short.1
「ねぇ、ホストしたんだって?」
「・・・誰から聞いたのさ」
部屋に遊びにきたサクラが隣でイチャパラを読むカカシに話しかける。
そのことを思い出したくもないという表情のカカシは眉間に皺を寄せてサクラを見る。
「誰でもいいじゃない。ね、本当?」
「本当だよ・・・百尾を捕まえようとオレとサスケ、我愛羅でね」
「ふーん・・・」
カカシは本を閉じてため息を吐く。
結局百尾だと思った女は勘違いで、店をめちゃくちゃにされたんだが・・・。
「ね、私もホスト体験したい!」
「はい!?」
「いいでしょ?」
サクラのとんでもない発言に素っ頓狂な声をあげるカカシ。
「いや、でももうあの店はないし。我愛羅も帰っちゃったし・・・」
「ならナルトとサスケくんと先生でいいから。おねがい」
サクラはカカシの胸元に手を置いて目を潤ませ、得意の上目遣いでお願いする。
カカシは昔からサクラのお願いに弱かった。
しかも恋人になってからは尚更。
サクラの可愛い表情にデレデレになったカカシは勝手に了承し、緊急の連絡を受けて里に帰ってきたサスケからの罵詈雑言を甘んじて受けたのだった。
****
コン、コン
部屋のドアがノックされる音を聞いて、カカシはゆっくりと開ける。
「どうぞ、お姫様」
サクラが部屋に入ると、スーツ姿の3人が出迎える。
ある一室を貸切り、あの時余った酒を飾って黒のカーテンで閉め切り、全体的に薄暗い雰囲気を作った。
即席サクラだけのホストクラブの完成だ。
カカシに促され、ソファーに座ると隣にサスケとナルトが座る。
「サクラちゃん、どう?似合う?」
素のままナルトは自分のスーツ姿をサクラに見せようするとサスケ側から勢いよくメニュー表が飛んでナルトの顔にいい音で当たる。
「いってー!何すんだってばよサスケ!!」
「お前こそシカマルから言われたことを忘れたのかウスラトンカチ。サクラは今は客だぞ。カカシと変わってこい」
サスケは後ろで酒の準備をしていたカカシを指差す。
ナルトはすごすごと引き下がり、ナルトの代わりにカカシがサクラの隣に座る。
ホスト役で顔を隠すというのもあれなので、いつもは付けている口布を外し素顔を晒して微笑む。
サクラにとって見慣れたはずの顔なのに、服装がいつもと違うってだけで別人な気がして胸がドキドキする。
そんなサクラの心情を見抜いてカカシはサクラの手を握って顔を覗き込みながらメニュー表を見せる。
「サクラ何飲む?オレが愛情込めて作るよ」
「え?」
隣にいるのに?と思ったらカカシが後ろを向くので同じ方向を見ると、そこにもカカシがいて手を振ってくる。
影分身か。こういう時便利だな、と感心していると。
「──それとも」
「ひゃっ!」
カカシがサクラの耳元に顔を寄せて低く囁く。
耳が弱いサクラは吐息が耳にかかり体が跳ねる。
「オレのオススメにする?」
サクラは囁かれた耳を押さえて顔を真っ赤にするとカカシはニヤニヤと笑う。
カカシはまた顔を近づけようとするのでそれをもう片方の手で阻止する。
「それでいいから!」
「はいはい。じゃあお願い」
「はいはい」とまた同じ声が聞こえてくる。
この男は揶揄うことに楽しみを見出しているから本当心臓がもたない。
とりあえず落ち着こうとカカシに背を向けると、サスケがサクラをじっと見ていてまた心臓が高鳴る。
初恋の男なんだからしょうがない。
後ろに恋人、前に初恋の男。
しかも2人ともイケメンだから落ち着くことが出来ない。
ナルトも大人になってイケメンと言われるようになり、イケメン3人に囲まれて羨ましいと私は何度周りに言われたことか。
そんなこと言われても班員だったんだからしょうがないじゃない。
「何考えてる」
「え!?いや別に・・・」
「当ててやろうか」
サスケが目を見開くサクラの頬に手を添えて、またイケメンの顔が近づいて頬を染めて固まっていると。
ガンッ
