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short.2

「わ、いの。それすごく素敵ね」
「ふふ〜ん。でしょ〜?」

目ざとくサクラが見つけたそれをいのはすぐに気づき自慢げに笑う。
もしかしたら自慢するためにわざと着替えるのが遅かったのかもしれない。
一緒に病院勤務を終えて更衣室で着替えているときに下着姿のいのの胸元で輝くネックレスに気づいた。
同期のファッションリーダーであるいのは休みの日は色んなアクセサリーを身につける。
今までも何回もネックレスを身につけているのを見たことがあったし、今みたいにいちいち話題にしたこともない。
なのに、いつも変わらない光景のはずのそれが何故か目に入ってしまった。

「この間サイとデートした時にこれ見つけたのよ。ペアだったからお揃いなのよ」
「へぇ・・・」

サクラはじっといのの胸元で輝くネックレスを見る。
可愛いものではないから確かに男のサイでも使える物だ。
そういえば・・・自分は恋人とお揃いのものを持っていないことを思い出した。
お互い装飾品に興味がないし、任務に付けるわけにはいかない。
だけど、こう目の前で自慢げに見せびらかされてしまうと欲しくなってしまう。

──・・・いいなぁ



****



カカシの部屋を訪れてからも、頭の中はいののネックレスのことばかり考えてしまう。
もしカカシに話したらどんな反応をされるだろうか。

「はぁ・・・」
「どうした?さっきから」

雑誌を読みながら何度目かのため息を吐いた時、隣に座るカカシがイチャパラから顔を上げて聞いてくる。
話していいものかと躊躇しながら口を開く。

「・・・いのとサイが付き合ってるのは知ってるでしょ?」
「うん」
「今日、いのがサイとペアのネックレス付けてて・・・羨ましいなぁって・・・」
「・・・・・・・・・」

サクラの言葉にカカシは頭を掻いて、困ったように笑った。

「うーん、オレはそういうの好きじゃなくてね」
「・・・・・・・・・」

分かってはいたけど辛いものがある。
同時年代なら叶うことも14も歳の差があると価値観も好きなことも違ってくる。
しょうがない、カカシを選んだのは自分なのだから。
でも、でも──だからこそ年相応のことをしたい。

「だから、」
「分かった。申し訳ないけど、今日はもう帰るわ」

サクラは立ち上がって鞄を手に取り、玄関に向かおうとするとカカシが後ろから慌てて手を掴む。

「ちょっと待ちなさいって。話は最後まで聞きなさい」

サクラは振り返らない。
カカシはサクラの左手を手に取ったまま、ポケットから小さい箱を取り出す。
ひやり。とした感触にサクラは手を見ると、左手の薬指に翡翠の石が付いた銀の輪っかが嵌められていた。
目も口も開いたままカカシを見ると、少し頬を染めて頬を掻いている。

「・・・だから、今日はこれで勘弁してね。今度、お揃いの買いにいきませんか?」

恥ずかしいのか珍しい敬語のカカシにサクラはおかしそうに笑い、カカシに抱きついて「はい」と嬉しそうに返事をした。


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