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short.2

「先生は幸せだなって思ったことはなに?」
「なに?急に」
「いいから」

寛いでいるとベッドに腰掛けているサクラから背中越しに話しかけられる。
体を起こしてサクラを後ろから抱きしめると、サクラの手元には先程から見ている雑誌があり、幸せ特集のページが開かれていた。
なるほど、とサクラらしさに微笑む。

「サクラとえっちしてる時かな?」

サクラの肩に顎を乗せて答えると思い切り鳩尾に肘が入れられて咽せる。

「げほ・・・」
「まじめに答えて」

肩越しにジロリと睨んでくるサクラに肩をすくめて、先程の質問の答えを考える。

「3つあるんだけど」
「意外。1つ目は?」
「お前たちに出会ったことかな」
「先生らしいわ。2つ目は?」

嬉しそうに笑う顔は成長しても昔と変わらず愛らしい。

「サクラと付き合えた時」
「・・・3つ目は?」
「サクラとこうやって2人で過ごしてる時」

お腹を引き寄せて隙間なくくっ付くとサクラの鼓動が伝わってくる。
サクラと出会うまで、この音がこんなにも幸せなものなのだと知らなかった。
これだけじゃない。
30年も生きといて14も年下の少女にたくさんのことを教えられている。
サクラといるとモノクロだった世界が色付いていく。

「サクラは?」

後ろから顔を覗き込むと背けられる。

「・・・同じこと言わせる気?」

この話は終わり、とページを捲るサクラだが、耳が真っ赤になっていて明らかに雑誌の内容が入っていないのがおかしくて愛らしくて。
赤い耳に口を近づけるとピクリと反応する。

「サクラは本当可愛いなぁ。えっちしよっか」
「しません!!」

べちんっと腰に回す手を思い切り叩かれた。

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