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◯お弁当

「先生、痩せたんじゃないですか?」

任務に向かう途中、横を歩く先生に話しかける。
先生は細身だけど、単独任務に出ていて3日ぶりに会った先生は少し頬がこけていた。

「んー・・・ここ最近任務が忙しくてね・・・ちゃんと食べてないんだよねぇ」
「ダメよちゃんと食べなきゃ!」
「分かってるんだけどね。1人分だと作るの面倒で。ほら、オレのことは良いから任務に切り替える」

先生は私の頭をポンと撫でて前を歩き出す。
その背中を見て、私はあることを思いついた。

****

「先生。はい、お弁当」

次の日、任務中の休憩時間に持ってきたお弁当箱を先生に差し出すと、先生は驚いたように片目を見開いている。
それはナルトもサスケくんも同じで。

「わざわざ作ってくれたのか?」
「私の分のついでです。1人分増えたところで大したことないもの」
「そっか・・・ありがとな」

先生は嬉しそうに笑って顔を近づけてくる。
え、と思った時には、頬にキスをされていた。
何が起こったのか分からずにいると、顔を離した先生はふっ、と笑った。
その顔に一瞬で顔が真っ赤になって、思い切り先生の頬を平手打ちした。
痛がる先生の後ろからナルトが飛び蹴りし、倒れた先生をサスケくんが追い討ちで踏みつけた。






◯気づく、気づかない

「ネイル変えた?」

カカシ先生の家で雑誌を読んでいると、隣に座る先生が私の手を取って爪を見る。
私は頬を膨らませて手を振り払う。

「昨日からなんですけど!」

今更!?と怒りが湧いて先生に背中を向けると、後ろから腕が伸びてきて気づいたら抱きしめられていた。

「いつもサクラの顔を見てるから気づかなかった」

耳元で聞こえた言葉に頬が緩みそうになって、すぐ許すのは癪だからまだ怒ってる顔をしてたけどきっと先生にはバレてただろうな。






◯未来の言葉

「あー、もう!鬱陶しい!!」

ずっと後ろを付いてくるカカシ先生に怒鳴る。
付き合い始めてからというものの、先生は四六時中と言っていいほど私に付きまとうようになった。
どこ行くの、あの人は誰、何の話してたの。
最初は気にしてくれてるのが嬉しかったけど、それが毎日となれば鬱陶しくもなる。

「先生は過保護すぎよ!私が何してようが誰と話してようが別にいいでしょ!」
「良くない。サクラに変な男が話しかけてきたら困るだろ」
「それぐらい自分で対処出来るわ!今何歳だと思ってるのよ!」
「・・・18」
「もう下忍じゃないんだからほっておいて!そんなんで子供出来たらどうするの!」

私の言葉に先生はハッ!として、考えるように顎に手を添える。

「オレとサクラの子供なんて絶対可愛いに決まってる」

真剣な顔をしてどこか頭のネジが緩んでいる先生。
きっと娘ができたら同じように付き纏って嫌われるわね、と私は重くため息を吐いた。






◯お大事に

「・・・どうしたの先生」

朝。
師匠に渡された資料をカカシ先生に渡すために待機所に来たのだが。
眉間に深々と皺を寄せて腕を組んでソファーに座る先生。
目はこっちに向けるが顔は前を向いたまま。
先生は重々しく息を吐いて首に手を当てる。

「・・・寝違えた」
「あらら・・・」

またため息を吐く先生に私は眉を下げて笑う。
シャツで見えないが、きっとその下には湿布が貼ってあるのだろう。

「サクラ〜治してよ」
「今日は待機組で任務の予定ないんでしょ?なら自然に治すのが一番!明日も痛かったら病院来てください。はい、師匠から」
「・・・サクラ、冷たいんだ〜。オレ彼氏なのに」
「それは今関係ないでしょ!その書類確認したら今日中に師匠のところに来てって」
「はいは〜い」

先生は不満気な顔をして資料に目を通し始める。
子供みたいな先生がおかしくて、私はあることを思いつく。

「先生」
「んー?」

先生は首が痛いからかこっちを見ずに返事をする。
私は先生に顔を近づけて、頬にキスをする。

「!サク、いってぇ!!」

先生は反射でこっちを向こうとするも、そっちは寝違えてる方向。
先生は首を押さえて悶えるのを私はおかしそうに笑う。

「ふふ。じゃあね、せーんせ!」
「サクラ〜・・・後で覚えとけよ・・・」

少し睨むんでくる先生は私はイタズラが成功したナルトのように笑って部屋を出た。






◯愛の鞭

「ただーいま」

自分の家の玄関を開けながら帰宅を知らせると、部屋の奥からパタパタと足音が聞こえてくる。

「おかえりなさい」

エプロンを付けたサクラが微笑んで出迎えてくれる。
幸せな光景に、オレは気づいたらサクラを抱きしめていた。

「え、ちょっと先生?」
「いやさー、今のすごい夫婦っぽいなと思って」
「・・・実際に夫婦なんですけど」
「はは、そうだった」

ジトっと見上げてくるサクラにオレは笑う。
お互いの左手の薬指にはお揃いの銀の指輪。
去年、2年間の交際を経てプロポーズをして籍を入れた。
その時のサクラは大きな瞳から溢れそうなほどに涙を溜めて嬉しそうに頷いてくれて・・・。
可愛らしいサクラを思い出したらあるお願いを思いついて、キッチンに戻ろうとするサクラを呼び止める。

「あ、お願いがあるんだけど」
「なに?」
「おかえりのキスしてちょーだいよ」
「調子に乗らないの!」

唇を指差しながらお願いすると、サクラは顔を真っ赤に染めてオレの脳天を思い切りチョップした。
チャクラもしっかり込めて。


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