short.1
「はぁ・・・」
「珍しい。カカシが1人だわ」
居酒屋で1人で飲んでいると後ろから声をかけられて振り返れば、そこにはよく知った2人が立っていた。
「本当お前ら仲良いな・・・」
項垂れて言うと、勝手に同じテーブルに座って注文し始める。
「なんだ。喧嘩でもしたのか?」
アスマが新しくタバコに火を付けて煙を吐き出す。
「どうせまたアンタが馬鹿なこと言って怒らせたんでしょ」
顔を上げてジトっと睨むと、顎に手を当ててふふんっ、と笑う紅。
本当女ってのは怖い。
「そうだよ・・・オレがまた怒らせてサクラが部屋を出ていった」
「見事に尻に敷かれてるな・・・何言ったんだよ」
注文した酒が届いて乾杯してる2人。
本当に話を聞く気はあるんだろうか。
「・・・体重の話したんだよ」
「体重?」
話が分からず眉間に皺を寄せるアスマの横で、呆れたように笑う紅。
「今度長期の任務に行くからその分体重増やさないといけなくて。でも体質なのかどんなに食べてもなかなか体重増えないんだよ、オレ。で、その話したら」
「怒られたんでしょ」
カカシはコクンと頷く。
「女の子は大変なのよ。特にあの年齢の子はね。いのちゃんとサクラちゃん、よくダイエットって言ってるでしょ。うちのヒナタもね。それをアンタ・・・」
「ああぁ・・・・・・」
机にガン、と額をぶつけて動かなくなる。
「でもさぁ・・・サクラ痩せてるよ?腰掴めるぐらいなのに。もっと太ってた方が抱き心地が・・・」
「それ言ったら別れ話されるわよ」
とどめの一言にカカシは俯いたまま啜り泣き出す。
「もうちょっと優しく言ってやれよ」
「甘ったれにはちょうどいいわよ」
カカシを気にせず追加の酒を頼むのに店員を呼ぶ紅と啜り泣くカカシを横目にアスマは酒を煽ったのだった。
****
「サークラちゃーん・・・」
2人と別れたカカシは自分の部屋には帰らず、サクラの部屋の窓ガラスを叩く。
暫くするとカーテンが開き、仏頂面のサクラが窓を開けてくれたので靴を脱いで部屋に上がる。
ベッドに腰掛けるも、サクラはそっぽを向いてカカシを見ようとしない。
「サクラにお土産」
はい、と箱をサクラに差し出すと、チラッと見たサクラがそれを受け取り、箱を開けて中身を見て更に機嫌が悪くなったのが分かった。
「なにこれ。太りやすい私に対する嫌味?」
ズイっと箱をオレに突き返してくる。
未だに機嫌が治っていないサクラにカカシは苦笑し、買ってきたシュークリームを半分に割って、その半分にサクラに差し出す。
「なに」
「半分はオレが食べるから、もう半分はサクラが食べて」
「なんで」
「オレ甘いの嫌いなの知ってるでしょ。謝罪も兼ねて食べようと思ったけど、全部食べれないから手伝って」
情けなくも懇願するカカシをジトっと睨むとサクラだったが、諦めたようにため息を吐いてシュークリームを受け取り食べる。
「意味わからないわ」
「うん、オレも。でもサクラが素直に受け取ると思わなかったから」
実際その通りで、なんでもお見通しね、とサクラは笑ってカカシの隣に座りシュークリームを食べ終わる。
「さ、先生?早く食べてよ」
「ちょっと待って・・・」
カカシは何度も深呼吸をしてシュークリームを親の敵のように見つめる。
サクラは呆れたように笑って、カカシによって少し潰れたシュークリームを奪う。
「サクラ?」
サクラは持ったシュークリームをカカシの口元に近づける。
「はい、あーん」
サクラの意図が分かり、強張っていたカカシの表情が崩れる。
カカシは観念して目を瞑り、訪れるであろう甘味を吐き出さないように覚悟を決めたのだった。
「珍しい。カカシが1人だわ」
