short.2
カカシ先生は私に甘い。
任務中は厳しいけど、それが終われば私だけ甘やかしてくれる先生。
おねだりすればあんみつもお菓子もぬいぐるみでも、何でも買ってくれる。
ナルトが強請っても何も買わないのに私が言えばすぐに買ってくれるからナルトがものすごく文句を言っていた。
多分七班の中で唯一の女だから。
ナルトやサスケくんに付いていけなくて、落ち込んでいるのを察してこうやって甘やかしてくれてるのだろう。
そんな先生の優しさが私は大好きだった。
任務が休みの日、1人ぶらぶらと里を歩く。
今度は何を先生に買ってもらおうかなと物色していると、化粧品を売っているお店の前で紅先生といるカカシ先生を見つけた。
「カカ──」
どうせ会ったならあんみつでも奢ってもらおうと声をかけようとしたその時。
カカシ先生が紅先生の顎に手をかけて上を向かせ、そのぷっくりとした紅先生の唇にカカシ先生が口紅を塗ってあげていた。
その光景に私は声も足も止まってしまう。
だって、2人があまりにも自然で綺麗だと思ったから。
2人は私に気づかずに店の奥に消えていった。
私は足早にその場を後にする。
家に帰ってお母さんの声も耳に入らないまま自室に篭った。
ずっと頭の中がグルグル回っている。
──2人は付き合っているのだろうか。
そのことばっかり考えてしまい、その日は眠ることができなかった。
徹夜の状態で任務に出ることになってしまい、寝不足と昨日のことが気になってちゃんと集中することができなかった。
そのせいで普段はしないミスを連発してみんなに迷惑をかけてしまい、先生にも怒られてしまった。
肩を落としてトボトボ家路を歩いていると、偶然にも同じ任務終わりであろう紅先生に出会してしまう。
「あら、サクラちゃん。こんにちは」
「・・・こんにちは」
紅先生の顔を見ると昨日のことを思い出してしまい、上手く笑えなかった。
ふと、唇が目に入る。
いつも綺麗な口紅だが今日はどこか違う。
視線に気づいた先生は嬉しそうに笑った。
「あぁ、気づいた?昨日新しく買ったのよ。どうかしら?」
「・・・とても素敵です」
「ありがとう」
にこりと微笑む紅先生は綺麗という言葉が似合うほど大人の女の人で。
対して私は体にメリハリのない、甘いものやぬいぐるみを好む子供。
化粧だってしたことがない。
こんなんじゃカカシ先生だって・・・
ぐっと唇を噛み締めて紅先生を見る。
「・・・あの!その口紅ってどこのですか!」
次の日、紅先生に教えてもらった口紅を付けて集合場所に行くと、遅れて現れたカカシ先生は驚いた顔をする。
それはナルトとサスケくんも一緒で、私を見た瞬間気まずそうに顔をそらした。
「・・・どうしたんだ、それ」
「・・・別に」
薄く化粧はしてきたけど、それでも12歳の私にはこの真っ赤な口紅は似合わないなとは自分でも思ったけど。
この口紅を付けた経緯を根掘り葉掘り聞かれたくなくて顔を逸らすと、無理やり先生の服で擦られて口紅に落とされた。
せっかく付けてきたのに・・・!
「何すんのよー!」
「サクラには似合わない」
「な・・・!」
はっきりと言われて絶句する。
子供の自分には似合わないと言われたことに色んな気持ちがぐちゃぐちゃになって涙が溢れそうになると、ポンと頭を撫でられる。
「サクラにはもっと似合う色があるから、一緒に買いに行こう」
「!うん・・・!!」
にこりと微笑む先生の言葉に、私は泣きそうだったことも忘れて笑った。
それから任務が終わって2人であの時のお店に来た。
楽しそうに口紅を選ぶ先生にずっと気になっていたことを聞くことにした。
「紅先生にも選んであげたの?」
「紅?紅のはアスマが選んだんだよ」
「アスマ先生?」
「そ。で、アスマが会計してるときに鏡がないから塗れって言われて仕方なく」
「・・・ふーん?」
「それがなに?」
「別にー?」
鼻歌を歌い出しいきなり機嫌が良くなったからか先生は不思議そうにこちらを見ていた。
口紅を買ってもらったあと、先生に家まで送ってもらい自分のベッドに寝転ぶ。
その手には薄ピンクの口紅。
私には赤も似合うけどピンクが似合うからって、店員さんにラッピングまでしてもらって。
カカシ先生が私に似合うように選んで買ってくれた唯一のプレゼント。
鏡の前に座って早速口紅を付ける。
紅先生と同じ口紅よりしっくりくる。
大人っぽくはないけど少しお姉さんにも見えて、鏡の中の私も嬉しそうに笑っている。
「ふふ!」
明日付けていったら先生はどんな顔をしてくれるだろうか。
任務にこんなの付けてきてまた怒る?
