short.2
◯今と昔の
昔、先生の隣に立つと身長差から見上げても先生の顔が見えなかった。
だから私が1歩前に出る。
目が合うと先生は微笑んでくれて、私は嬉しくなった。
それが私たちの隣の距離。
それから数年が経った今。
私たちは隣を歩く。
少し顔を上げればすぐそこに先生の顔があって、長く一緒に過ごしてきたんだと実感する。
視線に気づいた先生が口布を下げて軽くキスをしてくる。
周りに人目があるのにも関わらずどこにでもキスをしてくるこの男にむくれるも、嬉しい気持ちもあって。
それを隠すように先生の腕にくっ付く。
これが私たちの距離。
◯愛の味
カカシ先生の愛は重い。
私が男の人といるだけでいきなり現れて後ろから抱きしめてきて、相手を視線だけで射殺せそうなほど睨む。
あまりの愛の重さに、いつか殺してしまうんじゃないかと思ってしまう。
それは相手なのか、私なのか──。
でもそうならないように私も愛を伝え、手綱を手放さないようにする。
それが何もなかった男に愛という蜜の味を教えた私の責任なのだから。
◯おかえり
「ただーいまぁ」
「おかえりなさい、カカシ先生」
任務を終えて自分の家に出かけると、ご飯を作ってくれていたのかエプロン姿のサクラが出迎えてくれる。
親が死んでから出迎えてくれる人なんていなくて、冷めていた心がサクラと付き合うようになってポカポカ温まる。
帰って好きな人に名前を呼ばれておかえりと言われるだけでこんなにも嬉しいものなのか。
オレはサクラを抱きしめる。
「もっと名前呼んで」
どうしたの?とサクラはおかしそうに笑うも、また愛おしそうに呼んでくれた。
◯その人に合った胸
「おいろけの術!」
ナルトがいつもの女体に変化するのをカカシが見つめる。
「ナルト。お前、何でいつも胸がでかい女の人に変化するんだ?」
「へ?だって男ってば胸がでかい方が好きだろ?」
変化を解いて傾げるナルトに、カカシは首を横に振る。
「分かってないな、ナルト。考えてみろ。サクラの胸が大きかったらどうだ?」
そう聞かれ、暫くナルトは考える。
「・・・サクラちゃんじゃないってばよ」
「そうだろ?胸の大きさは人それぞれだ。胸が大きいサクラは魅力が半減する。手のひらサイズの胸だからこそサクラはサクラなんだ」
「へぇ」
腕を組んで頷くカカシの後ろから、地獄の底から聞こえたと感じるほどの低く恐ろしい声。
2人が恐る恐る振り返ると、そこには今まで見たことがない目をしたサクラが。
その後、2人を見たものはいなかった。
◯名前を呼んでくれ(死ネタ)
「サクラ・・・サクラ!!」
意識がないサクラに何度も呼びかける。
傷ついたサクラのお腹をどれだけ強く押さえてもどんどん血が溢れ続けて止まらない。
「サクラ!目を開けてくれ!」
──オレの名前を呼んでくれ。
そう願い強く呼ぶと、閉じていた瞼が開いて虚な翡翠の瞳がオレを映す。
「サスケ、くん・・・」
瞳から一筋の涙が流れ、微かにあった光が失われた。
昔、先生の隣に立つと身長差から見上げても先生の顔が見えなかった。
だから私が1歩前に出る。
目が合うと先生は微笑んでくれて、私は嬉しくなった。
それが私たちの隣の距離。
それから数年が経った今。
私たちは隣を歩く。
少し顔を上げればすぐそこに先生の顔があって、長く一緒に過ごしてきたんだと実感する。
視線に気づいた先生が口布を下げて軽くキスをしてくる。
周りに人目があるのにも関わらずどこにでもキスをしてくるこの男にむくれるも、嬉しい気持ちもあって。
それを隠すように先生の腕にくっ付く。
これが私たちの距離。
◯愛の味
カカシ先生の愛は重い。
私が男の人といるだけでいきなり現れて後ろから抱きしめてきて、相手を視線だけで射殺せそうなほど睨む。
あまりの愛の重さに、いつか殺してしまうんじゃないかと思ってしまう。
それは相手なのか、私なのか──。
でもそうならないように私も愛を伝え、手綱を手放さないようにする。
それが何もなかった男に愛という蜜の味を教えた私の責任なのだから。
◯おかえり
「ただーいまぁ」
「おかえりなさい、カカシ先生」
任務を終えて自分の家に出かけると、ご飯を作ってくれていたのかエプロン姿のサクラが出迎えてくれる。
親が死んでから出迎えてくれる人なんていなくて、冷めていた心がサクラと付き合うようになってポカポカ温まる。
帰って好きな人に名前を呼ばれておかえりと言われるだけでこんなにも嬉しいものなのか。
オレはサクラを抱きしめる。
「もっと名前呼んで」
どうしたの?とサクラはおかしそうに笑うも、また愛おしそうに呼んでくれた。
◯その人に合った胸
「おいろけの術!」
ナルトがいつもの女体に変化するのをカカシが見つめる。
「ナルト。お前、何でいつも胸がでかい女の人に変化するんだ?」
「へ?だって男ってば胸がでかい方が好きだろ?」
変化を解いて傾げるナルトに、カカシは首を横に振る。
「分かってないな、ナルト。考えてみろ。サクラの胸が大きかったらどうだ?」
そう聞かれ、暫くナルトは考える。
「・・・サクラちゃんじゃないってばよ」
「そうだろ?胸の大きさは人それぞれだ。胸が大きいサクラは魅力が半減する。手のひらサイズの胸だからこそサクラはサクラなんだ」
「へぇ」
腕を組んで頷くカカシの後ろから、地獄の底から聞こえたと感じるほどの低く恐ろしい声。
2人が恐る恐る振り返ると、そこには今まで見たことがない目をしたサクラが。
その後、2人を見たものはいなかった。
◯名前を呼んでくれ(死ネタ)
「サクラ・・・サクラ!!」
意識がないサクラに何度も呼びかける。
傷ついたサクラのお腹をどれだけ強く押さえてもどんどん血が溢れ続けて止まらない。
「サクラ!目を開けてくれ!」
──オレの名前を呼んでくれ。
そう願い強く呼ぶと、閉じていた瞼が開いて虚な翡翠の瞳がオレを映す。
「サスケ、くん・・・」
瞳から一筋の涙が流れ、微かにあった光が失われた。
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