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同期で恋敵で

「サークラ」

修行が終わり、家に帰ろうとするサクラを呼び止める。

「なに?」
「今日の朝、甘味処の前通ったら期間限定のあんみつ出てるってあったから、これから一緒に──」
「よぉ」

可愛くて見上げてくるサクラに頬を緩ませていると後ろから声をかけられてその人物を見て「ゲッ」と嫌な声を出た。

「ゲンマさん、お疲れ様です」
「お疲れ」

サクラが挨拶をすると、楊枝を咥えたまま返すのはオレの同期の不知火ゲンマ。

「何か用?」
「まぁ、用があるっちゃあるんですけどね。カカシさんじゃなくてサクラに」
「私ですか?」

ゲンマはチラッとこちらを見てきて、その顔に嫌な予感がした。

「ようやく許可取れたぜ」
「本当ですか!」

ゲンマの言葉に瞳を輝かせるサクラ。

「あぁ。これからどうだ?」
「サクラ!」

サクラの意識がゲンマに移り始めて慌てて引き留める。

「あんみつ、今日までらしいから逃したらいつ食べれるか・・・」
「次いつ許可出るかわかんねぇなぁ」

サクラは困った顔でオレとゲンマを交互に見る。
そして。


「ごめんなさい!」

サクラが手を合わせて謝る。
オレに。

「あのね、すごい見たい巻物があるんだけどね、私じゃ許可取れなくて・・・そしたらゲンマさんが代わりに申請してくれたの」
「別にオレに言ってくれたら良かったのに・・・」
「カカシさんはあの本しか読まないからでしょ」
「他にも読むに決まってるだろ」
「見たことないですけどね」

大の男2人が睨み合っていると、下でサクラが困ったように見上げてくるのでオレは眉を下げて笑う。

「分かったよ。今度は付き合ってくれる?」
「うん!ありがとうカカシ先生!」

サクラは嬉しそうに腰に抱きついてくる。
そして大きく手を振ってゲンマと去って行くサクラ。
その時のゲンマの顔を見て、オレは大きくため息を吐いた。



****



次の日。

「サクラー」
「カカシ先生」

任務終わり、報告書を持ってサクラに声をかけると可愛らしく微笑む。

「今日また新しいの出ててるみたいだから──」
「ごめんなさい!!」

最後まで言わせて貰えず勢いよく手を合わせてくるサクラ。

「昨日だけで読み終えられなくて、ゲンマさんがまた許可取ってくれたの。だからこれからゲンマさんと行かなきゃいけなくて・・・」

本当に申し訳なさそうにするサクラの後ろで楊枝を咥えて立つ男がこっちを見る。
そして勝ち誇った顔で笑ってくるのを見て、オレはサクラの肩を思い切り掴む。

「オレも行くから」
「え」
「行くぞ」

オレはサクラの手を掴み、ゲンマの横を通り過ぎてその場所へと向かう。
後ろからサクラの戸惑う声と、呆れて笑う声を聞きながら。

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