short.1
年に1度のお祭り。
日付が決まり楽しみにしていた今日。
私は今、ヨーヨー釣りの屋台の店番をしていた。
ことの発端は数日前。
面倒なことは後回しにする我が師、はたけカカシ。
いつもの如く報告書をためにためて束を持って申し訳なさそうに執務室にやってきた。
そして五代目火影であり我が師、綱手はキレた。
もう椅子やらなんやらが吹っ飛び、手がつけれないほどに。
ようやく落ち着いた師匠は私たち七班に任務を出した。
本来なら下忍が担当するはずの祭りの屋台の店番の任務で、担当班が全員風邪を引いてしまいどこに変えるかで頭を悩ませていた。
そんなタイミングでやってきたカカシ先生のせいでその任務が私たちにふられたのだ。
ナルトはまだ下忍だからいいだろう、と無茶苦茶な理由で。
しかもこの発端を招いた張本人は直前になって用事が出来たとヒナタを代わりに連れてきて逃げたのだ。
あのクソ上司はいっぺん締めないとダメだわ、と手に持っていたこよりをグシャリと握りしめる。
それを受け取ろうとしていた子供はビックリして泣き出そうとしたので、私は慌てて新しいのを渡した。
それから交代でやってきた別の班に代わって、ようやく祭りを楽しめる。
この鬱憤を発散しないと気が収まらない。
「ヒナタどこ行く?私お腹空いちゃって。たこ焼き食べたいのよね」
私は浮き足立ってヒナタの手を引っ張って歩く。
前を見ずに。
「あ、サクラさん、前!」
「え?」
ヒナタの言葉も間に合わず、前にいた人にぶつかってしまった。
「あ!す、すみませ──」
私は打った鼻を押さえながら顔を上げると、そこには狐の面を付けた男が立っていて背筋が凍る。
木ノ葉で動物の面を付けるのは暗部を意味している。
やばい、と思っていると。
「──サクラ」
え。
「ちゃんと前見て歩かないと危ないでしょ」
男は付けていた面をずらす。
するとそこには額当てと口布を付けた、よく知っている男の顔が。
「か、カカシ先生!?なんで面なんて付けてるのよ!」
「なんでって。そこで売ってたから」
先生は後ろを指差すと、確かにそこにお面の屋台が出ていた。
だからって面を付けるか?
この男は元暗部という話で洒落にならない。
私は面に気を取られて、先生の怒りを忘れていた。
「先生!よくもノコノコと私の前に出てこれたわね!しかも法被まで来て!」
「だから用事だったんだからしょーがないでしょ。ヒナタもありがとね」
「あ、いえ。お役に立てて何よりです」
先生は私の後ろにいるヒナタにお礼を言うと、ヒナタは恥ずかしそうにモジモジとする。
「あ、カカシ先生!」
後ろからナルトの声が聞こえて振り返る。
「あらー。賑やかな格好してるね、お前」
先生はナルトの格好を見て笑う。
ナルトは大きな太鼓を担いで現れた。
「いやー、思い切り叩くとストレス発散になるってばよ!カカシ先生も叩く?」
「遠慮しとく。サクラ叩いたら?溜まってるみたいだし」
誰のせいだと思ってんだ。
私は思い切り先生の足を踏んづけると「いて」と小さく声を上げる。
「そういえばカカシ先生聞いてよ」
「ん?」
下駄を脱いで足を摩っている先生にナルトは口を尖らせる。
「サクラちゃんとヒナタ。祭りの準備の間、一緒に準備してる男たちとか遊びに来た奴らにずっとナンパされてたんだぜ。オレとサスケで追い払ってたけどさ」
ナルトの言葉にヒナタは申し訳なさそうにして、私は腰に手を当てる。
「ご、ごめんねナルトくん・・・」
「謝ることないわよヒナタ。それにあんな男たち、私にかかれば大したことなかったのに」
「サクラちゃんこんな調子で・・・何とか言ってやってよカカシ先生・・・」
ナルトは情けなく懇願してくるので、「ふむ」と先生は顎に手を当てて私を見てくる。
今の私は帯を絞めずに桜色の法被を羽織っていて、その下には黒のインナーと短パン。
何故そんな格好をしているのかと聞かれれば暑いから。
それと、帯を絞めると動きにくいから。
私を凝視してくる先生も肩に法被を羽織ってその下はいつものタンクトップのインナーを着ている。
筋肉質な腕とか、ピッタリ身体に張り付いているせいでいつもは任務服で隠れている胸元とか腹筋が見えて目のやり場に困る。
ようやく先生が口を開いたと思ったら。
「そいつらの気持ちも分かるな」
「「え」」
思いもよらない言葉に私とナルトは口を開くと、何故か先生は私の首の下を見て憐れむような顔をする。
「胸元が残念だけど」
先生の言葉にナルトは固まり、ヒナタは顔を真っ赤にして。
ずっと傍観していたサスケくんは軽蔑した目を先生に向けて。
私はというと全身を真っ赤にして先生を睨む。
先生の頭にあるお面を無理やり引っ張って剥がす。
そしてそれを思い切り上に持ち上げて。
「この変態上忍!!」
ボカーン、といい音が会場に響いた。
日付が決まり楽しみにしていた今日。
