short.1
久しぶりに皆の休日が揃い、甘味処で女子会をしている時だった。
「そういやサクラ。あんたの先生って人気あるわよね」
「は?」
突然のいのの言葉に素っ頓狂な声を出してしまった。
「なにそれ」
「昨日くノ一のお姉様方に聞かれたのよ。アスマのこととかカカシ先生のこととか」
「なんで?」
「そりゃ、モテるからに決まってるじゃない」
「カカシ先生が!モテる!?」
私は思わず持ってたスプーンを机に落とす。
「そんなに驚くわけぇ?」
「だってあのカカシ先生よ!?いつもヘラってしてて、だらしなくて、人を2、3時間も待たす人なのよ!?」
「私は分からないけどぉ、ああいう気の抜けた感じが良いんじゃないの?見た目も高身長で細身だけどちゃんと鍛えられてるって感じ?うちのゴリラとは違うわぁ」
「ゴリラって・・・いのちゃん・・・」
自分の担当上忍をゴリラ呼ばわりしているいのに、ヒナタは困っている感じだったが、私は先生がモテるということがショックでそれどころではなかった。
12歳の少年少女の前で四六時中、如何わしい本を読んでいる男が?
「それに、戦闘になったらあの目が力強くなるの?あのギャップは確かにヤバいわ」
「それは私も思うけど・・・悪いところが多すぎて・・・」
あのいつも眠たそうに半分しか開いていない目が戦闘になったときのあの目を初めて見た時はドキッとしたのを覚えている。
それでもなぁ、と私は腕を組んで唸る。
「大人にしか分からない魅力ってのがあるんでしょう?あの先生って毎年抱かれたい男ランキング1位らしいわよ?」
「抱か・・・!?」
12歳にとって刺激的な言葉に顔が赤くなる。
昼間の、しかも甘味処で言う言葉じゃない。
サクラ以上に初心なヒナタは倒れそうなほど真っ赤になっていた。
「ちょっといの!こんなところで言うことじゃないでしょ!」
「え〜?別に良いじゃない。誰も気にしてないわよ」
それはそうだけど。
もし知り合いに聞かれたら気まずいどころじゃない。
「うちのアスマは僅差で2位なんだって。里の1、2位を争う男を上忍師に持つ私たちが羨ましいんだってよ」
「はぁ・・・」
私にはその魅力が分からないから何とも言えない。
「人気のある人だからね。子供とか関係なく近くにいるあんたに妬み恨みを持つ人もいるかもしれないから気をつけなさいよ、サクラ!」
****
次の日、任務先に向かっている時。
前をのんびりと歩く先生の背中をジーー、と見つめる。
歩く時ですらあの本を手放さず、背中を丸めてニヤニヤとしている。
何故この人がこんなにもモテるのか。
ありえない、信じられない──。
「──サクラ」
前を歩いていた先生が突然振り返る。
「なに?」
急に目が合うものだからドキッとしてしまった。
それを悟られないように冷静な顔で。
「そんな熱い視線を送られたら、先生勘違いするぞ?」
「「え!?」」
とんでもない発言に思考が止まってしまった。
しかも何故かナルトまでもが同じように驚いている。
「サクラちゃんそうなの!?カカシ先生のことが好きなのか!?」
一番前を歩いていたナルトは後ろまで走ってきて、泣きそうな顔で私に詰め寄る。
「な、何言ってんのよ!」
私は動揺を隠すために思い切りナルトの頭を叩く。
ぎゃん!!、とナルトが痛そうな声を上げる。
「そんなわけないでしょ!私はサスケくん一筋なんだから!!」
「だよねぇ」
爆弾を落としてきた本人は呑気にヘラっと笑ってくる。
それを見て、揶揄われたのだと分かり私は顔を真っ赤にして、先生の背中をバシバシと叩く。
「痛い、痛いって」
そう言いながらも避ける気配はない。
下忍のパンチなど上忍にしてみたら軽いものなのだろう。
それがまた悔しいのだ。
私はいつも余裕綽々としているこの男の仮面をいつか剥がしてみたい。
そう決意したのだった。
「そういやサクラ。あんたの先生って人気あるわよね」
「は?」
突然のいのの言葉に素っ頓狂な声を出してしまった。
「なにそれ」
「昨日くノ一のお姉様方に聞かれたのよ。アスマのこととかカカシ先生のこととか」
「なんで?」
「そりゃ、モテるからに決まってるじゃない」
「カカシ先生が!モテる!?」
私は思わず持ってたスプーンを机に落とす。
「そんなに驚くわけぇ?」
「だってあのカカシ先生よ!?いつもヘラってしてて、だらしなくて、人を2、3時間も待たす人なのよ!?」
「私は分からないけどぉ、ああいう気の抜けた感じが良いんじゃないの?見た目も高身長で細身だけどちゃんと鍛えられてるって感じ?うちのゴリラとは違うわぁ」
「ゴリラって・・・いのちゃん・・・」
自分の担当上忍をゴリラ呼ばわりしているいのに、ヒナタは困っている感じだったが、私は先生がモテるということがショックでそれどころではなかった。
12歳の少年少女の前で四六時中、如何わしい本を読んでいる男が?
