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short.2

◯コーヒーとキスと愛おしい人

眩しい光に眉を顰める。
もう朝か・・・、と隣に手をやると期待していた感触ではなかった。
ゆっくりと目を開けると、隣の空間はポッカリ空いていて、虚無感に寂しくなる。

「サクラぁ」
「はーい」

遠くにいるだろう彼女を寝たまま呼ぶと返事が返ってきて良い匂いが近づいてくる。
エプロン姿のサクラが現れ、その手には入れたてのコーヒーが入ったカップ。

「おはよう、先生」

上半身を起こしてカップを受け取り、サクラの頭を引き寄せてキスをする。
朝起きて、サクラがコーヒーを持ってきてくれて、キスをする。
日常となっているこの光景に失っていた幸せを感じた。






◯熱い耳

最近サクラがオレの部屋に来ることが多くなった。
目的はオレの蔵書。
サクラが気になっているという本を持っていると言ったらサクラは目を輝かせ、他にも絶版になった本も持っていると知ってから毎日のように入り浸っている。
本好きのサクラはナルトと違って本に集中して邪魔してくることはないので、まぁいいかと思っていたのだが・・・。

「ねー、先生」

今日のサクラは違うらしい。
本を読み終わったサクラはイチャパラを読むオレの背中にピッタリくっ付いてくる。

「ねーってばぁ」
「んー、ちょっと待って」

グイグイ体重をかけてくるがサクラのような細い女の子の重さではビクともしない。
本もいいところなので少し待つように言うと。

チュッ

耳に柔らかいものが当たるものとリップ音に驚いて振り向くと、サクラはキョトンとした顔をしてオレを見てくる。

「どうしたの?」
「え?ん?え?」

サクラの反応に思わず動揺する。
サクラの髪の間から覗く耳は髪よりも赤かった。






◯彼を起こす呪文

「カカシせんせー!起きろーー!!」

子供達が修行をしている間暇なので、木の下で昼寝しているとそれを見てナルトがカカシの上で怒鳴る。
カカシは唯一見える片目を面倒くさそうにゆっくり開けてまた閉じる。

「あと5分・・・」
「何言ってんだってばよ!起きないならサスケとデート行くってサクラちゃんが」
「なにやってんだナルト。さっさと演習始めるぞ」

サッと起き上がって2人がいる方へとスタスタ歩くカカシ。

「ちょろすぎってばよ、カカシ先生・・・」

その後ろ姿にナルトはポツリと呟いた。






◯初々しくて

サクラと付き合うことになり、初めてのキスをした。
誰とも付き合ったことのないサクラは軽く合わせるキスですら顔を真っ赤にしてガチガチに緊張していて、そんな年下の恋人が可愛くて思わず笑ってしまい、それにサクラは怒って口を尖らせる。

「もう!笑わないでよ!」
「ごめんごめん」

膨れる彼女に額を合わせて至近距離で見つめ合う。

「これからじっくり、手取り足取り愛する覚悟しなさいね」






◯偽りの夜

2人が里から居なくなった寂しさからカカシ先生に抱いてもらって処女を失った。
終わった後に先生は「この行為に恋も愛もないよ」と冷たく念押ししてきた。
それから先生は今まで通りに接してくる。
いつもと変わらず、微笑んで頭を撫でてて。
私がその大きな手に触れられる度に心が騒つくことも知らずに。
あれから私はあの時の夜のことを忘れられないでいる。
先生は何でもないって言ったけど。
先生みたいに簡単に割り切れるほど私はまだ大人じゃない。

夜。
私は先生が部屋にいるのを確認して連絡もなくやってきた。
突然現れた私に先生は驚いていたけど部屋に入れてくれて。
そしてその隙をついて先生を床に押し倒した。
目を丸く先生を気にせず口布を下げて、薄い唇と唇を重ねる。
顔を離すと灰青の瞳が何か言いたそうにしていて、先生の口が開くのを遮る。

「先生、して・・・気持ちは、いらないから・・・」

言葉と一緒に瞳からポロポロと溢れて止まらない。
先生は親指で頬に流れる涙を拭ってくれる。

「・・・いつからそんな悪い子になっちゃったの」

先生はどこか寂しそうに表情を浮かべて、頬にあった手が頭の後ろに回り引き寄せられた。


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