このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

short.2

昔からカカシが自分の身を大事にしていないことを感じていた。
仲間を守るために自己犠牲をするカカシに、とてつもなく胸を締め付けられていた。
そんなある日、任務に出ていたカカシが意識不明の重体で担ぎ込まれたと執務室に慌てて忍が駆け込んできて、サクラは気を失いそうになる自分に鞭を打ってカカシの元に向かう綱手の後を追いかけた。


カカシは夢を見ていた。
気づいたら青空の下にいて、自分は下忍時代の服を着ていた。
目の前にはかつての友のオビトとリンが変わらない姿で笑顔で手を振っていた。
またあの頃に戻れる。
側に行こうと1歩足を踏み出したとき、後ろに強く引っ張られた。
腕を必死に掴む小さな手。
その人物の顔を見ようとした時、白い光に包まれた。

そこはよく知っている、自分の部屋ではない天井。
また病院に担ぎ込まれたのか、と思っていると隣から声を殺して啜り泣く声が聞こえて顔だけ向けると、薄紅色の髪の中心にあるつむじが目に入る。

「・・・サクラ」

教え子の名前を呟くと、肩がビクッと跳ねてゆっくりと顔を上げた。
大きな瞳は真っ赤に腫れて白い頬は涙の筋が暗闇でも分かる。
驚いたように目を丸くしていたサクラはカカシの顔を見てまたボロボロ涙を流す。

「・・・なんで、泣くんだ」
「なんでじゃ、ないわよ・・・!意識不明の重症で担ぎ込まれて、3日経っても目を覚まさなかったのよ・・・!?」
「・・・ごめん」

泣きながら睨んでくるサクラに素直に謝る。
サクラの泣き顔には昔から弱い。

「・・・もう嫌。なんで先生は自分を大事にしないの。大事にしてよ。もう傷つく先生を見るのは嫌なの・・・」
「・・・ごめん。今まで大事な人がいなかったらいつ死んでもいいと思ってた。でもこれからはサクラの為に生きる。サクラがいる場所に帰るから、これからも側にいてくれないか?」

突然の申し出にサクラは目を見開き、先程より大粒の涙を流す。
今の涙はさっきまでの辛そうな涙ではなく幸せの涙なのだと分かり、心が暖かくなる。

「もし死んだら追いかけて殴ってやから」
「それは嫌だから気をつけるよ」

今のサクラに殴られたらそれこそ死にそうだな、苦笑しながら白い小さな手を大事に握りしめた。


110/159ページ