テーブルから勢いよく叩きつけられる音が聞こえて見ると、カカシの分身がお酒が入ったグラスを置いて、にっこり笑って離れていく。
サクラは嫌な予感がして後ろを振り返れば、本体のカカシも同じ顔で笑っていた。
嫉妬で怒っている。
そのことはサクラにしか分からない。
冷や汗をかいていると、サスケがサクラの頬を掴んで顔を戻させる。
「今はオレの番だろ」
「さ、サスケくんっ」
サスケが珍しく笑って胸が高鳴るが、後ろのカカシをどうにかしなければ大変なことになる、サクラが。
サクラは何とか手を伸ばして、先程カカシが作ってくれたお酒を勢いよく飲む。
「美味しい!もう1杯!」
****
カカシは酒が入ったグラスを回しながらため息を吐いた。
あれからサクラはサスケの旅の話に夢中だった。
その地の特有の物や医療体制のことを熱心に聞いていた。
サクラにとって大事なことだから応援はしたい。
しかし、恋人をほったからして惚れていた男に夢中になっているのはいかがなものか。
カカシが時計を見ると、この部屋を借りている時間があと30分で終わる。
片付けの時間も考えるとそろそろお開きだ。
「サクラ。最後に何したい」
サスケと楽しそうにしているサクラの肩を触ると、お酒を飲んで少し頬を赤くして瞳を潤ませる瞳がこちらを向く。
「そうね〜・・・」
サクラは宙を見て、ふふふと笑い。
「私のどこが可愛いか言って!」
いかにもホストクラブっぽいなぁ、と思いながらカカシは顎に手を当てて。
「うーん、えっちしてる時に白い肌が真っ赤になって瞳を潤ませて、可愛く縋って・・・」
「え?」
夜の時のサクラの可愛い姿を思い出しながらニヤニヤしていると、地獄の底から出たかのような声が聞こえた。
隣を見れば目が据わったサクラがこちらを睨んでいた。
怒ってるサクラも可愛いなぁ、なんて場違いなことを考えていると。
「この髪だな」
「え?」
サスケがサクラの髪を指に絡ませる。
「オレのために綺麗に伸ばされていた時も好きだったが、活発なお前にはこれぐらいが似合ってる。それに俯いたときに頸が見えてキスしたくなるな」
「さ、サスケくん・・・」
どうしたサスケ。
普段のサスケからは死んでも言いそうにない言葉を言い出し、あんぐりと口を開くカカシ。
サクラは恥ずかしそうに頬を染めている。
「その瞳」
サスケはサクラの翡翠の瞳を指差す。
「その瞳に見つめられるとどうにかしたくなる」
「サスケくん!」
何を思ったのかサクラはいきなりサスケの首に腕を回して抱きつく。
「さ、サクラ!離れなさい!!」
カカシは慌ててサクラの肩を掴んで2人を引き離すと、サクラはくてん、とオレの胸元に寄りかかり、サスケも引き剥がした反動で後ろに倒れる。
え、と思っていると、後ろで何かが倒れる音がして見ればナルトも床に倒れていた。
なんだ?とテーブルを見れば、サクラとサスケの前にカカシと同じぐらいの空のグラスが置いてあった。
そういえば、ナルトが分身のカカシからカクテルの作り方を教わって綺麗に出来たとたくさんテーブルに置いていった。
ナルトの方も見れば空のグラスが。
こいつらも成人したとはいえ、まだ酒には慣れていない。
度数が低いのを用意していたがこれだけ飲めば潰れるだろう。
そんなことにも気づかないなんてまだまだだな、と影分身のカカシと笑いあった。
そして、この片付けをカカシ1人でして3人を家まで送らないといけないということに2人はため息を吐いた。
****
それから影分身と片付け、もう1体分身を出してナルトとサスケを背負って送らせた。
本体のカカシはもちろんサクラを背負ってカカシの部屋へと向かう。
なんでこんなことになったのかねぇ、とため息を吐くと、背中で気持ちよさそうに寝ていたサクラがモゾモゾ動き出す。
サクラはカカシの首に頬を擦り寄せ、嬉しそうに笑ってからまた寝息をかきだす。
たったそれだけで幸せになれるんだからオレも簡単だなぁ、と頬を緩ませながらゆっくりと歩いた。
