short.2
◯彼女以外いらない
カカシはサクラと付き合うようになって、見ているこっちが恥ずかしくなるほどの甘々になった。
しかし、それまでは来るもの拒まず、去るもの追わず。
カカシに何人ものオトモダチがいたことは忍なら誰しもが知っていることだった。
だからたった1人で満足できるはずないと、くノ一の1人がお酒の席でカカシに擦り寄るも、カカシはそれを拒み離す。
まさか拒まれるとは思っていなかった女は食いさがる。
「別にいいじゃない。昔は彼女いても遊んでたでしょ。バレなきゃ大丈夫よ」
「サクラ以外の女ってみんな同じに見えるんだよね。もうサクラしか受け付けないから」
カカシは立ち上がり、女を置いて店を出た。
どこかご機嫌良く歩くその足はサクラの家へと向かっていた。
◯救う手
サクラが綱手様に弟子入りをして暫く。
任務に出た時に敵の攻撃で傷を負ってしまい、医務室に向かっているとばったりサクラに出くわし、治させてくれとのサクラからの申し出を快く引き受けた。
それから空き部屋に連れて行かれ、腕の傷に添えた手から優しいチャクラが流れてきてみるみる傷が癒えていく。
「おー、すごいな。もう治せるのか」
「これからは私が先生の傷治してあげるからね」
「ならいっぱい怪我してこようかな」
はは、と笑うと、サクラの顔が陰ったのが分かった。
少し悪ふざけが過ぎたか?と顔を覗き込む。
「サクラ?」
「先生のここの傷も治せたらいいのに」
「え?」
顔を上げたサクラはオレの胸に手を置く。
「ここ。穴が空いてる。大きくて深いの。いっぱい修行して、いつか治してあげるね」
微笑むサクラに目を丸くする。
思わずサクラを掻き抱き、細い肩に顔を埋める。
「カカシ先生?」
泣いてると思われたのか背中を摩ってくれる小さな手に小さく笑みが溢れる。
自分だって傷ついているのに人のために優しくできる子。
この子はどれだけオレを救ってくれるんだろうか。
◯セーター
商店街を歩いていたカカシはふと、ある店のディスプレーが目に入った。
そこは女性物の服屋さんで、男であるカカシが着る服はあるわけもない。
しかしカカシは釘付けになってディスプレーを見て、妖しい笑みを浮かべて店に入った。
夜。
部屋に遊びに来たサクラに買った服をデラックスあんみつを奢るのを条件に無理やり押し付け、渋々着たサクラが現れて・・・。
その姿は胸元が開いている。
それはだいぶん前に流行った童貞を殺すセーターだ。
胸があれば谷間が見えるようになっているのだが、胸が小さいサクラではできるものもなく・・・
「やっぱりか」
サクラの胸元を見てポツリと呟いた言葉に、サクラはカカシを思い切り殴り飛ばした。
◯よくあるセリフ
家に帰ると何故かカカシ先生がエプロンを着ていた。
無視して部屋に入ると後ろを付いてくる。
「ご飯にする?お風呂にする?それとも、オ・レ?」
「ご飯」
「ご飯にする?お風呂にする?それとも──」
「ご飯って言ってんでしょ!」
何を言わせたいのか分かったが絶対選ばない。
だって私たちは付き合ってないのだから。
◯大人になりたくて
「早く大人になりたい」
落ち込んでいるサクラの相談を聞いたらそんなことを言い出した。
最近修行にも行き詰まっていると綱手様から聞いているし、同期たちとの差や、少年たちに何も出来ない自分に歯痒いのだろう。
落ち込むサクラの頭に手を置く。
「大人にしてやろうか?」
いつもの撫で方ではなく、意味を持たせる。
いつものように揶揄ったことを怒って元気になってほしいと思って。
サクラも気づいて目を丸くしてこちらを見上げてくる。
「なーんて」
「うん」
「──え」
今度はオレが目を丸くする。
サクラは顔を真っ赤にして見つめてくる。
大きな瞳は緊張で震えている。
「大人にして、カカシ先生・・・」
翡翠の瞳の熱に思わず喉が鳴った。
