short.1
先日、第八班、第十班、そして第七班の合同任務で功績を残したとして、火影様からご褒美に任務では泊まれない旅館での宿泊をプレゼントされた。
どうせならみんなで行こうということになり、同じ日に休みを取った。
のだが、ガイがどこからか話を聞きつけて「青春だ」と勝手に盛り上がり、ガイの自腹で第三班も一緒に行くことになった。
****
旅行当日。
大世帯でぞろぞろと里を出て、火の国の外れにある旅館に着く。
割り当てられた部屋で暫くくつろぎ、やることもなく旅館をブラブラ歩いていると目の前に卓球のラケットを持ったガイが仁王立ちで現れる。
「カカシ!勝負だ!!」
「ガイ・・・せっかくの旅行なんだからこんな時くらい勝負のことは忘れたら?」
「何を言っているんだ!ここでしかない勝負をするからこその青春だろう!」
「やれやれ・・・しょうがないねぇ」
オレはため息を吐いてガイの後を付いて歩くと、前からいのちゃんとサクラが歩いてくる。
「カカシ先生とガイ先生。また勝負ですか?」
「まあね。サクラ達は?」
「温泉に行こうかって話してたの」
「いいね。楽しんでおいで」
うん、と頷くサクラといのちゃんを見送り、またガイの後ろを歩いていると、後ろから若い男2人組が楽しそうに話しながら近づいてくる。
「なぁ。今の子達見たか?」
「ああ。金髪とピンク色の子だろ?」
ピクリ。
よく見知った容姿の子達の話が聞こえてきて耳を澄ます。
「すごい可愛かったよな。あの方向、温泉だよな?上がってきた時に声かけるか?」
「それいいな」
男達はこちらを気にすることもなく別の道に入り気配が遠くなる。
オレはまたため息を吐き、前を歩くガイに声をかける。
「なぁ、ガイ」
「なんだ?」
****
「あれ、カカシ先生?」
大浴場の前で待っていると暖簾を捲ってサクラが出てきて、オレを見て驚いた顔をする。
「よっ」
「先生も温泉入ったの?ガイ先生との勝負は?」
「やっぱり旅館に泊まったら温泉入らないとね」
「ふーん?」
サクラはそう言って、オレの上から下を見てくる。
いつもの任務服ではなく旅館の浴衣を着ている。
その下にいつものアンダーシャツを着て顔を隠してはいるが、格好が違うからかサクラはジロジロと見てきて、オレと目が合うと恥ずかしそうに目を逸らす。
なんだろうか、この可愛い生き物だ。
そんなサクラも浴衣を着て、湯上がりだからか白い肌がいつもより赤い。頬はもっと赤いが。
暑さで息を吐くのが色っぽく見えるのは気のせいだろうか。
「いのちゃんは?」
「いのはもうちょっと入ってくるって」
「そう」
オレはチラッと後ろを見る。
オレ達の後ろにあるマッサージチェアで年寄りのようにしているアスマは小さく手を挙げる。
「アスマ先生まだマッサージしてるのね。私たちが入る前からあそこにいるのよ」
「おじさんだから体が痛いんでしょ。──いてっ」
後ろから頭に何かが当たり、見れば床にピンポン球が落ちていた。
アスマを睨めば目を瞑りニヤニヤと笑っている。
どこから持ってきたのか。
「どうかした?先生」
「・・・いいや」
首を傾げるサクラに頭を摩りながら苦笑いをする。
「そういえば旅館の人から聞いたんだけど、中庭が紅葉が咲いてて綺麗なんだって!ナルトもサスケくんも誘ってみんなで見に行きましょ!」
「いいよ」
サクラのお誘いに快く返事をすると、サクラは嬉しそうに笑ってオレの手を握って引っ張る。
そのサクラの後ろ姿を微笑ましく見ながら横目でチラッと見ると、先程の男たちが悔しそうにこちらを見ていたのでマスクを付けているのをいいことに口角を上げる。
大事な子を誰かに触れさせるわけないよ。
オレは繋ぐ小さな手を少しだけ強く握った。
どうせならみんなで行こうということになり、同じ日に休みを取った。
