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short.2

「カカシー!」

任務が終わり我が家への帰路を歩いていると、目の前から知っている顔が手を振りながら近寄ってくる。
彼女は昔、男女のお付き合いをしていた1人だ。

「あれ、久しぶりだね」
「長期の任務でずっと里離れてたのよ。昨日帰ってきたばかり」
「お疲れ様」

簡単に労い、2人は隣に並んで歩き出す。
元恋人の目的地がカカシの家までの途中にあるらしく、そこまで一緒に行くことになり、その道すがら任務の愚痴を聞かされ、ついに任務からプライベートの愚痴が始まってしまった。

「ちょっと聞いてよ!せっかく一般人の彼氏作ったのに、ずっと会えなくて寂しかったからって浮気してたのよ!信じられる!?」
「あらら、ご愁傷様」
「こっちは里のために頑張ってたのに。これだから一般人は・・・だから夜1人で寝るの寂しくて。慰めてくれない?」

彼女はそう言いながらカカシの腕に触れ、胸を押し当ててくる。
そういや、この豊満な胸に唆されて付き合い始めた気がする。
それが今や、その自分好みだった胸の谷間を見ても何とも思えない。
人は変わるものらしい。
カカシはそんなことを考えながら、自分の腕から彼女の手を離した。
まさかそんなことをされると思っていなかったらしく、彼女は驚いたように目を丸くする。

「悪いけど、そういうのもうやってないんだよね」
「え!どうして?」
「彼女が嫌がるから」
「・・・彼女?え、カカシ彼女出来たの!?」
「そう」

彼女は今まで見たことのない満面の笑みに、驚きと共に興味が生まれた。
人が良さそうな笑みを浮かべながら一定の距離を保ち近づくことを許さない。
来るもの拒まず去るもの追わずと、特定の相手を作らずにいた男が。
そんな男にこんな笑顔をさせる相手はどんな人なのかと。

「ね、どんな人?どうやって知り合ったの?」
「んー、オレの元教え子」
「お、教え子!?それ、10は年離れてるわよね!」
「今は16って言ってたっけな」
「あんた、どんだけ・・・」

拙僧がないのか、という言葉は呆れすぎて声に出なかった。
相手の言いたいことが分かってもカカシはニコニコと嬉しそうで。
あの冷血と言われたカカシがねぇ。
こっちは恋人に裏切られて落ち込んでいる時に他人の幸せを見ると意地悪したくなるというものだ。
彼女はカカシの胸にくっ付いて上目遣いをする
その時にちゃんと武器である胸も主張して。

「・・・そんな若い子であんた満足出来てるわけ?」
「十分だよ。今までのどんな女よりも魅力的で、オレが捨てられないかいつも不安なんだよ」

こちらの誘惑にちっとも引っかからず、くノ一のプライドがズタボロだ。
女は諦めて離れる。

「はぁ・・・あんたがそんなに言う子ならいつか会ってみたいわ」
「機会があればね。それじゃ」

カカシは片手をあげ、浮き足で愛おしい恋人が待つ家へと急いだ。



****



「ただーいまー」
「おかえりなさい!」

自分の家のドアを開けて帰宅を知らせると、部屋の奥から可愛らしい恋人が現れる。
嬉しそうに笑うサクラを思い切り抱きしめると、サクラの匂いとは別に良い匂いが香ってくる。

「今日のご飯は何?」
「肉じゃが!お母さんから先生と食べなさいって良いお肉貰ってきたの」
「それは今度お礼に行かなきゃな」

カカシはベストを脱ぎ、キッチンで料理を作るサクラの側に立って先ほどあったことを話す。

「そういえば、さっき長期里の外に行ってた知り合いに声かけられて話してたんだよ」
「へえ!どんなこと話したの?」
「彼氏に振られて寂しいから慰めてって」

カカシの言葉にさっきまで笑顔だったサクラの表情が強張り、肩が小さく揺れたことを見逃さず、サクラがこちらを見ていないことを良いことにカカシはほくそ笑んだ。

「・・・へぇ。それで?」
「もちろん断ったよ。可愛い彼女に怒られるからって」
「・・・そりゃそうよ。そんなの不貞じゃない。そんなことしたら握りつぶして使えなくしてやるわ」
「はは、怖いな」

頬を膨らませてプリプリ怒るサクラにカカシは笑って、小さな体を後ろから抱きしめる。
ちょっと、と文句を言われるも気にせずに耳に口を近づけるとまたサクラの体がピクリと反応した。

「──でも潰されたらサクラともえっち出来なくなるよ?」
「・・・別にしなくてもいいもの」
「嘘つき。いつも気持ちよさそうに離さないくせに」

ふっ、と意地悪げに笑ったカカシはサクラの服に手を入れ、下着の上から胸を揉み出す。

「や、ちょっと!これからご飯!」
「オレは先にサクラを食べたいね」

そう言ってカカシはサクラを脇に抱え、空いた手でコンロの火を消すとその足は寝室に向かう。
食べたいという言葉の意味を瞬時に理解したサクラは逃れよう必至にもがくも、適当に抱えられているようで身動きができないように抑えられている。
これが上忍と中忍の差なのか。
そんな場違いなことを考えているとカカシが寝室のドアノブを回し、リビングの光が遠のいていく。

「も、もー!先生のばかー!!」

サクラの悲鳴はドアが閉まると共に閉ざされたのだった。


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