居酒屋で1人で飲んでいると後ろから声をかけられて振り返れば、そこにはよく知った2人が立っていた。
「本当お前ら仲良いな・・・」
項垂れて言うと、勝手に同じテーブルに座って注文し始める。
「なんだ。喧嘩でもしたのか?」
アスマが新しくタバコに火を付けて煙を吐き出す。
「どうせまたアンタが馬鹿なこと言って怒らせたんでしょ」
顔を上げてジトっと睨むと、顎に手を当ててふふんっ、と笑う紅。
本当女ってのは怖い。
「そうだよ・・・オレがまた怒らせてサクラが部屋を出ていった」
「見事に尻に敷かれてるな・・・何言ったんだよ」
注文した酒が届いて乾杯してる2人。
本当に話を聞く気はあるんだろうか。
「・・・体重の話したんだよ」
「体重?」
話が分からず眉間に皺を寄せるアスマの横で、呆れたように笑う紅。
「今度長期の任務に行くからその分体重増やさないといけなくて。でも体質なのかどんなに食べてもなかなか体重増えないんだよ、オレ。で、その話したら」
「怒られたんでしょ」
カカシはコクンと頷く。
「女の子は大変なのよ。特にあの年齢の子はね。いのちゃんとサクラちゃん、よくダイエットって言ってるでしょ。うちのヒナタもね。それをアンタ・・・」
「ああぁ・・・・・・」
机にガン、と額をぶつけて動かなくなる。
「でもさぁ・・・サクラ痩せてるよ?腰掴めるぐらいなのに。もっと太ってた方が抱き心地が・・・」
「それ言ったら別れ話されるわよ」
とどめの一言にカカシは俯いたまま啜り泣き出す。
「もうちょっと優しく言ってやれよ」
「甘ったれにはちょうどいいわよ」
カカシを気にせず追加の酒を頼むのに店員を呼ぶ紅と啜り泣くカカシを横目にアスマは酒を煽ったのだった。
****
「サークラちゃーん・・・」
2人と別れたカカシは自分の部屋には帰らず、サクラの部屋の窓ガラスを叩く。
暫くするとカーテンが開き、仏頂面のサクラが窓を開けてくれたので靴を脱いで部屋に上がる。
ベッドに腰掛けるも、サクラはそっぽを向いてカカシを見ようとしない。
「サクラにお土産」
はい、と箱をサクラに差し出すと、チラッと見たサクラがそれを受け取り、箱を開けて中身を見て更に機嫌が悪くなったのが分かった。
「なにこれ。太りやすい私に対する嫌味?」
ズイっと箱をオレに突き返してくる。
未だに機嫌が治っていないサクラにカカシは苦笑し、買ってきたシュークリームを半分に割って、その半分にサクラに差し出す。
「なに」
「半分はオレが食べるから、もう半分はサクラが食べて」
「なんで」
「オレ甘いの嫌いなの知ってるでしょ。謝罪も兼ねて食べようと思ったけど、全部食べれないから手伝って」
情けなくも懇願するカカシをジトっと睨むとサクラだったが、諦めたようにため息を吐いてシュークリームを受け取り食べる。
「意味わからないわ」
「うん、オレも。でもサクラが素直に受け取ると思わなかったから」
実際その通りで、なんでもお見通しね、とサクラは笑ってカカシの隣に座りシュークリームを食べ終わる。
「さ、先生?早く食べてよ」
「ちょっと待って・・・」
カカシは何度も深呼吸をしてシュークリームを親の敵のように見つめる。
サクラは呆れたように笑って、カカシによって少し潰れたシュークリームを奪う。
「サクラ?」
サクラは持ったシュークリームをカカシの口元に近づける。
「はい、あーん」
サクラの意図が分かり、強張っていたカカシの表情が崩れる。
カカシは観念して目を瞑り、訪れるであろう甘味を吐き出さないように覚悟を決めたのだった。
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