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short.2

◯慣れたもので

「サックラちゃーん!」
「なに?」

任務へと向かう途中、近くの川で一休みをしていた時。
木にもたれかかって休むカカシの隣に座っていたサクラは立ち上がってナルトの元へと向かう。
恋人が他の男に呼ばれて向かう背中を見ると、腹の底から黒いものが押し上げてくる。
ふぅ、と小さく息を吐いてカカシはサクラの後を追う。

「ほら、もう行くぞ」
「えー!もうー?」

せっかくサクラと話そうとしていたのにと不満そうにするナルトに苦笑しながら、カカシはサクラの背に手を当てる。
そして、そのまま片手で簡単にプチッとブラのホックを外してみせた。

「!?」

緩む胸元。
サクラは慌てて胸の前で腕を交差させて隠しながらカカシを睨むも、カカシはお得意の笑顔を浮かべる。

「サクラちゃん?どったの?」

胸を押さえるサクラを心配して近づいてくるナルトに、サクラはすごく動揺して握り拳を作ってそれをナルトに向けた。

「こっちくんな!しゃーんなろー!!」
「ぐへっ!!」

サクラは思い切り殴り飛ばされたナルトは後ろの大木に当たって気絶した。

「!な、ナルトごめん!」
「ははっ」
「はは、じゃないわよ、先生の馬鹿!」

サクラは笑うカカシを壁にしてホックを付け直し、すっかり延びているナルトへと駆け寄った。






◯私を見て

出会った時からカカシ先生は私を見ると、どこか寂しそうな目をする。
理由を聞けたらいいんだけど、たぶんそれを聞いてはいけないような気がして。
それから月日が流れて私は綱手様に師事を受けることになった。
修行の傍ら弟子として綱手様の手伝いで書類整理をしている時だった。
ある本を持ち上げた時にパラリと落ちた1枚の写真。
見れば、大人の男の1人と子供3人の写真。
既視感があったが、映っている人が違う。
岩陰でしか見たことがないが、大人の人は四代目火影様だ。
そして子供の1人はすごくみおぼえがある。
子供の頃のカカシ先生だ。
黒髪の男の子とそして私と似た女の子が映っている。
ジッと見ていると後ろから声をかけられて振り返ると、シズネ先輩が立っていた。
私が見ているのを覗き込むと「あぁ、懐かしいわね」と言った。
シズネ先輩は知っているのか、とこの人たちのことを聞くと、先生以外の3人はもう亡くなっていると言った。

それを聞いて納得した。
カカシ先生は私にこの女の人を重ねているのだ。
カカシ先生は私のことなんて見ていなかった。
それを実感した時、すごく胸が痛くなって泣きそうになった。





◯寝言はなんとやら

「あー、彼氏欲しいなー」

任務が終わり解散の合図を出した時、4人の近くを仲が良いカップルが通った。
サクラは羨ましそうな顔でそのカップルの背中を見て、わざとらしくチラチラとサスケを見ながら言った。
もちろん気づいたサスケはそれに対して何も言わず1人帰っていった。
ガックリと肩を落とすサクラを見てナルトが口を開こうとしていたのでその頭を押さえつけてサクラに話しかける。

「ならオレがなってやろうか?」
「あー!オレが言おうと思ってたのに!」

手の下でフガフガ文句を言っているナルトを無視していると、サクラは軽蔑した目でこちらを見てきた。

「・・・変態ロリコン教師。寝言は寝てから言ってください!」

ふん、と鼻を鳴らしてサクラも帰ってしまった。
フラれたカカシにナルトはケタケタと笑うので、グリグリと頭を押さえつけてやった。

****

それから数年後、何の因果かカカシとサクラは恋人同士になっていた。
夜、裸のサクラに覆い被さり腰を揺らしていたカカシはふとそのことを思い出してほくそ笑む。

「そういや、変態とかロリコンとか言ってたっけ。寝言は何だっけ?」
「・・・え?や、ひやぁ!」

突然の質問に頭をハテナにするも、その間も緩まないカカシからの刺激にサクラは答えられるはずもなく、意味をなさない喘ぎ声が口から漏れる。
そんなサクラを見て、カカシは満足そうに笑って可愛い唇を塞いだ。






◯仕事が恋人

春野サクラは罪作りだ。
ナルトを始め、サスケ、リー、サイ、ヤマト、そしてカカシ。
こんなにも惚れさせといて誰とも付きあおうとしないのだ。
何で恋人作らないの、とそれとなく聞いたらサクラは強気に笑った。

「私の恋人は仕事よ!男の人にうつつを抜かしている場合じゃないの!」

この研究が成功すればすごく医療が発展するのよ、と楽しそうに話しているサクラに、カカシは本当罪作りだなと呆れたように笑ってサクラの話に耳を貸した。






◯太陽のように、聖母のように

サクラは表情豊かだ。
怒ったり泣いたり、笑ったり。
忍としてやっていくなら喜怒哀楽など邪魔なものだ。
だがオレはサクラにはそのままでいてほしいと思って何も言わなかった。
サクラの笑顔にオレは何度も救われた。
それはナルトとサスケもだろう。
変わらずオレ達を照らして見守っていて。


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