short.2
「はい、出来た」
「えっ!」
その言葉に、カカシが記入していた本を受け取る。
それは難易度最高レベルと言われている解読本だ。
後ろにある答えのページとカカシの文字で書かれた答え。
それは間違いなく合っている。
「・・・合ってる」
サクラはガックリと肩を落としてカカシに本を返す。
そんなサクラとは対照的にカカシはニヤニヤと、イヤらしい笑みを浮かべてジリジリと近づく。
「またオレの勝ちだな。じゃあ今回も同じお願い事で」
「ちょ、ちょっと待って・・・!」
「諦めが悪いぞ、サクラ。お前が言い出した勝負でしょーが」
そう言って意地悪く笑ったカカシはサクラを床に押し倒した。
先に言っておくが、カカシとサクラは付き合っていない。
ただの上司と部下。
にも関わらず、カカシはサクラにちょっかいをかける。
それは部下に対しての可愛がりではなく、異性に対しての。
最初は頬に軽いキスから始まり、気づいたら唇を奪われた。
それから行動はエスカレートし、お腹や足、胸にも触れられ、首にはキスマークを残されたことがある。
人目があろうとこの男は恋人に接するようにしてくるから、周りからは何度付き合っているのかと聞かれたことか。
さすがに嫌気がさして、サクラはカカシにある勝負を持ちかけた。
『この問題を早く解けた人の言うこと聞く勝負にしましょう。それ以外で私に触ろうとするのは禁止にするわ!』
『いいよ』
カカシはにこにこ笑って即答した。
たぶんサクラに勝つなんて簡単だと思っているのだろう。
サクラは鼻で笑う。
これでもアカデミーのテストは毎回1位だったのだ。
それに綱手に弟子入りしてから難しい医療の勉強をするようになったから頭脳には自信があるのだ。
これでカカシにぎゃふんと言わせてお触り厳禁にすれば平穏な日々が返ってくる。
──そう思っていたのに。
「どうして・・・!」
気持ちの良い朝。
サクラは真っ裸で頭を抱えてベッドの上で項垂れていた。
あれから何度も勝負をしたのだが、サクラは1度もカカシに勝てた試しがない。
そしてサクラの処女はカカシの3連勝で簡単に捧げてしまった。
勝負はサクラからだったりカカシからだったり。
そしてカカシのお願いは毎回セックスをすることで、すでに両手では足りないほど行為をしている。
──もう一度言おう。2人は恋人ではないのだ。
浅はかな提案をしたことに唸っていると、横にある膨らみが動き出した。
「もう起きるの・・・?」
いつもより掠れ声にドキっとする。
しかしそのときめきも、一糸纏わぬ素肌を撫でるいやらしい手に一瞬で消えてしまった。
「ちょっと!おさわりはもう終わり!」
「えー?」
ペシンっとその手をはたき落とすと、未だに眠そうにしているカカシは不服そうに口を尖らせた。
あれだけ頑なに見せてくれなかった素顔は目の前にあり、あの苦労は何だったのだろうかと落ち込んだものだ。
「えー、じゃない!それにしても、何で勝てないのよ・・・」
「そりゃ無理でしょ」
「どうしてよ!」
「どれだけサクラが自分の頭に自信があっても、シカマルには敵わないでしょ。オレはシカマルと同じぐらい頭いいからね」
「シカマル・・・」
サクラは同期のヤル気のない男を思い浮かべる。
アカデミー時代は問題児のナルトと同じぐらいテストの点数が悪かったのだが、中忍試験の時に真面目に試験を受けるのが面倒で適当にしていたと知った。
やる気のない男のIQは驚くことなかれ、200だ。
そして目の前の男は木ノ葉一の天才忍者。
戦闘力は言わずもながら、頭脳までもがシカマルと同等なんて反則だろう。
──・・・反則。
サクラはその言葉に引っかかり、癖となっている顎に指を添えて考える素振りを見せる。
そんなサクラにカカシは首を傾げた。
****
それから数日後の勝負の日。
いつも使っている会議用の部屋には3人の姿があった。
「・・・サクラ、これはどういうこと」
「助っ人のシカマルよ!」
顰めっ面のカカシにサクラは自信満々の顔でふんぞりかえる。
カカシは大きくため息を吐いた。
そして当のシカマルも面倒くさそうにカカシに対面する形で座っていた。
「それは卑怯なんじゃないの」
「頭の出来に差があるんならハンデあってもいいじゃない!」
「・・・まあいいけど」
「じゃあシカマル頼んだわよ!」
「めんどくせーなぁ・・・」
「・・・できた」
「え!?まだ5分しか経ってないんだけど!」
シカマルが鉛筆を置くので驚く。
スタートと言ってまだ5分ぐらいしか経っていた。
サクラがあれだけ勝てなかったカカシですら10分は超えていたのに。
シカマルから問題集を受け取り答え合わせをする。
もちろん正解で、サクラは花が満開に咲いたかのように満面の笑顔になる。
