このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

short.2

サクラには誰にも言えない秘密があった。
それは赤い糸が見えること。
自分の糸だったり、周りの人の糸だったり。
その人の糸の先を見れば先が全く見えなかったり、恋人同士の人の手の糸がちゃんと繋がってたり繋がってなかったり。
色んな糸があって、それを見るのがサクラの楽しみでもあった。

ふと、サクラは自分の手を見る。
左手の小指には赤い糸が結んである。
先日、サクラたちはアカデミーを卒業を無事卒業した。
それから昨日イルカによって班分けが行われ、ずっと恋をしているサスケと同じ班になれた。
ナルトというオマケ付きだが。
それでもこれからはずっと好きな人といれるというのはものすごく幸せなことだ。
しかしサクラは小さくため息を吐く。
その理由はこの赤い糸。
自分の赤い糸はサスケと繋がっていないのだ。
自分の中では運命の人だと思っていたのに。
でも幸いなのは、サスケの赤い糸も誰とも繋がっていない。
もしかしたら自分にもチャンスがあるかもしれないと、サクラは班ごとに別れて座るアカデミーの教室で意気込む。
今から下忍たちは担当上忍と顔を合わせることになっている。
他の班の上忍はすぐに来て、残っているのは3人だけになった。
いくら待っても来ないことに痺れを切らしたナルトは黒板消しをドアに仕込み、暫くして現れた上忍師はナルトのベタベタのトラップに簡単に引っかかる。
嬉しそうに笑うナルト、怪訝な表情を向けるサスケ。
サクラはカカシの手を見て目を丸くしていた。

何故ならカカシの左手の赤い糸とサクラの赤い糸が繋がっていたから──。




「ねぇ、先生は赤い糸って信じる?」
「女の子ってそういうの好きだよね。そういうサクラは信じてるのか?」

ソファーに座るサクラをカカシは後ろから抱きしめる。
先日2人が恋仲になってからサクラはカカシの部屋に来るようになった。
任務中はナルトとサスケがいて恋人らしいことは出来ないため、任務が終わってサクラが家に帰るまでの数時間、こうやってくっ付いて仲を深めている。
恋人と聞くと淫らなことをしているのでは、と恐らく皆が不信感を抱くだろうが、2人はまだ清い関係。
キスはするがそれも軽く触れ合う程度。
カカシはサクラが大きくなるまでちゃんと我慢しているらしい。
普段は不真面目なカカシのギャップにサクラは大事にされているのだと胸をときめかせた。

サクラは自分の小さな白い手を見る。
任務などで小さい傷が付いているがそれも勲章。
サクラは自分の手から腰に回る手を見る。
自分の手とは違い、大きくてたくさんの傷が付いた手。
撫でられた時に自分の頭がすっぽり収まるぐらい大きくて優しい手がサクラは好きだ。
その左手の小指には赤い糸が巻き付いている。
もちろんその先はサクラの左手の小指。
誰にも、もちろんカカシにも見えない赤い糸はサクラとカカシの手の間で繋がっている。
赤い糸は運命の証。
これを見せられたら・・・。

「信じるしかないわよねぇ」

左手を持ち上げて呟くサクラにカカシは首を傾げた。


106/159ページ