short.1
10月10日はうずまきナルト、オレの誕生日。
親がいないオレを今まで祝う奴はいなかった。
あ、三代目のじーちゃんからプレゼントは毎年贈られてきてたけど。
里の奴らに嫌われていたオレは毎年1人で誕生日を迎えてきた。
しかし今年からは違う!
イルカ先生もいるし、カカシ先生やサクラちゃん、あとサスケ。
こんなに誕生日が来るのが楽しみなのは初めてだ!!
****
「なぁ、なぁ、サクラちゃん」
「なに?」
任務終わり、サスケに振られて帰ろうとするサクラちゃんに声をかける。
「明日、任務が終わった後なんだけどさ──」
「ごめん!」
サクラちゃんはオレの言葉を聞かずにパンッと手を合わせてくる。
「明日親とご飯食べに行く約束してて、任務終わったらすぐ帰らないといけないのよ」
「そ、そっか!ご飯楽しんできてってばよ!」
「うん!それじゃあ、また明日ね」
「また明日ー・・・」
手を振って去っていくサクラちゃんに同じように手を振り、見えなくなってから静かにため息を吐く。
すると後ろから頭をポンっと手を置かれ、振り返るとカカシ先生が立っていた。
「どうしたナルト」
「カカシ先生・・・」
せっかくの誕生日、好きな子と過ごそうとしていたのにテンションが下がってしまった。
でも1人で過ごすよりかはいいか。
「なぁ、なぁ、カカシ先生」
「んー?」
「明日任務終わった後なんだけど──」
「あー、悪い。今日の夜からオレだけ任務入ってんだわ」
「あー・・・そうなんだ」
「悪いな」
カカシ先生はオレの頭をクシャリと撫でて去って行く。
オレはその背を見て「ちぇっ」と足元の石を蹴った。
****
次の日の朝。
カカシ先生の任務が長引いて七班の任務は休みという連絡が入った。
しかもサクラちゃんが風邪で休み。
お見舞いに行こうかと思ったらサスケが気を使わせるから止めてと言ってきたので諦めた。
サスケと別れてから真っ直ぐ家に帰る気分でもなかったのでアカデミーに行く。
イルカ先生がいるかなって思ったら今日は休みだと言われた。
ちぇっ、とまたブラブラと歩き、一楽に行く。
昼には少し早いから客がおらず、おっちゃんと姉ちゃんに誕生日を祝ってもらい、しかもサービスで全種盛り!
暫く2人と喋っていたが、昼時になり忙しくなってきたので店を出る。
沈んでいた気持ちはどこかに行ってしまい、鼻歌を歌いながら歩く。
まだ家に帰りたい気持ちではなかった。
そこで、任務から帰ってきたシカマルやキバに祝って貰おうと思いつく。
だいたい夕方ぐらいか、とその時間までブラブラ歩いたり木の上に登ってボーとしながら帰ってくるのを待った。
しかし日が暮れてきても知り合いは誰も帰ってこない。
気づかぬ内に帰ってきたのか、泊まりがけの任務なのか。
そろそろ腹が減ってくる。
帰ってくるのを諦めて木から落ちる。
夕飯も一楽で、と思って店に行ったら大繁盛で席が空いていなかった。
せっかくどっかに行っていた沈んだ気持ちが戻ってきて、それを振り切るように全力で走った。
肩で息をしながら自分の家に帰り着く。
はぁ、と息を吐いて玄関の鍵穴に鍵を差し込んで回す。
が、音がしない。
家を出る時閉め忘れたかな、と首を傾げてドアを開ける。
パン、パン、パァン!!!