私は今、ヨーヨー釣りの屋台の店番をしていた。
ことの発端は数日前。
面倒なことは後回しにする我が師、はたけカカシ。
いつもの如く報告書をためにためて束を持って申し訳なさそうに執務室にやってきた。
そして五代目火影であり我が師、綱手はキレた。
もう椅子やらなんやらが吹っ飛び、手がつけれないほどに。
ようやく落ち着いた師匠は私たち七班に任務を出した。
本来なら下忍が担当するはずの祭りの屋台の店番の任務で、担当班が全員風邪を引いてしまいどこに変えるかで頭を悩ませていた。
そんなタイミングでやってきたカカシ先生のせいでその任務が私たちにふられたのだ。
ナルトはまだ下忍だからいいだろう、と無茶苦茶な理由で。
しかもこの発端を招いた張本人は直前になって用事が出来たとヒナタを代わりに連れてきて逃げたのだ。
あのクソ上司はいっぺん締めないとダメだわ、と手に持っていたこよりをグシャリと握りしめる。
それを受け取ろうとしていた子供はビックリして泣き出そうとしたので、私は慌てて新しいのを渡した。
それから交代でやってきた別の班に代わって、ようやく祭りを楽しめる。
この鬱憤を発散しないと気が収まらない。
「ヒナタどこ行く?私お腹空いちゃって。たこ焼き食べたいのよね」
私は浮き足立ってヒナタの手を引っ張って歩く。
前を見ずに。
「あ、サクラさん、前!」
「え?」
ヒナタの言葉も間に合わず、前にいた人にぶつかってしまった。
「あ!す、すみませ──」
私は打った鼻を押さえながら顔を上げると、そこには狐の面を付けた男が立っていて背筋が凍る。
木ノ葉で動物の面を付けるのは暗部を意味している。
やばい、と思っていると。
「──サクラ」
え。
「ちゃんと前見て歩かないと危ないでしょ」
男は付けていた面をずらす。
するとそこには額当てと口布を付けた、よく知っている男の顔が。
「か、カカシ先生!?なんで面なんて付けてるのよ!」
「なんでって。そこで売ってたから」
先生は後ろを指差すと、確かにそこにお面の屋台が出ていた。
だからって面を付けるか?
この男は元暗部という話で洒落にならない。
私は面に気を取られて、先生の怒りを忘れていた。
「先生!よくもノコノコと私の前に出てこれたわね!しかも法被まで来て!」
「だから用事だったんだからしょーがないでしょ。ヒナタもありがとね」
「あ、いえ。お役に立てて何よりです」
先生は私の後ろにいるヒナタにお礼を言うと、ヒナタは恥ずかしそうにモジモジとする。
「あ、カカシ先生!」
後ろからナルトの声が聞こえて振り返る。
「あらー。賑やかな格好してるね、お前」
先生はナルトの格好を見て笑う。
ナルトは大きな太鼓を担いで現れた。
「いやー、思い切り叩くとストレス発散になるってばよ!カカシ先生も叩く?」
「遠慮しとく。サクラ叩いたら?溜まってるみたいだし」
誰のせいだと思ってんだ。
私は思い切り先生の足を踏んづけると「いて」と小さく声を上げる。
「そういえばカカシ先生聞いてよ」
「ん?」
下駄を脱いで足を摩っている先生にナルトは口を尖らせる。
「サクラちゃんとヒナタ。祭りの準備の間、一緒に準備してる男たちとか遊びに来た奴らにずっとナンパされてたんだぜ。オレとサスケで追い払ってたけどさ」
ナルトの言葉にヒナタは申し訳なさそうにして、私は腰に手を当てる。
「ご、ごめんねナルトくん・・・」
「謝ることないわよヒナタ。それにあんな男たち、私にかかれば大したことなかったのに」
「サクラちゃんこんな調子で・・・何とか言ってやってよカカシ先生・・・」
ナルトは情けなく懇願してくるので、「ふむ」と先生は顎に手を当てて私を見てくる。
今の私は帯を絞めずに桜色の法被を羽織っていて、その下には黒のインナーと短パン。
何故そんな格好をしているのかと聞かれれば暑いから。
それと、帯を絞めると動きにくいから。
私を凝視してくる先生も肩に法被を羽織ってその下はいつものタンクトップのインナーを着ている。
筋肉質な腕とか、ピッタリ身体に張り付いているせいでいつもは任務服で隠れている胸元とか腹筋が見えて目のやり場に困る。
ようやく先生が口を開いたと思ったら。
「そいつらの気持ちも分かるな」
「「え」」
思いもよらない言葉に私とナルトは口を開くと、何故か先生は私の首の下を見て憐れむような顔をする。
「胸元が残念だけど」
先生の言葉にナルトは固まり、ヒナタは顔を真っ赤にして。
ずっと傍観していたサスケくんは軽蔑した目を先生に向けて。
私はというと全身を真っ赤にして先生を睨む。
先生の頭にあるお面を無理やり引っ張って剥がす。
そしてそれを思い切り上に持ち上げて。
「この変態上忍!!」
ボカーン、といい音が会場に響いた。
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