short.1
里で一番大きな木の一番上の枝に座り、自分が守ってきた里を見下ろす。
うちはマダラによって引き起こされた忍界大戦は数多の犠牲によって終りを迎えた。
綱手様から火影を譲り受け、六代目として戦争で傷ついた里を復興していった。
業務は綱手様より明らかに多く、家に帰れない日も続いた。
疲れた時はここに来て賑わう里を見て心を癒す。
こうやって頑張れば里のみんなの笑顔が増えていくのが目に見えるから頑張れる。
それとオレが頑張る理由はもう1つ。
世界を救った英雄として知らない人はいないと言われるほどになった教え子。
そして次の火影になるべくオレとイルカ先生とでスカスカの頭に色々詰め込んだのが懐かしい。
そんな少年のためにちゃんと土台を作った。
それがオビトとの約束だからだ。
そしてその座を青年に譲り渡した。
暫く里を見ていた。
夏も終わり秋に季節が変わってから夜は少し肌寒くなってきた。
長いするつもりがなかったから薄着で出てきたので、そろそろ帰るかーと思っていると座る枝が大きく揺れる。
「やっぱりここにいた」
聞き慣れた声に顔を上げると、そこにはもう1人の教え子であるサクラが立っていた。
全く気づかなかったのはオレが歳を取ったからか、それとも彼女が上忍になり医療の要になるほどに成長したからか。
「サクラ」
「風邪ひきますよ」
サクラは持ってきたブランケットを肩にかけてくれる。
「悪いね」
「いいえ。でももう歳なんだからこんなところに長く居たら体壊しますよ」
「歳って・・・まだピチピチよ?」
「46はもうピチピチじゃないです。もう中年ですよ」
「ちゅ・・・人が気にしてることを・・・」
ガクリ、と項垂れるとサクラはクスクスと笑い、隣に腰掛ける。
「サクラこそ薄着じゃないか。ほら、こっちおいで」
「え・・・」
肩にかけたブランケットの片方を広げると、サクラは困ったような顔をする。
「ほら」
「し、失礼します・・・」
他人行儀みたいなことを言ってこっちに少し体を寄せるので腰を引き寄せて同じブランケットで温まる。
「はー。サクラは暖かいねぇ」
横のサクラの頭にポテンと頭を乗せるとサクラの体が強ばったのが分かる。
「・・・せんせ、私いくつになったか分かります?」
「分かるよ。えーと・・・32?」
「そう。もう立派な大人の女性なんだから子供扱いしないでください」
「してないよ」
「嘘。今子供だから暖かいって思ったでしょ」
「はは、バレてたか」
「もう・・・」
頬を膨らませる顔はいくつになっても変わらないな、と懐かしい気持ちになる。
「もう32か・・・早いねぇ」
「それ、いつも言ってますよね。おじさんだから?」
「相変わらずサクラはひどいなぁ。20年前はあんなに素直で可愛かったのに」
「純粋だった頃に子供の前で18禁本読む大人に出会ったらこうもなります」
「いい勉強出来たな」
「本当、悪いお手本になりましたよ。遅刻はするは嘘は吐くわ・・・。これが里の長だったなんて未だに信じられないわ」
ふぅ、とサクラは遠い目をする。
本当、こんなオレが里を治めていたなんて未だに信じられない。
しかしこの里の1つ1つの家の灯りを見ていると心が温かくなる。
初代と二代目から三代目、先生、五代目へと引き継がれてきたバトンを受け取り、それを弟子に渡した。
そして新しい世代も産まれていく。
これからはゆっくり過ごそう。
体を壊したガイと温泉旅も良いな。
そういえば。
「サクラはなんでここに来たんだ?」
「あ、そうだった!」
サクラはパッと立ち上がり手を差し伸べてくる。
「ナルトが時間空いたって言ってて、サスケくんもヤマト隊長も帰ってきてるから、久しぶりに七班で飲まないかって話したんですよ。先生、暇でしょ?」
「失礼な。予定があるかもしれないでしょ」
「予定があるならここにずっと居ないし、結婚もしてない恋人もいない人は暇以外ないのよ」
「本当失礼な子だね。それを言うならサクラだって同じでしょうが。何で結婚しなかったんだ?」
同期が結婚して子供も産まれてくる中、サクラは結婚をしなかった。
時々サスケが旅から帰ってきても、結婚どころか付き合うという話もない。
木から下りて1歩前を歩いていたサクラは振り向き、目をパチクリさせたかと思ったら妖しく微笑む。
その表情がもう子供には見えなくて、不覚にもドキッとしてしまった。
「ほーんと、先生は昔から疎いわよね」
「ん?どういうこと?」
「いいから早く行くわよ!みんな待ってるんだから!」
首を傾げるオレの手をサクラは無理やり取って走り出す。
その後ろ姿が、七班で活動していた時の任務帰りにのんびり歩いていたオレに痺れを切らしたサクラが手を引いて歩いてくれたことを思い出し、変わったようで変わらないサクラに自然と頬が緩んだ。
