short.2
早く仕事が終わり、久しぶりに居酒屋で飲むかと店に入ると、カウンターでサクラが1人で飲んでいた。
珍しいなと声をかけると、いつから飲んでいたのか顔を真っ赤にしてデロンデロンに酔っ払っていた。
面倒くさい時に声をかけてしまったと後悔し、別の席に移動しようと思ったがガッチリベストを掴まれていた。
肩越しにサクラを見るとにっこり微笑んでいて、先程の自分を恨んだ。
それから隣の席に腰掛けて酒とつまみを注文する。
目の前に酒が届いたタイミングでサクラが追加で頼んでいたビールも届いたのでコップを鳴らす。
オレとしては水かお茶を飲んでほしいところだが今更遅い。
それからサクラの愚痴を聞き流しながらお酒を煽っていると、先ほどとは違う重さのため息を吐いたので横目でサクラを見る。
「・・・結婚したい」
サクラの悩みに、もうそんな年頃なんだよな、と感慨深くなる。
隣の少女はもう少女ではなく女性という言葉が似合うように成長し、お酒も飲み合えるほどの年月が経ったのだと思い知らされる。
1人で昔に思いを馳せている間もサクラはグチグチとビールを煽ってオレのつまみを勝手に食べているのを見て失笑する。
「そんなに結婚したいのか?」
「そりゃしたいわよ。周りはどんどん結婚してくってのに私には相手すらいないし・・・」
「ならオレとする?」
頬杖をつきなから冗談で言うと、サクラは目をパチクリさせてふにゃっと笑う。
「あ〜、それいいかも」
え、と思うと同時にサクラは電池が切れたみたいに突然机に顔面を打ちつけた。
「さ、サクラ?」
驚いて肩を揺するも反応はなく、聞こえるのは気持ちよさそうな寝息のみ。
これは完全におちたな、とオレはため息を吐きながら頬を緩ませた。
****
「ん、んー・・・頭、痛い・・・」
時計のアラームの目を覚まし、体を起こすと共に訪れた頭痛に眉を顰める。
昨日は次の日が休みだから飲みに行こうと思ったらけど誰も捕まらず、1人行きつけの居酒屋でお酒を飲んでいた。
師匠によく付き合わされていたからそれなりに強いけど、仕事の疲れもあって酔い気味になっていると、そこにカカシ先生がやってきて。
長年の信頼関係から色々愚痴を溢してしまった。
最後の記憶は何か先生に言われて私が頷いて──。
「・・・ダメ。思い出せないわ」
私は早々に諦めてベッドから降りようとした時、ふと視線を感じて顔を上げると。
「おはよう」
目の前に椅子に座ってコーヒーを飲むカカシ先生がこちらをじっと見ていた。
何故ここに先生がいるのか。
慌てて自分の格好を見るとちゃんと服を着ていてほっとする。
「手は出してないよ、まだ」
──・・・まだ?
「先生珍しく早起きなのね」
「うん。朝一でこれ取りに行ってたから」
はい、と差し出してくる紙を受け取り中身を見て驚愕する。
だって、1番上に婚姻届って書いてあるんだもの。
「・・・なにこれ?」
「婚姻届」
「・・・夫側に先生の名前があるんだけど」
「うん。オレのだからね」
「え、先生結婚するの?」
「うん。サクラとね」
「はっ!?」
「昨日約束しただろ?オレと結婚するって」
「して──!ましたね・・・」
「でしょ」
先生の言葉に一気に昨夜のことが蘇り、自分の言動に頭を抱える。
チラッと先生を見るとニコニコと、これまで見たことのないほどの満面の笑みに居心地が悪くなる。
「で、でもまさか本気にするわけ・・・」
「取りに行った時にこれも一緒に貰ってきたんだ。式場とウエディングドレスのパンフレット。あ、あと、これ出しに行く時に指輪見に行こうね」
ウキウキとパンフレットを見る先生にに冷や汗が止まらない。
どうにかして先生のヤル気を削がないと。
「で、でも私なんかに火影の妻が務まるわけが・・・」
「綱手様の意志を引き継いで立派に勤めてるサクラ以上に適任はいないでしょ。サクラのおかげで里も周りの集落も医療がだいぶ発展した」
「そ、それに、付き合ってもいないのに結婚だなんて両親が賛成するわけが・・・」
「あぁ、それならさっきご挨拶に行ったら嬉しそうにしてたよ」
右頬がヒクリと引き攣る。
知らぬ間にどんどん外堀を固められて既に逃げ場がない状況に頭をまた抱える。
そんなこともお構いなしの先生はウェディングドレスのパンフレットをこちらに向けて嬉しそうな顔をしている。
「ね、このドレスどっちもサクラに似合う思うんだけど、どっちがいい?」
「・・・・・・右」
右のドレスの写真を指差し、「りょーかい」と嬉しそうに微笑まれては諦めるしかないのかもしれない。
