short.2
「あっつ〜い・・・」
忙しい綱手様の手伝いの傍ら、1人演習場で修行をする日々。
今日はここ一番の暑さらしく、少し立っているだけでも汗が溢れ出す。
今は木陰で休んでいるからさっきよりはマシだけど・・・。
「あ〜ん・・・アイス食べたいよ〜・・・」
「ほら」
「うぎゃっ!?」
目を瞑って嘆いていると、後ろから頬に冷たいのが当てられて変な声が出る。
冷たい頬を手で押さえながら振り向くと、そこに口を押さえて笑っているカカシ先生が。
「か、カカシ先生!?なんでここに!」
「いや・・・綱手様からサクラが修行頑張ってるって聞いたからアイスの差し入れに来たんだけど・・・それにしてもその悲鳴はないでしょ。もう少し女の子らしく可愛い悲鳴はあげられないのか?さっきのは怪獣みたいだったぞ」
「う、うっさいわね!いきなり後ろから冷たいの当てられたら可愛い声なんか出せないわよ!いいからアイスよこしなさいよ!」
「はいはい」
未だに笑う先生からアイスを引ったくり、袋からソーダ味の棒アイスを取り出して齧る。
するとさっきまで暑かったのが嘘のように体の中から冷えていく。
暑いのは嫌だけど、こんな時に食べるアイスは格別だ。
味わってアイスを食べていると隣から視線を感じて顔を向ける。
「なに?」
「アイス少しくれない?」
「自分の買わなかったの?」
「うん。サクラが美味しそうに食べてるの見てたら食べたくなってきた」
ずっと見られていたことに羞恥でまた体が熱くなり、私はそれを隠すように意地悪く笑う。
「いいけど先生、それってマスクはずす、こと、に・・・」
座ってても身長差から見上げないといけなくて、顔を上げたときに見えたのは口布を下げた先生の顔だった。
あれだけ頑なに見せてくれなかった素顔が簡単に目の前に現れ、ポカンとマヌケな顔をする私を無視して先生は大きく口を開けてアイスに齧りついた。
「・・・あま」
口の端に付いたアイスを指で拭いながら文句を言う先生に意識を取り戻し、自分の手元を見ると、先ほど私が口を付けたところが大きく齧られていて・・・
「あーー!ちょっと先生!なんで私が食べたところ食べてるのよ!!」
「なんでって、齧りやすかったから」
「だからって!これじゃ間接キスじゃない!」
私はアイスを突き出して先生を思い切り睨んでいるのに、先生は「ははっ」と笑う。
「サクラちゃん、こんなことで騒いで──」
ふと目の前が暗くなり、唇に柔らかいものが重なる。
目を見開いていると、近くにあったカカシ先生の顔が離れていく。
「キスされたらどうするの?」
何が起きたのか分からず、またポカンと呆ける私を置いて先生は演習場を出て行った。
私は小さくなる背中が見えなくなってもその方をずっと見て、
「・・・・・・は?」
ようやく出たその言葉は誰の耳にも入ることなく風と一緒に消えていった。
それからあのキスの意味を考えているうちに自慢の頭脳がオーバーヒートし、夜に知恵熱が出て早く就寝することにした。
これもそれも、あの男のせいだと掛け布団を顔の近くまで引き上げた時、窓がガラッと開く音がした。
ゆっくりと目を開けると、ベッドの近くの窓に腰掛ける月に照らされたカカシ先生がいた。
「サークラ、体調はどう?」
「・・・勝手に部屋に入らないでもらえます?」
「だって鍵開いてたからさ。不用心だぞ?不審者が急に入ってきたらどうすんだ」
「本当ですね。今すごく身に染みてます」
熱の怠さで強く怒ることができず、先生は靴を脱いで部屋に入ってくる。
これでも一応女なのに平気で入ってくるなんて、遠慮という言葉を知らないのだろうか。
まぁお土産に桃のゼリーを買ってきてくれたから許そう。
というか、どこで私が体調崩してるの聞いたんだろうか。
「で、加減は?」
「先生のせいですごく悪いです」
「あらら、どうして?」
ヘラヘラ笑う先生を思い切り睨む。
絶対分かってるくせにいつもこうやってはぐらかす。
「・・・先生はなんでキスしたんですか」
「何でしたと思う?」
「聞き返さないでください」
「サクラの答えが知りたいだけ」
微笑する先生に、ずっと考えていたことを口にする。
「カカシ先生は、私のことが好きなの?」
体を起こして真剣に聞いているのに先生はただ微笑むだけ。
それがまた私の怒りを増長させる。
「答えたんだから先生も答えてよ」
「いいよ。じゃあ答え合わせをしようか」
そう言って先生はマスクを下げ、目を瞬かせる私を押し倒しながらあの時より長く唇を重ねた。