「シカマルありがとう!カカシ先生!これで今日はなしだからね!」
ビシッとサクラがカカシを指差すも、カカシは落ち込むどころかサクラと同じように笑みを浮かべていた。
なぜ笑っているのだ、この男は。
サクラの疑問にカカシはすぐに答えた。
「サクラ覚えてる?」
「え?」
「オレのお願い3回分残ってるんだよ。お願いする前に任務が入ってうやむやになったったから」
「・・・そういえばそうね」
言われてみれば確かにそうだ。
木ノ葉の忍であるこの男は任務に引っ張りだこ。
こうやって時間を作れているのも奇跡なほどだ。
「だから今全部使うよ」
「えっ」
「今回のサクラのお願いはなかったことにする」
「はぁ!?」
「そして今後シカマルの使用は禁止。あ、シカマルもう帰っていいよ」
「え、え、」
「・・・じゃあ失礼します」
にこり、と笑うカカシの言葉に立ち上がり、いまだに状況を理解していないサクラを見て、シカマルは部屋を出て行った。
きっとシカマルのことだから2人が何をしているのかなど気づいているのだろう。
部屋にはカカシとサクラだけが残され、サクラはようやくこれから起きることを理解したのか顔から血の気が引いて真っ青になり、対してカカシは満面の笑みだ。
カカシが1歩近づくとサクラは反射的に1歩下がる。
「で、最後のお願いだけど・・・」
「か、カカシ先生・・・」
「今日もえっちしようね」
「!!」
ハートマークが付きそうなほどに嬉しそうにするカカシ。
やばい、とサクラは慌てて部屋から逃げようとするも、先ほどシカマルが開けたドアは何度ドアノブを回しても開かない。
「なんで!?」
「さっきシカマルが出てったときに印で閉じたからね」
耳元で聞こえる低い声にゾクっと寒気がして振り向けば、ピッタリと背後に立つカカシ。
先ほどから変わらない笑みに恐怖を覚えて背中を冷や汗が流れる。
「ま、待って、先生・・・」
「本当サクラは往生際が悪いな。さ、オレの部屋に行こうねー」
カカシはサクラはサッと担いで部屋の窓を開けて飛び降りる。
「い、いやー---!」
悲鳴が聞こえて建物を出て歩いていたシカマルが空を見上げると、2つの影が屋根の上を飛んでいるのが見えた。
あの男が担当上忍になったのがサクラの運の尽きだったんだろうな、とシカマルは可哀想な目でその姿を見送った。
「えっ!」
その言葉に、カカシが記入していた本を受け取る。
それは難易度最高レベルと言われている解読本だ。
後ろにある答えのページとカカシの文字で書かれた答え。
それは間違いなく合っている。
「・・・合ってる」
サクラはガックリと肩を落としてカカシに本を返す。
そんなサクラとは対照的にカカシはニヤニヤと、イヤらしい笑みを浮かべてジリジリと近づく。
「またオレの勝ちだな。じゃあ今回も同じお願い事で」
「ちょ、ちょっと待って・・・!」
「諦めが悪いぞ、サクラ。お前が言い出した勝負でしょーが」
そう言って意地悪く笑ったカカシはサクラを床に押し倒した。
先に言っておくが、カカシとサクラは付き合っていない。
ただの上司と部下。
にも関わらず、カカシはサクラにちょっかいをかける。
それは部下に対しての可愛がりではなく、異性に対しての。
最初は頬に軽いキスから始まり、気づいたら唇を奪われた。
それから行動はエスカレートし、お腹や足、胸にも触れられ、首にはキスマークを残されたことがある。
人目があろうとこの男は恋人に接するようにしてくるから、周りからは何度付き合っているのかと聞かれたことか。
さすがに嫌気がさして、サクラはカカシにある勝負を持ちかけた。
『この問題を早く解けた人の言うこと聞く勝負にしましょう。それ以外で私に触ろうとするのは禁止にするわ!』
『いいよ』
カカシはにこにこ笑って即答した。
たぶんサクラに勝つなんて簡単だと思っているのだろう。
サクラは鼻で笑う。
これでもアカデミーのテストは毎回1位だったのだ。
それに綱手に弟子入りしてから難しい医療の勉強をするようになったから頭脳には自信があるのだ。
これでカカシにぎゃふんと言わせてお触り厳禁にすれば平穏な日々が返ってくる。
──そう思っていたのに。
「どうして・・・!」
気持ちの良い朝。
サクラは真っ裸で頭を抱えてベッドの上で項垂れていた。
あれから何度も勝負をしたのだが、サクラは1度もカカシに勝てた試しがない。
そしてサクラの処女はカカシの3連勝で簡単に捧げてしまった。
勝負はサクラからだったりカカシからだったり。
そしてカカシのお願いは毎回セックスをすることで、すでに両手では足りないほど行為をしている。
──もう一度言おう。2人は恋人ではないのだ。