珍しいなと声をかけると、いつから飲んでいたのか顔を真っ赤にしてデロンデロンに酔っ払っていた。
面倒くさい時に声をかけてしまったと後悔し、別の席に移動しようと思ったがガッチリベストを掴まれていた。
肩越しにサクラを見るとにっこり微笑んでいて、先程の自分を恨んだ。
それから隣の席に腰掛けて酒とつまみを注文する。
目の前に酒が届いたタイミングでサクラが追加で頼んでいたビールも届いたのでコップを鳴らす。
オレとしては水かお茶を飲んでほしいところだが今更遅い。
それからサクラの愚痴を聞き流しながらお酒を煽っていると、先ほどとは違う重さのため息を吐いたので横目でサクラを見る。
「・・・結婚したい」
サクラの悩みに、もうそんな年頃なんだよな、と感慨深くなる。
隣の少女はもう少女ではなく女性という言葉が似合うように成長し、お酒も飲み合えるほどの年月が経ったのだと思い知らされる。
1人で昔に思いを馳せている間もサクラはグチグチとビールを煽ってオレのつまみを勝手に食べているのを見て失笑する。
「そんなに結婚したいのか?」
「そりゃしたいわよ。周りはどんどん結婚してくってのに私には相手すらいないし・・・」
「ならオレとする?」
頬杖をつきなから冗談で言うと、サクラは目をパチクリさせてふにゃっと笑う。
「あ〜、それいいかも」
え、と思うと同時にサクラは電池が切れたみたいに突然机に顔面を打ちつけた。
「さ、サクラ?」
驚いて肩を揺するも反応はなく、聞こえるのは気持ちよさそうな寝息のみ。
これは完全におちたな、とオレはため息を吐きながら頬を緩ませた。
****
「ん、んー・・・頭、痛い・・・」
時計のアラームの目を覚まし、体を起こすと共に訪れた頭痛に眉を顰める。
昨日は次の日が休みだから飲みに行こうと思ったらけど誰も捕まらず、1人行きつけの居酒屋でお酒を飲んでいた。
師匠によく付き合わされていたからそれなりに強いけど、仕事の疲れもあって酔い気味になっていると、そこにカカシ先生がやってきて。
長年の信頼関係から色々愚痴を溢してしまった。
最後の記憶は何か先生に言われて私が頷いて──。
「・・・ダメ。思い出せないわ」
私は早々に諦めてベッドから降りようとした時、ふと視線を感じて顔を上げると。
「おはよう」
目の前に椅子に座ってコーヒーを飲むカカシ先生がこちらをじっと見ていた。
何故ここに先生がいるのか。
慌てて自分の格好を見るとちゃんと服を着ていてほっとする。
「手は出してないよ、まだ」
──・・・まだ?
「先生珍しく早起きなのね」
「うん。朝一でこれ取りに行ってたから」
はい、と差し出してくる紙を受け取り中身を見て驚愕する。
だって、1番上に婚姻届って書いてあるんだもの。
「・・・なにこれ?」
「婚姻届」
「・・・夫側に先生の名前があるんだけど」
「うん。オレのだからね」
「え、先生結婚するの?」
「うん。サクラとね」
「はっ!?」
「昨日約束しただろ?オレと結婚するって」
「して──!ましたね・・・」
「でしょ」
先生の言葉に一気に昨夜のことが蘇り、自分の言動に頭を抱える。
チラッと先生を見るとニコニコと、これまで見たことのないほどの満面の笑みに居心地が悪くなる。
「で、でもまさか本気にするわけ・・・」
「取りに行った時にこれも一緒に貰ってきたんだ。式場とウエディングドレスのパンフレット。あ、あと、これ出しに行く時に指輪見に行こうね」
ウキウキとパンフレットを見る先生にに冷や汗が止まらない。
どうにかして先生のヤル気を削がないと。
「で、でも私なんかに火影の妻が務まるわけが・・・」
「綱手様の意志を引き継いで立派に勤めてるサクラ以上に適任はいないでしょ。サクラのおかげで里も周りの集落も医療がだいぶ発展した」
「そ、それに、付き合ってもいないのに結婚だなんて両親が賛成するわけが・・・」
「あぁ、それならさっきご挨拶に行ったら嬉しそうにしてたよ」
右頬がヒクリと引き攣る。
知らぬ間にどんどん外堀を固められて既に逃げ場がない状況に頭をまた抱える。
そんなこともお構いなしの先生はウェディングドレスのパンフレットをこちらに向けて嬉しそうな顔をしている。
「ね、このドレスどっちもサクラに似合う思うんだけど、どっちがいい?」
「・・・・・・右」
右のドレスの写真を指差し、「りょーかい」と嬉しそうに微笑まれては諦めるしかないのかもしれない。
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