「誕生日おめでとう、ナルト!!」
破裂音と共にカラフルなテープが飛んでくる。
尻餅をついたオレは目と口をこれでもかというぐらい開き、パチパチと瞬きをする。
「大丈夫?ナルト」
未だに立ち上がれないオレに手を差し伸べるサクラちゃんと、後ろにサスケ。
その手を取って部屋の中に入ると。
「おっせーぞナルト!チョージが腹減って食べようとするの止めるの大変だったんだぞ!」
「だってポテチ食べきっちゃったんだもん」
「キバ、チョージ・・・」
「ちょっとシカマル!ご飯運ぶの手伝いなさいよ!」
「へいへい・・・めんどくせーなー・・・」
「いの・・・シカマル・・・」
狭い部屋の中で同期たちが騒いでいた。
部屋の奥にはカカシ先生とイルカ先生もいる。
「あ、あの、ナルトくん・・・」
未だに状況についていけないオレにヒナタが話しかける。
「お、お誕生日おめでとう・・・」
「あ、ありがとうだってばよ・・・」
ヒナタが綺麗な花束を渡してくるので受け取る。
黄色やオレンジの花で作られた花束。
初めて貰ったそれに嬉しくなる。
「じゃなくて!!サクラちゃん!!」
ほんわかしていたが、それどころではない。
「なに?」
キッチンでいのとご飯の準備をしていたサクラちゃんを呼ぶ。
「どうして部屋にみんなが・・・、てか、風邪は!?」
「あぁ、あれ嘘」
「う、そぉ・・・?」
「前からこのパーティーをみんなで企画してたのよ。ビックリした?」
「ビックリしすぎてまだ状況が分かってないってばよ・・・」
「ふふん!作戦大成功ね!!」
サクラちゃんはいのとヒナタとハイタッチをする。
いつも静かな部屋の中は人の話し声で満たされていて。
それが嬉しくて嬉しくて、ようやく実感が湧いてきて口がムズムズしてくる。
そんなオレの後ろからカカシ先生が頭にポンっと手をおいてきて。
振り返るとニッコリと笑う先生。
「13歳の誕生日おめでとう、ナルト」
みんなからもお祝いの言葉が飛び交う。
今までこんなふうに誰かにお祝いされたことがなかった。
オレは涙が溢れそうになるのを堪えて満面の笑みで。
「ありがとうだってばよ!!」
親がいないオレを今まで祝う奴はいなかった。
あ、三代目のじーちゃんからプレゼントは毎年贈られてきてたけど。
里の奴らに嫌われていたオレは毎年1人で誕生日を迎えてきた。
しかし今年からは違う!
イルカ先生もいるし、カカシ先生やサクラちゃん、あとサスケ。
こんなに誕生日が来るのが楽しみなのは初めてだ!!
****
「なぁ、なぁ、サクラちゃん」
「なに?」
任務終わり、サスケに振られて帰ろうとするサクラちゃんに声をかける。
「明日、任務が終わった後なんだけどさ──」
「ごめん!」
サクラちゃんはオレの言葉を聞かずにパンッと手を合わせてくる。
「明日親とご飯食べに行く約束してて、任務終わったらすぐ帰らないといけないのよ」
「そ、そっか!ご飯楽しんできてってばよ!」
「うん!それじゃあ、また明日ね」
「また明日ー・・・」
手を振って去っていくサクラちゃんに同じように手を振り、見えなくなってから静かにため息を吐く。
すると後ろから頭をポンっと手を置かれ、振り返るとカカシ先生が立っていた。
「どうしたナルト」
「カカシ先生・・・」
せっかくの誕生日、好きな子と過ごそうとしていたのにテンションが下がってしまった。
でも1人で過ごすよりかはいいか。
「なぁ、なぁ、カカシ先生」
「んー?」
「明日任務終わった後なんだけど──」
「あー、悪い。今日の夜からオレだけ任務入ってんだわ」
「あー・・・そうなんだ」
「悪いな」
カカシ先生はオレの頭をクシャリと撫でて去って行く。
オレはその背を見て「ちぇっ」と足元の石を蹴った。
****
次の日の朝。
カカシ先生の任務が長引いて七班の任務は休みという連絡が入った。
しかもサクラちゃんが風邪で休み。
お見舞いに行こうかと思ったらサスケが気を使わせるから止めてと言ってきたので諦めた。
サスケと別れてから真っ直ぐ家に帰る気分でもなかったのでアカデミーに行く。
イルカ先生がいるかなって思ったら今日は休みだと言われた。
ちぇっ、とまたブラブラと歩き、一楽に行く。
昼には少し早いから客がおらず、おっちゃんと姉ちゃんに誕生日を祝ってもらい、しかもサービスで全種盛り!
