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short.2

「うっわ、ひどい顔」

開口一番の言葉に、言われたカカシは苦笑しながらも覇気がない。
カカシとサクラの関係が上司と部下から恋人という名に変わって半年。
お付き合いが初めてのサクラのペースに合わせてゆっくりと着実に進めてつい先日、ついに身体を重ねた。
女は男を知ると変わる。
それはサクラも同じで、サクラの母親は目ざとくそれに気づいた。
いや、以前から何となく気づいてはいた。
そして決定打となったのが朝帰りしたサクラの表情。
すぐに誰が恋人なのかと色々吐かされ、カカシが恋人だと知ると是非家に遊びに来てくれと言われた。
それはつまり、恋人として挨拶にしに来いということだ。

カカシは30という年齢であるものの、過去のことから特定の相手を作らずに身体だけの関係を何人も作ってきた。
だから相手のご両親に恋人として挨拶もしたことがなく、しかも元教え子で初めて愛した14歳年下の女の子。
それにサクラのご両親とは3人を受け持つ前に三代目火影と上司として挨拶をしている。
それから会った時は挨拶をしてくれるほど良い人たちだ。
大事な娘を預けていたのに手を出されていたのだ。
どんなことを言われるのか。
もしかしたらよく聞く、父親から別れろとか言われるのではないか?
そんなことばかりグルグルと考えていたら気付いたら朝日が昇っていて、結局一睡もすることができず、カカシの目の下にはクマができていてせっかくのイケメンが台無しだ。

「寝てないの?」
「寝れなかったんだよ・・・」

サクラの部屋の中に招いてからもカカシは座ることなく、落ち着かない様子で動き回っていてサクラはおかしそうに笑う。
サクラが部屋に来るまでもこんなふうに動き回っていたのだろう。

「せんせ」
「んー・・・?」
「ここ、座って?」

ソファーに座ったサクラは隣を叩く。
促されるように隣に座ったカカシに微笑み、次は自分の太ももを叩いた。

「ここに頭乗せて」
「え、」
「早く」
「・・・うん」

戸惑いながらも恋人の膝枕に、自然と頬が緩む。
仰向けになって太ももに頭を乗せると、額にサクラの手が当てられて温かいのが流れてくる。
これはチャクラを流してくれているのか。
サクラらしい温かく優しいのが体の中を巡る。

「あ〜・・・気持ち・・・」
「もう。ただ挨拶しに行くだけなのにこんなんでどうするの」
「サクラには分からないよ〜・・・恋人の、しかもオレは元担任だし。複雑なんだよ・・・」
「別に知らない関係じゃないんだから。じゃあ付き合うの反対されたら私のこと諦めるの?」
「まさか!!」

サクラの言葉にカカシは慌てて起き上がると、サクラは穏やかに微笑む。
14歳も年下とは思えない頼りがいのある彼女に何度も助けられて、今回もカカシの中の不安はサクラによって消える。

「なら堂々としててよ。それにうちの親は先生のことすごい歓迎してて、お母さんケーキ焼いてたわよ」
「ケーキ・・・」
「頑張って食べないと別れるかも〜」
「サクラ〜・・・」

カカシが甘いものが苦手なことを知っているのに意地悪く笑っているサクラにカカシは口を尖らせ、その意地悪な唇にキスをする。
最初は軽くしたものが、何度も角度を変えているうちに深いものになり、気づいたらサクラはソファーに押し倒されていた。
唇を離すと先ほどまでの意地悪な表情は惚けた顔になっており、カカシの意趣返しは成功だ。

「緊張、とれた?」
「うん・・・眠くなってきたかも。とゆうか、えっちしたくなった」
「バカッ!」

バシッと二の腕を強く叩かれ、上から退けと睨まれるので仕方なく元の位置に座る。
ちゃっかりまくっていた服も元に戻され、お楽しみは夜だなーと思っていると、ソファーから立ち上がっていたサクラが目の前に立っていて手を差し出している。
 
「さ、行きましょ?カカシ先生」
「──うん」

本当、年下とは思えないな。
カカシは眉を下げて笑ってサクラの手を取り、手を繋いで家を出た。


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