「それに、戦闘になったらあの目が力強くなるの?あのギャップは確かにヤバいわ」
「それは私も思うけど・・・悪いところが多すぎて・・・」
あのいつも眠たそうに半分しか開いていない目が戦闘になったときのあの目を初めて見た時はドキッとしたのを覚えている。
それでもなぁ、と私は腕を組んで唸る。
「大人にしか分からない魅力ってのがあるんでしょう?あの先生って毎年抱かれたい男ランキング1位らしいわよ?」
「抱か・・・!?」
12歳にとって刺激的な言葉に顔が赤くなる。
昼間の、しかも甘味処で言う言葉じゃない。
サクラ以上に初心なヒナタは倒れそうなほど真っ赤になっていた。
「ちょっといの!こんなところで言うことじゃないでしょ!」
「え〜?別に良いじゃない。誰も気にしてないわよ」
それはそうだけど。
もし知り合いに聞かれたら気まずいどころじゃない。
「うちのアスマは僅差で2位なんだって。里の1、2位を争う男を上忍師に持つ私たちが羨ましいんだってよ」
「はぁ・・・」
私にはその魅力が分からないから何とも言えない。
「人気のある人だからね。子供とか関係なく近くにいるあんたに妬み恨みを持つ人もいるかもしれないから気をつけなさいよ、サクラ!」
****
次の日、任務先に向かっている時。
前をのんびりと歩く先生の背中をジーー、と見つめる。
歩く時ですらあの本を手放さず、背中を丸めてニヤニヤとしている。
何故この人がこんなにもモテるのか。
ありえない、信じられない──。
「──サクラ」
前を歩いていた先生が突然振り返る。
「なに?」
急に目が合うものだからドキッとしてしまった。
それを悟られないように冷静な顔で。
「そんな熱い視線を送られたら、先生勘違いするぞ?」
「「え!?」」
とんでもない発言に思考が止まってしまった。
しかも何故かナルトまでもが同じように驚いている。
「サクラちゃんそうなの!?カカシ先生のことが好きなのか!?」
一番前を歩いていたナルトは後ろまで走ってきて、泣きそうな顔で私に詰め寄る。
「な、何言ってんのよ!」
私は動揺を隠すために思い切りナルトの頭を叩く。
ぎゃん!!、とナルトが痛そうな声を上げる。
「そんなわけないでしょ!私はサスケくん一筋なんだから!!」
「だよねぇ」
爆弾を落としてきた本人は呑気にヘラっと笑ってくる。
それを見て、揶揄われたのだと分かり私は顔を真っ赤にして、先生の背中をバシバシと叩く。
「痛い、痛いって」
そう言いながらも避ける気配はない。
下忍のパンチなど上忍にしてみたら軽いものなのだろう。
それがまた悔しいのだ。
私はいつも余裕綽々としているこの男の仮面をいつか剥がしてみたい。
そう決意したのだった。
103/179ページ