それとも付けたことに嬉しそうにしてくれるかな。
そんなことを考えていると明日が楽しみでしょうがなかった。
任務中は厳しいけど、それが終われば私だけ甘やかしてくれる先生。
おねだりすればあんみつもお菓子もぬいぐるみでも、何でも買ってくれる。
ナルトが強請っても何も買わないのに私が言えばすぐに買ってくれるからナルトがものすごく文句を言っていた。
多分七班の中で唯一の女だから。
ナルトやサスケくんに付いていけなくて、落ち込んでいるのを察してこうやって甘やかしてくれてるのだろう。
そんな先生の優しさが私は大好きだった。
任務が休みの日、1人ぶらぶらと里を歩く。
今度は何を先生に買ってもらおうかなと物色していると、化粧品を売っているお店の前で紅先生といるカカシ先生を見つけた。
「カカ──」
どうせ会ったならあんみつでも奢ってもらおうと声をかけようとしたその時。
カカシ先生が紅先生の顎に手をかけて上を向かせ、そのぷっくりとした紅先生の唇にカカシ先生が口紅を塗ってあげていた。
その光景に私は声も足も止まってしまう。
だって、2人があまりにも自然で綺麗だと思ったから。
2人は私に気づかずに店の奥に消えていった。
私は足早にその場を後にする。
家に帰ってお母さんの声も耳に入らないまま自室に篭った。
ずっと頭の中がグルグル回っている。
──2人は付き合っているのだろうか。
そのことばっかり考えてしまい、その日は眠ることができなかった。
徹夜の状態で任務に出ることになってしまい、寝不足と昨日のことが気になってちゃんと集中することができなかった。
そのせいで普段はしないミスを連発してみんなに迷惑をかけてしまい、先生にも怒られてしまった。
肩を落としてトボトボ家路を歩いていると、偶然にも同じ任務終わりであろう紅先生に出会してしまう。
「あら、サクラちゃん。こんにちは」
「・・・こんにちは」
紅先生の顔を見ると昨日のことを思い出してしまい、上手く笑えなかった。
ふと、唇が目に入る。
いつも綺麗な口紅だが今日はどこか違う。
視線に気づいた先生は嬉しそうに笑った。
「あぁ、気づいた?昨日新しく買ったのよ。どうかしら?」
「・・・とても素敵です」
「ありがとう」
にこりと微笑む紅先生は綺麗という言葉が似合うほど大人の女の人で。
対して私は体にメリハリのない、甘いものやぬいぐるみを好む子供。
化粧だってしたことがない。
こんなんじゃカカシ先生だって・・・
ぐっと唇を噛み締めて紅先生を見る。
「・・・あの!その口紅ってどこのですか!」
次の日、紅先生に教えてもらった口紅を付けて集合場所に行くと、遅れて現れたカカシ先生は驚いた顔をする。
それはナルトとサスケくんも一緒で、私を見た瞬間気まずそうに顔をそらした。
「・・・どうしたんだ、それ」
「・・・別に」
薄く化粧はしてきたけど、それでも12歳の私にはこの真っ赤な口紅は似合わないなとは自分でも思ったけど。
この口紅を付けた経緯を根掘り葉掘り聞かれたくなくて顔を逸らすと、無理やり先生の服で擦られて口紅に落とされた。
せっかく付けてきたのに・・・!
「何すんのよー!」
「サクラには似合わない」
「な・・・!」
はっきりと言われて絶句する。
子供の自分には似合わないと言われたことに色んな気持ちがぐちゃぐちゃになって涙が溢れそうになると、ポンと頭を撫でられる。
「サクラにはもっと似合う色があるから、一緒に買いに行こう」
「!うん・・・!!」
にこりと微笑む先生の言葉に、私は泣きそうだったことも忘れて笑った。
それから任務が終わって2人であの時のお店に来た。
楽しそうに口紅を選ぶ先生にずっと気になっていたことを聞くことにした。
「紅先生にも選んであげたの?」
「紅?紅のはアスマが選んだんだよ」
「アスマ先生?」
「そ。で、アスマが会計してるときに鏡がないから塗れって言われて仕方なく」
「・・・ふーん?」
「それがなに?」
「別にー?」
鼻歌を歌い出しいきなり機嫌が良くなったからか先生は不思議そうにこちらを見ていた。
口紅を買ってもらったあと、先生に家まで送ってもらい自分のベッドに寝転ぶ。
その手には薄ピンクの口紅。
私には赤も似合うけどピンクが似合うからって、店員さんにラッピングまでしてもらって。
カカシ先生が私に似合うように選んで買ってくれた唯一のプレゼント。
鏡の前に座って早速口紅を付ける。
紅先生と同じ口紅よりしっくりくる。
大人っぽくはないけど少しお姉さんにも見えて、鏡の中の私も嬉しそうに笑っている。
「ふふ!」
明日付けていったら先生はどんな顔をしてくれるだろうか。
任務にこんなの付けてきてまた怒る?
それとも付けたことに嬉しそうにしてくれるかな。
そんなことを考えていると明日が楽しみでしょうがなかった。
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