暫く2人と喋っていたが、昼時になり忙しくなってきたので店を出る。
沈んでいた気持ちはどこかに行ってしまい、鼻歌を歌いながら歩く。
まだ家に帰りたい気持ちではなかった。
そこで、任務から帰ってきたシカマルやキバに祝って貰おうと思いつく。
だいたい夕方ぐらいか、とその時間までブラブラ歩いたり木の上に登ってボーとしながら帰ってくるのを待った。
しかし日が暮れてきても知り合いは誰も帰ってこない。
気づかぬ内に帰ってきたのか、泊まりがけの任務なのか。
そろそろ腹が減ってくる。
帰ってくるのを諦めて木から落ちる。
夕飯も一楽で、と思って店に行ったら大繁盛で席が空いていなかった。
せっかくどっかに行っていた沈んだ気持ちが戻ってきて、それを振り切るように全力で走った。
肩で息をしながら自分の家に帰り着く。
はぁ、と息を吐いて玄関の鍵穴に鍵を差し込んで回す。
が、音がしない。
家を出る時閉め忘れたかな、と首を傾げてドアを開ける。
パン、パン、パァン!!!
「誕生日おめでとう、ナルト!!」
破裂音と共にカラフルなテープが飛んでくる。
尻餅をついたオレは目と口をこれでもかというぐらい開き、パチパチと瞬きをする。
「大丈夫?ナルト」
未だに立ち上がれないオレに手を差し伸べるサクラちゃんと、後ろにサスケ。
その手を取って部屋の中に入ると。
「おっせーぞナルト!チョージが腹減って食べようとするの止めるの大変だったんだぞ!」
「だってポテチ食べきっちゃったんだもん」
「キバ、チョージ・・・」
「ちょっとシカマル!ご飯運ぶの手伝いなさいよ!」
「へいへい・・・めんどくせーなー・・・」
「いの・・・シカマル・・・」
狭い部屋の中で同期たちが騒いでいた。
部屋の奥にはカカシ先生とイルカ先生もいる。
「あ、あの、ナルトくん・・・」
未だに状況についていけないオレにヒナタが話しかける。
「お、お誕生日おめでとう・・・」
「あ、ありがとうだってばよ・・・」
ヒナタが綺麗な花束を渡してくるので受け取る。
黄色やオレンジの花で作られた花束。
初めて貰ったそれに嬉しくなる。
「じゃなくて!!サクラちゃん!!」
ほんわかしていたが、それどころではない。
「なに?」
キッチンでいのとご飯の準備をしていたサクラちゃんを呼ぶ。
「どうして部屋にみんなが・・・、てか、風邪は!?」
「あぁ、あれ嘘」
「う、そぉ・・・?」
「前からこのパーティーをみんなで企画してたのよ。ビックリした?」
「ビックリしすぎてまだ状況が分かってないってばよ・・・」
「ふふん!作戦大成功ね!!」
サクラちゃんはいのとヒナタとハイタッチをする。
いつも静かな部屋の中は人の話し声で満たされていて。
それが嬉しくて嬉しくて、ようやく実感が湧いてきて口がムズムズしてくる。
そんなオレの後ろからカカシ先生が頭にポンっと手をおいてきて。
振り返るとニッコリと笑う先生。
「13歳の誕生日おめでとう、ナルト」
みんなからもお祝いの言葉が飛び交う。
今までこんなふうに誰かにお祝いされたことがなかった。
オレは涙が溢れそうになるのを堪えて満面の笑みで。
「ありがとうだってばよ!!」
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