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short.2

◯キス

先生は褒めてくれたり慰めてくれる時は目が合うようにしゃかんだり顔を覗き込むから、当然顔が近くにくる。
最初は戸惑っていたけど、それが続けば慣れるというもの。
でも。
慣れていたのは師としてのカカシ先生だった。
恋人としての先生は師の時とは違う優しさで接してきて、甘い。
私のことが好きなんだと黒にも見える灰青の瞳から伝わってくる。
その瞳に見つめられると心臓が煩くて落ち着かなくて。
キスをして目をそっと開けると灰青と目が合った。
恥ずかしさに目を逸らすとまた唇を塞がれ、口を離した先生は小さく笑う。

「サクラ可愛い」

たぶんこの距離は一生慣れそうにない。






◯可愛いのに

暁との闘いで入院をしているカカシの病室に教え子2人と新しく配属されたサイがお見舞いに来てくれたのだが。
3人の内2人が何故か頬が腫れてた。
ナルトのことだから何かやらかしたのかとサクラに聞いても何でもないの一点張り。
ふと、サクラの様子がいつもと違うことに気づいたカカシは病室を出て行こうとするサクラだけを引き止めた。

「どーしたの」
「何がですか」
「なんかあったでしょ。先生に話してごらん」

優しく微笑むカカシにサクラは先程あった出来事を話す。
サイにブサイクだと言われたことを思い出して両手をブンブン振り上げながら憤っているとカカシは困ったように笑う。

「あらら、それはひどい」
「でしょ!?本当信じられないわ!」
「そうだねぇ。サクラは昔からこんなにも可愛いのに」

振り下げようとした手がピタッと止まる。
カカシはいつものようにニコニコ笑っている。
何の意味もないお世辞だと分かっているのに不覚にも頬を染めてしまった自分が不甲斐ないとサクラは顔を逸らした。






◯歪んだ愛情

「・・・これ、どういうこと」

家に帰ってきて早々、同棲するサクラからシャツを突き出された。
それは昨日オレが着ていたシャツで、首元にくっきりと派手な赤い口紅が付いていた。
もちろんサクラではない。
サクラはこんなものを付けなくても十分可愛いからだ。
つまりこの口紅の犯人は恋人のサクラではなく別の女、ということになるわけで。
決定的な浮気の証拠にサクラは眉と目を釣り上げて眉間に皺を寄せてオレを睨んでいた。
ちなみにこれが初めてではない。
毎回このように突き詰められて謝って仲直りをして、またこのようになるように仕向けるのだ。
何故かって?
そりゃ怒った顔のサクラが一番可愛いからに決まってるでしょ。






◯私だけのモノ

気づいたら任務が終われば先生と手を繋いで報告書を出しに行くのが日課になっていた。
任務中は厳しいカカシ先生も終わればうんと優しくなる。
いつもポケットに入っている手も隣に立てば自然に手を差し出してくれる。
それにナルトとサスケくんとは手を繋がらない。
唯一の女の私の特権なのだ。
頬を緩ませながら先生の顔を横目で盗み見ていると、視線に気づいた先生と目が合う。
何もやましいことではないのに焦っていると、先生はいつものように微笑んでくれた。
たぶんこれも私にだけが許された笑顔なのかもしれないと、そう思った。

それから数年後、中忍になった私は気づいたら先生と付き合っていた。
恋人になっても手を繋いでアカデミーに向かうのは変わらない。
他愛のないことを話していると視線を感じて少し顔を上げる。
すると口布を下げた先生が顔を近づくてきて人前なのに唇を奪ってきた。
恥ずかしくて頬を膨らませて顔を赤くして睨むと先生は昔と変わらない顔で笑った。
やっぱり私にだけ許された笑顔。






◯事故よ事故!

ナルトとサスケくんが張り合うように修行をしているのを見ていたけどだんだん暇になって、どうせならカカシ先生に修行を付けてもらおうと木陰で休む先生の元に小走りで向かう。

「カカシせんせ・・・きゃっ!」

地面に穴が空いているのに気づかず、それに躓いて勢いよく先生に飛び込んだ。

「いたた・・・」

頭を抱えながら体を起こすと、体の下には驚いた表情のカカシ先生がいた。
倒れた時に勢い余って先生を押し倒してしまったらしく。
目を丸くして固まる私に先生はニヤリと笑うと、両腕を胸の前でクロスさせて何故か頬を染めた。

「サクラのえっち」

イヤン、と恥ずかしがる先生が何を言いたいのか分かり、私はナルト達が駆けつけるほどの大声で叫んだ。

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