「・・・誰から聞いたのさ」
部屋に遊びにきたサクラが隣でイチャパラを読むカカシに話しかける。
そのことを思い出したくもないという表情のカカシは眉間に皺を寄せてサクラを見る。
「誰でもいいじゃない。ね、本当?」
「本当だよ・・・百尾を捕まえようとオレとサスケ、我愛羅でね」
「ふーん・・・」
カカシは本を閉じてため息を吐く。
結局百尾だと思った女は勘違いで、店をめちゃくちゃにされたんだが・・・。
「ね、私もホスト体験したい!」
「はい!?」
「いいでしょ?」
サクラのとんでもない発言に素っ頓狂な声をあげるカカシ。
「いや、でももうあの店はないし。我愛羅も帰っちゃったし・・・」
「ならナルトとサスケくんと先生でいいから。おねがい」
サクラはカカシの胸元に手を置いて目を潤ませ、得意の上目遣いでお願いする。
カカシは昔からサクラのお願いに弱かった。
しかも恋人になってからは尚更。
サクラの可愛い表情にデレデレになったカカシは勝手に了承し、緊急の連絡を受けて里に帰ってきたサスケからの罵詈雑言を甘んじて受けたのだった。
****
コン、コン
部屋のドアがノックされる音を聞いて、カカシはゆっくりと開ける。
「どうぞ、お姫様」
サクラが部屋に入ると、スーツ姿の3人が出迎える。
ある一室を貸切り、あの時余った酒を飾って黒のカーテンで閉め切り、全体的に薄暗い雰囲気を作った。
即席サクラだけのホストクラブの完成だ。
カカシに促され、ソファーに座ると隣にサスケとナルトが座る。
「サクラちゃん、どう?似合う?」
素のままナルトは自分のスーツ姿をサクラに見せようするとサスケ側から勢いよくメニュー表が飛んでナルトの顔にいい音で当たる。
「いってー!何すんだってばよサスケ!!」
「お前こそシカマルから言われたことを忘れたのかウスラトンカチ。サクラは今は客だぞ。カカシと変わってこい」
サスケは後ろで酒の準備をしていたカカシを指差す。
ナルトはすごすごと引き下がり、ナルトの代わりにカカシがサクラの隣に座る。
ホスト役で顔を隠すというのもあれなので、いつもは付けている口布を外し素顔を晒して微笑む。
サクラにとって見慣れたはずの顔なのに、服装がいつもと違うってだけで別人な気がして胸がドキドキする。
そんなサクラの心情を見抜いてカカシはサクラの手を握って顔を覗き込みながらメニュー表を見せる。
「サクラ何飲む?オレが愛情込めて作るよ」
「え?」
隣にいるのに?と思ったらカカシが後ろを向くので同じ方向を見ると、そこにもカカシがいて手を振ってくる。
影分身か。こういう時便利だな、と感心していると。
「──それとも」
「ひゃっ!」
カカシがサクラの耳元に顔を寄せて低く囁く。
耳が弱いサクラは吐息が耳にかかり体が跳ねる。
「オレのオススメにする?」
サクラは囁かれた耳を押さえて顔を真っ赤にするとカカシはニヤニヤと笑う。
カカシはまた顔を近づけようとするのでそれをもう片方の手で阻止する。
「それでいいから!」
「はいはい。じゃあお願い」
「はいはい」とまた同じ声が聞こえてくる。
この男は揶揄うことに楽しみを見出しているから本当心臓がもたない。
とりあえず落ち着こうとカカシに背を向けると、サスケがサクラをじっと見ていてまた心臓が高鳴る。
初恋の男なんだからしょうがない。
後ろに恋人、前に初恋の男。
しかも2人ともイケメンだから落ち着くことが出来ない。
ナルトも大人になってイケメンと言われるようになり、イケメン3人に囲まれて羨ましいと私は何度周りに言われたことか。
そんなこと言われても班員だったんだからしょうがないじゃない。
「何考えてる」
「え!?いや別に・・・」
「当ててやろうか」
サスケが目を見開くサクラの頬に手を添えて、またイケメンの顔が近づいて頬を染めて固まっていると。
ガンッ
テーブルから勢いよく叩きつけられる音が聞こえて見ると、カカシの分身がお酒が入ったグラスを置いて、にっこり笑って離れていく。
