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short.2

「サクラが好きだから付き合って」

後ろから聞こえた告白に眉間に皺を寄せて振り向く。
ここ毎日聞かされる薄っぺらい告白に辟易している。

「ダメ」
「なんで」
「ダメったらダメなの」
「なんで」

先生の返答にだんだんイライラしてきたがここは我慢、我慢。

「世間が許さないでしょ」
「なんで」

短気の私の中で何かが簡単に切れた。

「なんでじゃない!私は先生の教え子で14歳も離れてて、私は12歳なの!先生が悪く言われるでしょ!」
「別にいいよ」
「良くない!私も先生が好きなのに、先生が悪く言われるのは耐えられない!」
「サクラ・・・」
「私は先生と対等の恋人になりたいの」

瞳に膜が張り、泣かないように唇を噛んで耐える。
私がまだ子供だから祝福してくれる人は少ない。
だからもう少し大人になって先生の隣に並べれるぐらい成長してから私から告白をしようって思ってるのに。
それなのに先生は簡単に告白をしてくるから腹が立つ。
ワンピースに皺が寄るぐらい握りしめているとその手を解かれて抱きしめられる。

「分かった。サクラが大人になるまで我慢する」
「うん・・・」

優しく抱きしめてくれる背中に私も腕を回す。
先生が抱きしめたら腕の中にすっぽり収まるのに、私だと手がくっ付かないほどに背中が大きい。
それが私たちの差。

「ちなみに何歳?」
「20歳」
「う・・・あと6年・・・」

キッパリ言うと辛そうな声に私は小さく笑う。

「ウソ。16歳にはみんなに認められる大人になる。だから待ってて」
「うん。待ってる」

私たちは一緒に笑って強く抱きしめ合った。


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