short.2
◯あなたより先には
昔から先生が私を見るたびにどこか辛そうにしていることに気づいた。
何となく、私ではない誰かを重ねているのだろうと。
先生の手伝いで資料整理をしていると誤って本を何冊か落としてしまい、その中に古いアルバムを見つけた。
ページを捲っているとある写真が目につく。
仲が悪そうに距離を取った男の子2人の頭を押さえて困った顔をしている男の人と、その真ん中で笑っている女の子が。
私に似ていた。
「サクラ?何か物音がしたけど──あぁ」
物音に気づいた先生が私の見ていたアルバムにまたいつものように辛そうにする。
その顔で、この人はもうこの世にいないんだと悟った。
私に似ている、先生の大事な人は。
「カカシ先生」
「ん?」
「私は先生より先に死なないわよ。だって先生より若いんだもの」
私の言葉に先生は目を瞬かせ、ようやく私を見て笑ってくれた。
◯ジリジリ
ジリジリと視線が背中を刺す。
振り向いて目が合えばサクラは満面の笑みで笑う。
用はない、ただ好きだから見ていた。
そんなことを言われては我慢できなくなってしまうではないか、とカカシは笑いながら息を吐いた。
◯好きだからこその嫉妬
男と喋ると口を塞ぐ。
男を見ると目を塞ぐ。
サクラが他の男と関わるのが不安でしょうがない。
それが若い男なら尚更。
オレだけをずっと見てオレだけとずっと喋っていてほしい。
◯夢の話
「カカシ先生、朝よー」
目を瞑っていると愛おしい人の声が聞こえてくる。
あぁ、もう朝か。
隣には気配がすでに無くて寂しい。
「ほら、先生!」
いつものように起きないオレの肩を揺さぶるサクラ。
こうやってサクラに構ってほしくていつも起きないフリをする。
薄ら目を開けると、そこにはいつもより大人ぽいサクラが──
「起きて旦那様」
慌てて飛び起きると、目を丸くするいつも通りのサクラ。
どうやら寝ぼけていたらしい。
「どうしたの、先生」
「・・・いや。おはよう、サクラ」
「おはよう、カカシ先生」
起きたのを確認して去っていくエプロンを付けたサクラに、頭を掻く。
いつかそんなことを言われたいなぁ、と布団にまた潜ったらサクラに見つかって怒られた。
◯お揃いの指輪
「サクラー。早く準備しないと結婚式までに終わらないぞー」
「うん・・・」
来週にカカシとサクラの結婚式が控えているのだがまだやらないといけないことが山積み。
なのにサクラはずっと自分の左手に輝く指輪を見て惚けている。
カカシは注意しながらも自分も今日だけで何度も指輪を見てニヤけているので強く言えないのであった。
昔から先生が私を見るたびにどこか辛そうにしていることに気づいた。
何となく、私ではない誰かを重ねているのだろうと。
先生の手伝いで資料整理をしていると誤って本を何冊か落としてしまい、その中に古いアルバムを見つけた。
ページを捲っているとある写真が目につく。
仲が悪そうに距離を取った男の子2人の頭を押さえて困った顔をしている男の人と、その真ん中で笑っている女の子が。
私に似ていた。
「サクラ?何か物音がしたけど──あぁ」
物音に気づいた先生が私の見ていたアルバムにまたいつものように辛そうにする。
その顔で、この人はもうこの世にいないんだと悟った。
私に似ている、先生の大事な人は。
「カカシ先生」
「ん?」
「私は先生より先に死なないわよ。だって先生より若いんだもの」
私の言葉に先生は目を瞬かせ、ようやく私を見て笑ってくれた。
◯ジリジリ
ジリジリと視線が背中を刺す。
振り向いて目が合えばサクラは満面の笑みで笑う。
用はない、ただ好きだから見ていた。
そんなことを言われては我慢できなくなってしまうではないか、とカカシは笑いながら息を吐いた。
◯好きだからこその嫉妬
男と喋ると口を塞ぐ。
男を見ると目を塞ぐ。
サクラが他の男と関わるのが不安でしょうがない。
それが若い男なら尚更。
オレだけをずっと見てオレだけとずっと喋っていてほしい。
◯夢の話
「カカシ先生、朝よー」
目を瞑っていると愛おしい人の声が聞こえてくる。
あぁ、もう朝か。
隣には気配がすでに無くて寂しい。
「ほら、先生!」
いつものように起きないオレの肩を揺さぶるサクラ。
こうやってサクラに構ってほしくていつも起きないフリをする。
薄ら目を開けると、そこにはいつもより大人ぽいサクラが──
「起きて旦那様」
慌てて飛び起きると、目を丸くするいつも通りのサクラ。
どうやら寝ぼけていたらしい。
「どうしたの、先生」
「・・・いや。おはよう、サクラ」
「おはよう、カカシ先生」
起きたのを確認して去っていくエプロンを付けたサクラに、頭を掻く。
いつかそんなことを言われたいなぁ、と布団にまた潜ったらサクラに見つかって怒られた。
◯お揃いの指輪
「サクラー。早く準備しないと結婚式までに終わらないぞー」
「うん・・・」
来週にカカシとサクラの結婚式が控えているのだがまだやらないといけないことが山積み。
なのにサクラはずっと自分の左手に輝く指輪を見て惚けている。
カカシは注意しながらも自分も今日だけで何度も指輪を見てニヤけているので強く言えないのであった。
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