サクラは嫌な予感がして後ろを振り返れば、本体のカカシも同じ顔で笑っていた。
嫉妬で怒っている。
そのことはサクラにしか分からない。
冷や汗をかいていると、サスケがサクラの頬を掴んで顔を戻させる。
「今はオレの番だろ」
「さ、サスケくんっ」
サスケが珍しく笑って胸が高鳴るが、後ろのカカシをどうにかしなければ大変なことになる、サクラが。
サクラは何とか手を伸ばして、先程カカシが作ってくれたお酒を勢いよく飲む。
「美味しい!もう1杯!」
****
カカシは酒が入ったグラスを回しながらため息を吐いた。
あれからサクラはサスケの旅の話に夢中だった。
その地の特有の物や医療体制のことを熱心に聞いていた。
サクラにとって大事なことだから応援はしたい。
しかし、恋人をほったからして惚れていた男に夢中になっているのはいかがなものか。
カカシが時計を見ると、この部屋を借りている時間があと30分で終わる。
片付けの時間も考えるとそろそろお開きだ。
「サクラ。最後に何したい」
サスケと楽しそうにしているサクラの肩を触ると、お酒を飲んで少し頬を赤くして瞳を潤ませる瞳がこちらを向く。
「そうね〜・・・」
サクラは宙を見て、ふふふと笑い。
「私のどこが可愛いか言って!」
いかにもホストクラブっぽいなぁ、と思いながらカカシは顎に手を当てて。
「うーん、えっちしてる時に白い肌が真っ赤になって瞳を潤ませて、可愛く縋って・・・」
「え?」
夜の時のサクラの可愛い姿を思い出しながらニヤニヤしていると、地獄の底から出たかのような声が聞こえた。
隣を見れば目が据わったサクラがこちらを睨んでいた。
怒ってるサクラも可愛いなぁ、なんて場違いなことを考えていると。
「この髪だな」
「え?」
サスケがサクラの髪を指に絡ませる。
「オレのために綺麗に伸ばされていた時も好きだったが、活発なお前にはこれぐらいが似合ってる。それに俯いたときに頸が見えてキスしたくなるな」
「さ、サスケくん・・・」
どうしたサスケ。
普段のサスケからは死んでも言いそうにない言葉を言い出し、あんぐりと口を開くカカシ。
サクラは恥ずかしそうに頬を染めている。
「その瞳」
サスケはサクラの翡翠の瞳を指差す。
「その瞳に見つめられるとどうにかしたくなる」
「サスケくん!」
何を思ったのかサクラはいきなりサスケの首に腕を回して抱きつく。
「さ、サクラ!離れなさい!!」
カカシは慌ててサクラの肩を掴んで2人を引き離すと、サクラはくてん、とオレの胸元に寄りかかり、サスケも引き剥がした反動で後ろに倒れる。
え、と思っていると、後ろで何かが倒れる音がして見ればナルトも床に倒れていた。
なんだ?とテーブルを見れば、サクラとサスケの前にカカシと同じぐらいの空のグラスが置いてあった。
そういえば、ナルトが分身のカカシからカクテルの作り方を教わって綺麗に出来たとたくさんテーブルに置いていった。
ナルトの方も見れば空のグラスが。
こいつらも成人したとはいえ、まだ酒には慣れていない。
度数が低いのを用意していたがこれだけ飲めば潰れるだろう。
そんなことにも気づかないなんてまだまだだな、と影分身のカカシと笑いあった。
そして、この片付けをカカシ1人でして3人を家まで送らないといけないということに2人はため息を吐いた。
****
それから影分身と片付け、もう1体分身を出してナルトとサスケを背負って送らせた。
本体のカカシはもちろんサクラを背負ってカカシの部屋へと向かう。
なんでこんなことになったのかねぇ、とため息を吐くと、背中で気持ちよさそうに寝ていたサクラがモゾモゾ動き出す。
サクラはカカシの首に頬を擦り寄せ、嬉しそうに笑ってからまた寝息をかきだす。
たったそれだけで幸せになれるんだからオレも簡単だなぁ、と頬を緩ませながらゆっくりと歩いた。
81/179ページ