浅はかな提案をしたことに唸っていると、横にある膨らみが動き出した。
「もう起きるの・・・?」
いつもより掠れ声にドキっとする。
しかしそのときめきも、一糸纏わぬ素肌を撫でるいやらしい手に一瞬で消えてしまった。
「ちょっと!おさわりはもう終わり!」
「えー?」
ペシンっとその手をはたき落とすと、未だに眠そうにしているカカシは不服そうに口を尖らせた。
あれだけ頑なに見せてくれなかった素顔は目の前にあり、あの苦労は何だったのだろうかと落ち込んだものだ。
「えー、じゃない!それにしても、何で勝てないのよ・・・」
「そりゃ無理でしょ」
「どうしてよ!」
「どれだけサクラが自分の頭に自信があっても、シカマルには敵わないでしょ。オレはシカマルと同じぐらい頭いいからね」
「シカマル・・・」
サクラは同期のヤル気のない男を思い浮かべる。
アカデミー時代は問題児のナルトと同じぐらいテストの点数が悪かったのだが、中忍試験の時に真面目に試験を受けるのが面倒で適当にしていたと知った。
やる気のない男のIQは驚くことなかれ、200だ。
そして目の前の男は木ノ葉一の天才忍者。
戦闘力は言わずもながら、頭脳までもがシカマルと同等なんて反則だろう。
──・・・反則。
サクラはその言葉に引っかかり、癖となっている顎に指を添えて考える素振りを見せる。
そんなサクラにカカシは首を傾げた。
****
それから数日後の勝負の日。
いつも使っている会議用の部屋には3人の姿があった。
「・・・サクラ、これはどういうこと」
「助っ人のシカマルよ!」
顰めっ面のカカシにサクラは自信満々の顔でふんぞりかえる。
カカシは大きくため息を吐いた。
そして当のシカマルも面倒くさそうにカカシに対面する形で座っていた。
「それは卑怯なんじゃないの」
「頭の出来に差があるんならハンデあってもいいじゃない!」
「・・・まあいいけど」
「じゃあシカマル頼んだわよ!」
「めんどくせーなぁ・・・」
「・・・できた」
「え!?まだ5分しか経ってないんだけど!」
シカマルが鉛筆を置くので驚く。
スタートと言ってまだ5分ぐらいしか経っていた。
サクラがあれだけ勝てなかったカカシですら10分は超えていたのに。
シカマルから問題集を受け取り答え合わせをする。
もちろん正解で、サクラは花が満開に咲いたかのように満面の笑顔になる。
「シカマルありがとう!カカシ先生!これで今日はなしだからね!」
ビシッとサクラがカカシを指差すも、カカシは落ち込むどころかサクラと同じように笑みを浮かべていた。
なぜ笑っているのだ、この男は。
サクラの疑問にカカシはすぐに答えた。
「サクラ覚えてる?」
「え?」
「オレのお願い3回分残ってるんだよ。お願いする前に任務が入ってうやむやになったったから」
「・・・そういえばそうね」
言われてみれば確かにそうだ。
木ノ葉の忍であるこの男は任務に引っ張りだこ。
こうやって時間を作れているのも奇跡なほどだ。
「だから今全部使うよ」
「えっ」
「今回のサクラのお願いはなかったことにする」
「はぁ!?」
「そして今後シカマルの使用は禁止。あ、シカマルもう帰っていいよ」
「え、え、」
「・・・じゃあ失礼します」
にこり、と笑うカカシの言葉に立ち上がり、いまだに状況を理解していないサクラを見て、シカマルは部屋を出て行った。
きっとシカマルのことだから2人が何をしているのかなど気づいているのだろう。
部屋にはカカシとサクラだけが残され、サクラはようやくこれから起きることを理解したのか顔から血の気が引いて真っ青になり、対してカカシは満面の笑みだ。
カカシが1歩近づくとサクラは反射的に1歩下がる。
「で、最後のお願いだけど・・・」
「か、カカシ先生・・・」
「今日もえっちしようね」
「!!」
ハートマークが付きそうなほどに嬉しそうにするカカシ。
やばい、とサクラは慌てて部屋から逃げようとするも、先ほどシカマルが開けたドアは何度ドアノブを回しても開かない。
「なんで!?」
「さっきシカマルが出てったときに印で閉じたからね」
耳元で聞こえる低い声にゾクっと寒気がして振り向けば、ピッタリと背後に立つカカシ。
先ほどから変わらない笑みに恐怖を覚えて背中を冷や汗が流れる。
「ま、待って、先生・・・」
「本当サクラは往生際が悪いな。さ、オレの部屋に行こうねー」
カカシはサクラはサッと担いで部屋の窓を開けて飛び降りる。
「い、いやー---!」
悲鳴が聞こえて建物を出て歩いていたシカマルが空を見上げると、2つの影が屋根の上を飛んでいるのが見えた。
あの男が担当上忍になったのがサクラの運の尽きだったんだろうな、とシカマルは可哀想な目でその姿を見送った。
15/159ページ