のだが、ガイがどこからか話を聞きつけて「青春だ」と勝手に盛り上がり、ガイの自腹で第三班も一緒に行くことになった。
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旅行当日。
大世帯でぞろぞろと里を出て、火の国の外れにある旅館に着く。
割り当てられた部屋で暫くくつろぎ、やることもなく旅館をブラブラ歩いていると目の前に卓球のラケットを持ったガイが仁王立ちで現れる。
「カカシ!勝負だ!!」
「ガイ・・・せっかくの旅行なんだからこんな時くらい勝負のことは忘れたら?」
「何を言っているんだ!ここでしかない勝負をするからこその青春だろう!」
「やれやれ・・・しょうがないねぇ」
オレはため息を吐いてガイの後を付いて歩くと、前からいのちゃんとサクラが歩いてくる。
「カカシ先生とガイ先生。また勝負ですか?」
「まあね。サクラ達は?」
「温泉に行こうかって話してたの」
「いいね。楽しんでおいで」
うん、と頷くサクラといのちゃんを見送り、またガイの後ろを歩いていると、後ろから若い男2人組が楽しそうに話しながら近づいてくる。
「なぁ。今の子達見たか?」
「ああ。金髪とピンク色の子だろ?」
ピクリ。
よく見知った容姿の子達の話が聞こえてきて耳を澄ます。
「すごい可愛かったよな。あの方向、温泉だよな?上がってきた時に声かけるか?」
「それいいな」
男達はこちらを気にすることもなく別の道に入り気配が遠くなる。
オレはまたため息を吐き、前を歩くガイに声をかける。
「なぁ、ガイ」
「なんだ?」
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「あれ、カカシ先生?」
大浴場の前で待っていると暖簾を捲ってサクラが出てきて、オレを見て驚いた顔をする。
「よっ」
「先生も温泉入ったの?ガイ先生との勝負は?」
「やっぱり旅館に泊まったら温泉入らないとね」
「ふーん?」
サクラはそう言って、オレの上から下を見てくる。
いつもの任務服ではなく旅館の浴衣を着ている。
その下にいつものアンダーシャツを着て顔を隠してはいるが、格好が違うからかサクラはジロジロと見てきて、オレと目が合うと恥ずかしそうに目を逸らす。
なんだろうか、この可愛い生き物だ。
そんなサクラも浴衣を着て、湯上がりだからか白い肌がいつもより赤い。頬はもっと赤いが。
暑さで息を吐くのが色っぽく見えるのは気のせいだろうか。
「いのちゃんは?」
「いのはもうちょっと入ってくるって」
「そう」
オレはチラッと後ろを見る。
オレ達の後ろにあるマッサージチェアで年寄りのようにしているアスマは小さく手を挙げる。
「アスマ先生まだマッサージしてるのね。私たちが入る前からあそこにいるのよ」
「おじさんだから体が痛いんでしょ。──いてっ」
後ろから頭に何かが当たり、見れば床にピンポン球が落ちていた。
アスマを睨めば目を瞑りニヤニヤと笑っている。
どこから持ってきたのか。
「どうかした?先生」
「・・・いいや」
首を傾げるサクラに頭を摩りながら苦笑いをする。
「そういえば旅館の人から聞いたんだけど、中庭が紅葉が咲いてて綺麗なんだって!ナルトもサスケくんも誘ってみんなで見に行きましょ!」
「いいよ」
サクラのお誘いに快く返事をすると、サクラは嬉しそうに笑ってオレの手を握って引っ張る。
そのサクラの後ろ姿を微笑ましく見ながら横目でチラッと見ると、先程の男たちが悔しそうにこちらを見ていたのでマスクを付けているのをいいことに口角を上げる。
大事な子を誰かに触れさせるわけないよ。
オレは繋ぐ小さな手を少しだけ強く握った。
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