忙しい綱手様の手伝いの傍ら、1人演習場で修行をする日々。
今日はここ一番の暑さらしく、少し立っているだけでも汗が溢れ出す。
今は木陰で休んでいるからさっきよりはマシだけど・・・。
「あ〜ん・・・アイス食べたいよ〜・・・」
「ほら」
「うぎゃっ!?」
目を瞑って嘆いていると、後ろから頬に冷たいのが当てられて変な声が出る。
冷たい頬を手で押さえながら振り向くと、そこに口を押さえて笑っているカカシ先生が。
「か、カカシ先生!?なんでここに!」
「いや・・・綱手様からサクラが修行頑張ってるって聞いたからアイスの差し入れに来たんだけど・・・それにしてもその悲鳴はないでしょ。もう少し女の子らしく可愛い悲鳴はあげられないのか?さっきのは怪獣みたいだったぞ」
「う、うっさいわね!いきなり後ろから冷たいの当てられたら可愛い声なんか出せないわよ!いいからアイスよこしなさいよ!」
「はいはい」
未だに笑う先生からアイスを引ったくり、袋からソーダ味の棒アイスを取り出して齧る。
するとさっきまで暑かったのが嘘のように体の中から冷えていく。
暑いのは嫌だけど、こんな時に食べるアイスは格別だ。
味わってアイスを食べていると隣から視線を感じて顔を向ける。
「なに?」
「アイス少しくれない?」
「自分の買わなかったの?」
「うん。サクラが美味しそうに食べてるの見てたら食べたくなってきた」
ずっと見られていたことに羞恥でまた体が熱くなり、私はそれを隠すように意地悪く笑う。
「いいけど先生、それってマスクはずす、こと、に・・・」
座ってても身長差から見上げないといけなくて、顔を上げたときに見えたのは口布を下げた先生の顔だった。
あれだけ頑なに見せてくれなかった素顔が簡単に目の前に現れ、ポカンとマヌケな顔をする私を無視して先生は大きく口を開けてアイスに齧りついた。
「・・・あま」
口の端に付いたアイスを指で拭いながら文句を言う先生に意識を取り戻し、自分の手元を見ると、先ほど私が口を付けたところが大きく齧られていて・・・
「あーー!ちょっと先生!なんで私が食べたところ食べてるのよ!!」
「なんでって、齧りやすかったから」
「だからって!これじゃ間接キスじゃない!」
私はアイスを突き出して先生を思い切り睨んでいるのに、先生は「ははっ」と笑う。
「サクラちゃん、こんなことで騒いで──」
ふと目の前が暗くなり、唇に柔らかいものが重なる。
目を見開いていると、近くにあったカカシ先生の顔が離れていく。
「キスされたらどうするの?」
何が起きたのか分からず、またポカンと呆ける私を置いて先生は演習場を出て行った。
私は小さくなる背中が見えなくなってもその方をずっと見て、
「・・・・・・は?」
ようやく出たその言葉は誰の耳にも入ることなく風と一緒に消えていった。
それからあのキスの意味を考えているうちに自慢の頭脳がオーバーヒートし、夜に知恵熱が出て早く就寝することにした。
これもそれも、あの男のせいだと掛け布団を顔の近くまで引き上げた時、窓がガラッと開く音がした。
ゆっくりと目を開けると、ベッドの近くの窓に腰掛ける月に照らされたカカシ先生がいた。
「サークラ、体調はどう?」
「・・・勝手に部屋に入らないでもらえます?」
「だって鍵開いてたからさ。不用心だぞ?不審者が急に入ってきたらどうすんだ」
「本当ですね。今すごく身に染みてます」
熱の怠さで強く怒ることができず、先生は靴を脱いで部屋に入ってくる。
これでも一応女なのに平気で入ってくるなんて、遠慮という言葉を知らないのだろうか。
まぁお土産に桃のゼリーを買ってきてくれたから許そう。
というか、どこで私が体調崩してるの聞いたんだろうか。
「で、加減は?」
「先生のせいですごく悪いです」
「あらら、どうして?」
ヘラヘラ笑う先生を思い切り睨む。
絶対分かってるくせにいつもこうやってはぐらかす。
「・・・先生はなんでキスしたんですか」
「何でしたと思う?」
「聞き返さないでください」
「サクラの答えが知りたいだけ」
微笑する先生に、ずっと考えていたことを口にする。
「カカシ先生は、私のことが好きなの?」
体を起こして真剣に聞いているのに先生はただ微笑むだけ。
それがまた私の怒りを増長させる。
「答えたんだから先生も答えてよ」
「いいよ。じゃあ答え合わせをしようか」
そう言って先生はマスクを下げ、目を瞬かせる私を押し倒しながらあの時より長く唇を重ねた。
80/159ページ