カカシはサクラと付き合うようになって、見ているこっちが恥ずかしくなるほどの甘々になった。
しかし、それまでは来るもの拒まず、去るもの追わず。
カカシに何人ものオトモダチがいたことは忍なら誰しもが知っていることだった。
だからたった1人で満足できるはずないと、くノ一の1人がお酒の席でカカシに擦り寄るも、カカシはそれを拒み離す。
まさか拒まれるとは思っていなかった女は食いさがる。
「別にいいじゃない。昔は彼女いても遊んでたでしょ。バレなきゃ大丈夫よ」
「サクラ以外の女ってみんな同じに見えるんだよね。もうサクラしか受け付けないから」
カカシは立ち上がり、女を置いて店を出た。
どこかご機嫌良く歩くその足はサクラの家へと向かっていた。
◯救う手
サクラが綱手様に弟子入りをして暫く。
任務に出た時に敵の攻撃で傷を負ってしまい、医務室に向かっているとばったりサクラに出くわし、治させてくれとのサクラからの申し出を快く引き受けた。
それから空き部屋に連れて行かれ、腕の傷に添えた手から優しいチャクラが流れてきてみるみる傷が癒えていく。
「おー、すごいな。もう治せるのか」
「これからは私が先生の傷治してあげるからね」
「ならいっぱい怪我してこようかな」
はは、と笑うと、サクラの顔が陰ったのが分かった。
少し悪ふざけが過ぎたか?と顔を覗き込む。
「サクラ?」
「先生のここの傷も治せたらいいのに」
「え?」
顔を上げたサクラはオレの胸に手を置く。
「ここ。穴が空いてる。大きくて深いの。いっぱい修行して、いつか治してあげるね」
微笑むサクラに目を丸くする。
思わずサクラを掻き抱き、細い肩に顔を埋める。
「カカシ先生?」
泣いてると思われたのか背中を摩ってくれる小さな手に小さく笑みが溢れる。
自分だって傷ついているのに人のために優しくできる子。
この子はどれだけオレを救ってくれるんだろうか。
◯セーター
商店街を歩いていたカカシはふと、ある店のディスプレーが目に入った。
そこは女性物の服屋さんで、男であるカカシが着る服はあるわけもない。
しかしカカシは釘付けになってディスプレーを見て、妖しい笑みを浮かべて店に入った。
夜。
部屋に遊びに来たサクラに買った服をデラックスあんみつを奢るのを条件に無理やり押し付け、渋々着たサクラが現れて・・・。
その姿は胸元が開いている。
それはだいぶん前に流行った童貞を殺すセーターだ。
胸があれば谷間が見えるようになっているのだが、胸が小さいサクラではできるものもなく・・・
「やっぱりか」
サクラの胸元を見てポツリと呟いた言葉に、サクラはカカシを思い切り殴り飛ばした。
◯よくあるセリフ
家に帰ると何故かカカシ先生がエプロンを着ていた。
無視して部屋に入ると後ろを付いてくる。
「ご飯にする?お風呂にする?それとも、オ・レ?」
「ご飯」
「ご飯にする?お風呂にする?それとも──」
「ご飯って言ってんでしょ!」
何を言わせたいのか分かったが絶対選ばない。
だって私たちは付き合ってないのだから。
◯大人になりたくて
「早く大人になりたい」
落ち込んでいるサクラの相談を聞いたらそんなことを言い出した。
最近修行にも行き詰まっていると綱手様から聞いているし、同期たちとの差や、少年たちに何も出来ない自分に歯痒いのだろう。
落ち込むサクラの頭に手を置く。
「大人にしてやろうか?」
いつもの撫で方ではなく、意味を持たせる。
いつものように揶揄ったことを怒って元気になってほしいと思って。
サクラも気づいて目を丸くしてこちらを見上げてくる。
「なーんて」
「うん」
「──え」
今度はオレが目を丸くする。
サクラは顔を真っ赤にして見つめてくる。
大きな瞳は緊張で震えている。
「大人にして、カカシ先生・・・」
翡翠の瞳の熱に思わず喉が鳴った。
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