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short.2

カカシ先生とのツーマンセルの任務中、突然の豪雨に見舞われてしまい。
今日は一番寒い大寒の日と言われ、ただでさえ寒いのに冷たい雨で体温が奪われてしまった。
抜き出た二の腕は冷え切り寒さに身を震わせていると、先生は雨に濡れて少し重くなった木ノ葉ベストを私の肩にかける。

「これでも少しはまともになるでしょ。走るよ」

促され、私は前を走る先生の背中を付いて行った。



****



それから近くの街にたどり着いたのだが・・・。
皆同じことを考えるのか宿はどこも満室だと言われ、唯一空いていたのは──逢引き部屋だった。

「サクラ。先にシャワー浴びておいで」
「え、あ、はい・・・」

その言葉に甘えて先に浴室に入り、温かいシャワーで冷え切った体を温める。
いつもならその暖かさにほっ、とするのに。
今はすごい緊張してて落ち着かない。
カカシ先生とはただの師と弟子だけど。
それ以前に男と女なわけで。
昔と違ってそれなりに身体も成長して、少女から女性になったわけで。
それにここは恋仲にある2人が、その、えっちをする場所で。
つまり、もしかしたら、そういうことがあるかもなわけで・・・

「〜〜〜!!」 

私は顔に手を当ててしゃがみ込む。
師として接してくれている先生を男として見てしまった自分が恥ずかしくなった。





「上がりました・・・」

あれからパパっと温まって替えの服に着替えて部屋に戻る。
先生がうたた寝をしていたのか腕を組んで椅子に座り、声をかけるとパチリと目を開けた。

「じゃあオレも入ってきますかね〜。あ、冷蔵庫に飲み物あるから好きに飲みなさい」
「はい」

頷くと先生はポンっと頭を撫でて浴室に向かっていった。
私は撫でられたところに触れる。
いつもと同じ触り方なのに。
何で心臓がこんなに煩いんだろう。





ガチャ


ドアが開く音に大袈裟なほど体が跳ねる。
先生の足音が聞こえないほどに心臓の音が煩い。

「あれ。TV付けたら?」
「はい!」
「暖房寒くない?」
「はい!」

振り向けずに、さっきから「はい」しか答えられていない。
ベッドの端に腰掛けて背筋を伸ばして固まっていると、先生が覗き込んできて私の視界に入ってきて灰青の瞳と目が合い緊張が更に上がってしまう。
その時に、銀の髪から雫が垂れるのが見えた。

「先生髪濡れてるわよ」
「あー、面倒くさくて」
「ダメ!今のうちにちゃんとしてないと将来ハゲるわよ。乾かしてあげるからドライヤー持ってきて!」

さっきまで恥ずかしがってたのが嘘ように目を釣り上げて洗面所を指差すと、先生は眉を下げて笑った。





ベッドに先生が腰掛け、私はベッドに膝立ちになって銀の髪を優しくとかしながら乾かす。

「熱くないですか?」
「ん。大丈夫。気持ちいいよ」

先生は目を閉じて私に身を任せてくる。
いつも常に気を張っている先生が私の前だけはこんなにもリラックスしてくれてることが嬉しい。
触って気づいたけど、思ったより先生の髪は柔らかかった。
ワックスを付けてるわけでもないのに逆立ってるから固いのかと思った。
すぐに乾いてドライヤーを止める。
髪を触るとフワフワしていて気持ちいい。

「ほら。ちゃんとすれはボサボサにならないんだから」
「うん。ソウダネ。ところでサクラ」
「何ですか?」
「あんまり男の髪を触らない方がいいよ。変に期待させるから」
「えっ」

先生の言葉に目を丸くすると、先生は肩越しに私を見上げてくる。
今まで感じたことのない視線に思わず喉を鳴らす。

「も、もー先生ったら。そうやって私のこと揶揄うつもりでしょ。もう子供じゃないんだからそういう冗談は・・・」

誤魔化すために先生の背中をバシバシ叩きながらベッドから降りようしたら先生の手が肩に触れて

気づいたら天井を見ていた。
何が起こったのか分からずにいると、さっきとは逆に先生が見下ろしていて。

「本当に冗談か、試してみる?」

先生はそう言いながら、ずっと外さなかった口布を下げる。

「・・・え?」

唇に触れる柔らかい何か。
それが先生の唇だということ、そしてこれが私のファーストキスだということに気づくまで、あと──。



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