい?」
そう囁くと一瞬で耳まで真っ赤になり、口をパクパクさせるサクラ。
それがもう可愛くて。
カカシは愛おしそうにサクラを抱き抱えて自分の家へと一足飛びで帰ったのだった。
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