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short.2

木ノ葉での中忍試験から数年。
砂隠れで中忍試験が行われることになった。
その試験には教え子組も受けることになっている。
その中には、サクラも・・・。
前回の試験で唯一合格したシカマルの第十班に欠員が出たことで唯一の七班のサクラが入ることになり、サクラは今砂の国で試験を受けている。
本当なら上忍師としてオレも側に付いていてやりたがったが、綱手様から任務を仰せつかったため行けなくなった。
サクラを紅とアスマに託し、オレは任務を遂行する。
時折、頑張っているだろうか、いのちゃんと喧嘩してないだろうか、怪我をしていないだろうか、無理をしていないだろうか・・・。
空に瞬く星を見ながらいつもあの子のことを考えていた。



任務を終え里に帰っている時、オレの元に文が届いた。
差出人はアスマで、手紙に書かれていた内容は──。







「サクラ」

橋の上でぼんやりと川を見ていたサクラに声かける。
声をかけられてこちらを見たサクラは、オレの顔を見て顔を綻ばせて駆け寄ってくる。

「先生。おかえりなさい」
「ただいま」

見上げてくるサクラにふと、最後に会った時より身長が伸びていた。
この年頃の子は知らぬうちに背が大きくなる。
サクラはオレから少し距離を取ったクルッと1回転をした。

「どう?」

しっかり決めポーズを取るサクラに、「何が」と言ったら殴られるだろうなぁ、と心の中で失笑する。
今のサクラはいつもの任務服の上に、今は無き友好国の渦潮隠れの里の象徴である赤い渦巻きを背負った緑のベストを着ている。
それは下忍から中忍になった者にしか着れない、一人前の証。

「よく似合ってる。中忍合格おめでとう、サクラ」

微笑みながらサクラの頭を撫でるとサクラは嬉しそうに笑う。
このベストを着たということは、サクラはオレの教え子ではなくなる。
これからは完全に綱手様の弟子としてやっていくことになる。
少し寂しくなるな、と思っていると、何故かサクラの両目からボロボロと涙が溢れていた。

「ど、どうした!?」

予期せぬことに狼狽える。
サクラは顔に手を当てて、頭を何度も強く横に振る。
オレはサクラの顔を覗き込む。

「サクラ」

強く名を呼ぶとサクラはゆっくり手を開く。

「・・・私」
「うん」
「本当は、3人で一緒に、中忍になりたかった・・・」

詰まらせながらのサクラの言葉に胸が締め付けられ、
オレは思い切りサクラを抱きしめた。

「く・・・うぅ・・・」
「ごめん。ごめんな、サクラ・・・」

オレのベストを強く掴んで声を殺して泣くサクラに何度も謝る。
あれだけチームワークだ、何だと言っていたのに。
何も出来ず、この子を1人にさせてしまった。
どこにいるかも分からない2人を思って、1人ここで待つ君を。
オレはしゃがんで泣くサクラを見上げる。

「帰ってきたら自慢してやれ。サクラを置いていった男どもにな」

ニコッと微笑むと、サクラは目を瞬かせ、ようやく笑った。


あいつらが帰ってくるまでオレはこの子の側にいる。
それが先生として出来ることだ。

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