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忘れられないもの

こんなにもあの人のことを忘れられないなんて。



それはほんの些細な喧嘩だった。
カカシ先生と付き合うようになっても先生はみんなに優しい。
困ってる人がいれば助けてあげる。
それは例え女の人でも。
私といる時でもそうで、明らかに好意をいだいている女の人が先生に体を近づけるのを見るとイライラしてくる。
そのイライラをいつも先生に一方的にぶつけるのを繰り返す。
先生の反応も雑になってくるのが目に見えて分かってきて。
私は我慢できずに言ってしまったのだ。


「もう別れましょう」


私の一言に先生は目を見開く。
きっと大丈夫。
いつものように先生が引き下がってくれる。
そう思ってたのに。

「分かった」

先生は腕を組み目を閉じてそう言ったのだ。

嘘だと信じたかった。
なのに先生はそれ以上何も言ってくれない。
私は頭に血が上って先生の部屋を飛び出し、



先生は追いかけてきてくれなかった。



****



それが1ヶ月前。
何かあればいつも側にいて、よくいのに「うざい」と言われていた。
それがお互い避けるように、任務でも隣を歩かないようにしていた。
さすがにそれが続けばみんなも別れたと勘付き始める。
そしてそれを狙って先生に近寄り始める里の女たち。
顔の半分以上隠してるのに何故かモテる先生。
言い寄られている場面を何度か見て、その度に胸がギュッて締め付けられる。
もう嫉妬をする資格もないのに。

その光景を暫く見ていると、女の人と楽しそうに話していた先生がこちらを見てきて目が合い胸が高鳴る。
しかし先生はすぐに目を逸らしてまた話に花を咲かせ。

私は泣きそうになるのを我慢してその場を駆け出した。



****



私は一人暮らしをする家に逃げるように帰り、毛布に縋り付いて泣いていた。
辛い、悲しいって思う中に嬉しいって感情が入る。
ずっとお互い避けて、目も合うことがなかった。
大好きな目と合った瞬間、付き合ってた時のことがフラッシュバックのように蘇った。
手を繋いでいるときの大きな手の温かさ、2人で部屋にいるときの心地よさ、抱きついた時の大好きな匂い、そして愛おしそうに見つめてきてキスをしてくれる。
もう1ヶ月も触れ合っていないのに。
身体に染み込んだそれが忘れさせてくれない。
この1ヶ月、泣くことを我慢していた。
それが止められないほど溢れてくる。
我慢してた想いがどんどん溢れてくる。


「先生に逢いたい・・・」


もう一度、あなたの大きい身体に包まれたい。


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