short.2
オビト、マダラが引き起こした第四次忍界大戦から暫くして。
綱手様から火影を引き継いで戦争の復旧作業、五影との会議、視察。
毎日積み上がる書類、家に帰れない日々。
弱音を吐いてしまいそうになったがこれも親友との約束を果たすため、そして世界を救った英雄にこの座を譲り渡すまで頑張らなくてはいけない。
教え子にちゃんとした土台を作ってやろう。
その一心で里を守って数年。
やっとその荷を彼に渡してオレは不慣れな火影の相談役という役職を与えられ、時折先の戦争で歩けなくなった親友と温泉旅行に行ったりと気ままに過ごしていた。
それから数年後、50になったオレは忍を引退した。
早すぎる引退に周りは驚き、もう少し続けてくれと言われたが断った。
この人生、里のために充分尽くした。
それに今は頼もしい若い者がたくさん育っている。
ナルトだってもう立派な火影となりオレは必要となくなった。
ならオレがすることはこいつらをただ見守るだけだ。
オレは父と暮らした実家に戻りのんびりと過ごしていた。
今まで怒涛の日々を過ごしてきたからこんなにゆっくししているのは忍になって初めてかもしれない。
高台にあるこの家の縁側に座ると里を見下ろすことができる。
歴代の火影がこの里を守り、それを引き継いで教え子に渡した大事な場所。
お茶を飲みながら遠くから聞こえてくる子供の元気な声に耳を澄ませていると呼び鈴が鳴った。
オレは誰か分かっていたので立ち上がらないでいると、来訪者も当たり前のように玄関を開けてこちらに向かってくる。
「先生」
「サクラ」
少し伸びた薄紅の髪を揺らしながら顔を覗かせる元教え子の1人。
サクラはとことこと歩いてきて同じように縁側に座る。
「これ、ベランダで育ててたトマトと茄子です」
「お、ありがとー。サクラの野菜は美味しいからいくらでも食べれるんだよね」
「もう。本当口が上手いんだから」
サクラは呆れたように言いながらもその顔は嬉しそうだった。
オレが引退してからというもの、サクラはこうやってちょくちょく様子を見にくる。
今は高齢者の孤独死が問題になってるから心配なんだと言われた。
オレはまだピチピチのつもりなんだけどね。
眼下に広がる里を2人でいると涼しい風が吹く。
雲は高く、季節は夏。
こうやってサクラと過ごす夏は何度目になるだろうか。
「なぁサクラ」
「何ですか?」
「お前、いくつになったっけ」
「もう36ですけど」
女に年齢を聞くと大抵のやつは機嫌が悪くなる。
もちろんサクラも例外ではなく、こちらを睨んでくるので肩をすくめる。
「結婚しないのか?」
「その言葉、先生に返しますけど」
「もうこんなおじさん相手する人いないでしょ。サクラはまだ若いんだから」
「私だってもう若くないわよ。相手もいないですし」
思わずサスケのことを口に出しそうになって飲み込む。
それが分かったのかサクラはオレの胸に寄りかかり、上目遣いで昔から自分が可愛くみえるのを熟知した顔でこちらを見て目を閉じる。
「先生とこうやってるのが1番幸せだから」
幸せそうに笑うサクラ。
同じことを思っていてくれていたことが嬉しくて髪を優しく撫でるとサクラは気持ちよさそうに胸に擦り寄る。
オレたちの上で風鈴が風に吹かれ、気持ちの良い音を響かせた。
綱手様から火影を引き継いで戦争の復旧作業、五影との会議、視察。
毎日積み上がる書類、家に帰れない日々。
弱音を吐いてしまいそうになったがこれも親友との約束を果たすため、そして世界を救った英雄にこの座を譲り渡すまで頑張らなくてはいけない。
教え子にちゃんとした土台を作ってやろう。
その一心で里を守って数年。
やっとその荷を彼に渡してオレは不慣れな火影の相談役という役職を与えられ、時折先の戦争で歩けなくなった親友と温泉旅行に行ったりと気ままに過ごしていた。
それから数年後、50になったオレは忍を引退した。
早すぎる引退に周りは驚き、もう少し続けてくれと言われたが断った。
この人生、里のために充分尽くした。
それに今は頼もしい若い者がたくさん育っている。
ナルトだってもう立派な火影となりオレは必要となくなった。
ならオレがすることはこいつらをただ見守るだけだ。
オレは父と暮らした実家に戻りのんびりと過ごしていた。
今まで怒涛の日々を過ごしてきたからこんなにゆっくししているのは忍になって初めてかもしれない。
高台にあるこの家の縁側に座ると里を見下ろすことができる。
歴代の火影がこの里を守り、それを引き継いで教え子に渡した大事な場所。
お茶を飲みながら遠くから聞こえてくる子供の元気な声に耳を澄ませていると呼び鈴が鳴った。
オレは誰か分かっていたので立ち上がらないでいると、来訪者も当たり前のように玄関を開けてこちらに向かってくる。
「先生」
「サクラ」
少し伸びた薄紅の髪を揺らしながら顔を覗かせる元教え子の1人。
サクラはとことこと歩いてきて同じように縁側に座る。
「これ、ベランダで育ててたトマトと茄子です」
「お、ありがとー。サクラの野菜は美味しいからいくらでも食べれるんだよね」
「もう。本当口が上手いんだから」
サクラは呆れたように言いながらもその顔は嬉しそうだった。
オレが引退してからというもの、サクラはこうやってちょくちょく様子を見にくる。
今は高齢者の孤独死が問題になってるから心配なんだと言われた。
オレはまだピチピチのつもりなんだけどね。
眼下に広がる里を2人でいると涼しい風が吹く。
雲は高く、季節は夏。
こうやってサクラと過ごす夏は何度目になるだろうか。
「なぁサクラ」
「何ですか?」
「お前、いくつになったっけ」
「もう36ですけど」
女に年齢を聞くと大抵のやつは機嫌が悪くなる。
もちろんサクラも例外ではなく、こちらを睨んでくるので肩をすくめる。
「結婚しないのか?」
「その言葉、先生に返しますけど」
「もうこんなおじさん相手する人いないでしょ。サクラはまだ若いんだから」
「私だってもう若くないわよ。相手もいないですし」
思わずサスケのことを口に出しそうになって飲み込む。
それが分かったのかサクラはオレの胸に寄りかかり、上目遣いで昔から自分が可愛くみえるのを熟知した顔でこちらを見て目を閉じる。
「先生とこうやってるのが1番幸せだから」
幸せそうに笑うサクラ。
同じことを思っていてくれていたことが嬉しくて髪を優しく撫でるとサクラは気持ちよさそうに胸に擦り寄る。
オレたちの上で風鈴が風に吹かれ、気持ちの良い音を響かせた。
119/159ページ