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short.2


──ごめん。任務が入った。

それがカカシのいつもの断りの文言だった。
ここ最近カカシは忙しいらしく、任務から帰ってきたと思ったらまた任務。
次の休みが同じだからデートをしようと約束したのに、次の日には任務が入ったと言われキャンセルの連続。
ようやく会えてイチャつこうとしても、式紙が飛んできて結局その日はその場で別れる。
その繰り返し。
任務なんだからしょうがないと分かっていても、蔑ろにされるのが続けば苛立ちも募ってくるというものだ。



「ごめん・・・明日任務が入ったんだ」

今日もいつもの言葉。
明日は久しぶりのデートの約束だった。
しかもその約束を漕ぎ着けたのはカカシからだったのに。
いい加減聞き飽きたサクラは素っ気なく返事をする。

「そう」
「次はちゃんと埋め合わせするから」
「別にいいわよ。どうせまた任務でしょ」

サクラの棘のある言葉にカカシは申し訳なさそうに見下ろしてきて、サクラは自分の発した言葉からカカシのことが見れなくて、逃げるように立ち去った。



それから3日後。
病院の勤務が終わり家路を歩いていると、一人暮らしをするアパートの前で立つ恋人の姿を見つけた。
その姿はボロボロで大きなリュックを背負っているところから、たった今任務から帰ってきたのだろう。
サクラの姿を見つけたカカシは立ち止まるサクラの方へと歩いてくる。
最後に会った時のこともあって気まずく感じているとカカシから「スケジュール帳開いて」と言われた。
首を傾げながらカバンから愛用の物を取り出して今月のページを開く。
見せるように差し出すと、カカシはある日にちを指で指した。

「この日、絶対予定空けといて」

なんて事のない、今週の金曜日。
その日付の欄は空欄で、予定がないことを物語っている。
デートの約束だ、と胸がときめくが、それはすぐに冷める。
どうせまたキャンセルになるのだから。

「その日は予定あるから」
「なに?」
「・・・何でもいいでしょ」

珍しく食い下がるカカシに動揺する。
今までは他に予定があるといえばすぐに別の日程を提案してきたのに。
それに予定があるというのは嘘だ。
裏切られた時に自分が傷つかないための嘘。
仕事柄、人のちょっとしたことに機敏なカカシのことだ。
これ以上一緒に居たら嘘だとバレてしまいそうで、逃げるように走り去った。



****



その日の朝。
いつもの時間に目を覚まして気づく違和感。
腰に回る腕に見覚えがあり後ろを見ると、何故か寝る時には居なかったカカシがサクラを抱きしめて眠っていた。
サクラが身動きして起きたカカシが目を開き、寝ぼけ顔で微笑んだ。

「おはよう」
「おはよう・・・じゃなくて、え、何でいるのよ」
「迎えにきた」
「迎え・・・?」
「ほら、早く起きて準備して。行くよ」



それならカカシに無理やり連れて行かれたのは、火の国で三本の指に入るほどの高級旅館だ。
2人にしては広い部屋に通され、明らかに高そうな調度品ばかりで全然落ち着かないサクラとは反対に、畳の上に寝転がるカカシ。
サクラはその隣に座ってカカシの顔を覗き込む。

「ね、ねぇ。何でここに連れてきたの」
「何でって。サクラ、今日何の日か分からないわけ?」
「え?」
「オレとサクラが付き合って半年でしょ」

カカシの言葉にサクラは目をパチクリと瞬かせる。
一周年ではなく半年の日を覚えてくれていた?
私に気づかれないように旅館も予約してくれたの?
記念日なんて気にしない淡白の人だと思っていたのに、ちゃんと気にしてくれていたことが嬉しくて顔がニヤけてくる。

「今日絶対ここに来たかったから、綱手様にオレとサクラの休みの申請だしたんだよ。そしたら変わりに馬車馬のように働かされてさぁ」
「それであんなに任務に行ってたわけ!?」
「そー」

綱手は前からカカシとサクラが付き合っていることを良しとしない。
今まで無理難題の任務をカカシに押し付けているのだ。
それでもカカシはこの日のために頑張ってくれたことが嬉しい。
サクラは上半身を倒してカカシの胸の上に倒れる。

「ん、どうした?」
「・・・何でもない。ありがとうカカシ先生。大好きよ」

サクラは最大のお礼と愛を込めてキスをカカシに贈った。

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