うちはマダラによって引き起こされた忍界大戦は数多の犠牲によって終りを迎えた。
綱手様から火影を譲り受け、六代目として戦争で傷ついた里を復興していった。
業務は綱手様より明らかに多く、家に帰れない日も続いた。
疲れた時はここに来て賑わう里を見て心を癒す。
こうやって頑張れば里のみんなの笑顔が増えていくのが目に見えるから頑張れる。
それとオレが頑張る理由はもう1つ。
世界を救った英雄として知らない人はいないと言われるほどになった教え子。
そして次の火影になるべくオレとイルカ先生とでスカスカの頭に色々詰め込んだのが懐かしい。
そんな少年のためにちゃんと土台を作った。
それがオビトとの約束だからだ。
そしてその座を青年に譲り渡した。
暫く里を見ていた。
夏も終わり秋に季節が変わってから夜は少し肌寒くなってきた。
長いするつもりがなかったから薄着で出てきたので、そろそろ帰るかーと思っていると座る枝が大きく揺れる。
「やっぱりここにいた」
聞き慣れた声に顔を上げると、そこにはもう1人の教え子であるサクラが立っていた。
全く気づかなかったのはオレが歳を取ったからか、それとも彼女が上忍になり医療の要になるほどに成長したからか。
「サクラ」
「風邪ひきますよ」
サクラは持ってきたブランケットを肩にかけてくれる。
「悪いね」
「いいえ。でももう歳なんだからこんなところに長く居たら体壊しますよ」
「歳って・・・まだピチピチよ?」
「46はもうピチピチじゃないです。もう中年ですよ」
「ちゅ・・・人が気にしてることを・・・」
ガクリ、と項垂れるとサクラはクスクスと笑い、隣に腰掛ける。
「サクラこそ薄着じゃないか。ほら、こっちおいで」
「え・・・」
肩にかけたブランケットの片方を広げると、サクラは困ったような顔をする。
「ほら」
「し、失礼します・・・」
他人行儀みたいなことを言ってこっちに少し体を寄せるので腰を引き寄せて同じブランケットで温まる。
「はー。サクラは暖かいねぇ」
横のサクラの頭にポテンと頭を乗せるとサクラの体が強ばったのが分かる。
「・・・せんせ、私いくつになったか分かります?」
「分かるよ。えーと・・・32?」
「そう。もう立派な大人の女性なんだから子供扱いしないでください」
「してないよ」
「嘘。今子供だから暖かいって思ったでしょ」
「はは、バレてたか」
「もう・・・」
頬を膨らませる顔はいくつになっても変わらないな、と懐かしい気持ちになる。
「もう32か・・・早いねぇ」
「それ、いつも言ってますよね。おじさんだから?」
「相変わらずサクラはひどいなぁ。20年前はあんなに素直で可愛かったのに」
「純粋だった頃に子供の前で18禁本読む大人に出会ったらこうもなります」
「いい勉強出来たな」
「本当、悪いお手本になりましたよ。遅刻はするは嘘は吐くわ・・・。これが里の長だったなんて未だに信じられないわ」
ふぅ、とサクラは遠い目をする。
本当、こんなオレが里を治めていたなんて未だに信じられない。
しかしこの里の1つ1つの家の灯りを見ていると心が温かくなる。
初代と二代目から三代目、先生、五代目へと引き継がれてきたバトンを受け取り、それを弟子に渡した。
そして新しい世代も産まれていく。
これからはゆっくり過ごそう。
体を壊したガイと温泉旅も良いな。
そういえば。
「サクラはなんでここに来たんだ?」
「あ、そうだった!」
サクラはパッと立ち上がり手を差し伸べてくる。
「ナルトが時間空いたって言ってて、サスケくんもヤマト隊長も帰ってきてるから、久しぶりに七班で飲まないかって話したんですよ。先生、暇でしょ?」
「失礼な。予定があるかもしれないでしょ」
「予定があるならここにずっと居ないし、結婚もしてない恋人もいない人は暇以外ないのよ」
「本当失礼な子だね。それを言うならサクラだって同じでしょうが。何で結婚しなかったんだ?」
同期が結婚して子供も産まれてくる中、サクラは結婚をしなかった。
時々サスケが旅から帰ってきても、結婚どころか付き合うという話もない。
木から下りて1歩前を歩いていたサクラは振り向き、目をパチクリさせたかと思ったら妖しく微笑む。
その表情がもう子供には見えなくて、不覚にもドキッとしてしまった。
「ほーんと、先生は昔から疎いわよね」
「ん?どういうこと?」
「いいから早く行くわよ!みんな待ってるんだから!」
首を傾げるオレの手をサクラは無理やり取って走り出す。
その後ろ姿が、七班で活動していた時の任務帰りにのんびり歩いていたオレに痺れを切らしたサクラが手を引いて歩いてくれたことを思い出し、変わったようで変わらないサクラに自然と頬が緩んだ。
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