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short.2

綱手から、自里の忍が敵里に木ノ葉の情報を売っているという情報が入ったと聞かされた。
スパイを突き詰めるためにカカシが選ばれ、一緒に行動する相手に教え子として共に過ごしてきたサクラがツーマンセルとして組むことになった。
バレぬように変化をして、教授と助手のふりをして食堂にいるスパイの会話を盗み聞く。
相手は2人いるらしく、周りの目を気にしながら会話している。
それをご飯を食べているふりをしながら横目で観察する。
・・・のだが、サクラは気合が入りすぎているのかガン見するもんで何回目かの注意をする。

「・・・サクラ」
「はっ!ご、ごめんなさい・・・」

しょんぼりとするサクラを見てカカシは頬杖をつく。
そのとき、かけているメガネのフレームに小指が当たり小さい音が鳴る。
サクラも、サクラのはずなのにいつもの薄紅色の髪は茶色に、翡翠の瞳も濃い茶色に。
声はそのままなので新鮮で面白い。

「・・・なぁ、本当に大丈夫なのか?」
「もう、何回も言ったでしょ。綱手様にだってお墨付き貰ってるんだから」
「でもなぁ。諜報活動なんてしたことないでしょーよ」
「それは、そうだけど・・・大丈夫よ。何回も本で勉強したし、官房術だって!」
「ぶっ!!」
「きゃっ!汚い!!」

お茶を飲んでいた時の不意打ち発言に吹き出してしまい、前に座っていたサクラはかかってしまったお茶をお手拭きで不機嫌な顔で拭いている。
ちょっとした騒ぎをしてしまったことで周りの注目を集めてしまったものの、カカシの頭は教え子の官房術発言でそれどころではなかった。


それからスパイと同じ宿を取り部屋に戻ろうとした時、廊下の隅で話し声が聞こえ。
気配を消して近づくと、やはりスパイがいて恐らく敵里の忍と何かを話していた。
これは決定的な証拠になると2人は耳を澄ませる。
サクラはもっと近くで聞こうと足を動かした時、床に落ちていたゴミを踏んでしまいパキッと音が鳴ってしまった。

「!!」

しまったと思ったと同時にスパイ達はこちらにすぐに気づいてこちらに向かってくる。
どうしよう、と焦っていると、カカシが徐にサクラを抱きしめた。

「ちょ、ちょっと先生!」
「いいからオレの背中に手回して・・・」

あ、これ恋人のふりをするのか。
この任務の前に読み込んだ諜報活動の本に書いていたことを思い出してカカシの背中に恐る恐る手を回す。
するとカカシはサクラの腰に手を当てて更にピッタリと、カカシの足がサクラの足の間に入りこみ、一気に体温が上がる。
これは側から見たら恋人同士に見えるのかと思ったら、任務であるにも関わらず恥ずかしくなってきた。

「・・・恨むなよ」
「え?」

カカシの言っていることが分からず、何のことと言おうと顔を上げると、至近距離にカカシの顔があり唇を塞がれた。

「んむっ、・・・!」

驚いて口を開けると、口の中に何かがヌルっと入ってきた。
それがカカシの舌なのだと分かり、触れた瞬間逃げたがすぐに絡め取られる。
体を離そうとカカシの胸を押すも、逆に強く抱きしめられ、これが初めてのキスであるサクラには息継ぎの方法が分からず、息苦しさに頭に酸素が行かない。
その間もカカシはサクラの舌を舐めたり上顎を舐めたりと恋人アピールをする。
そのおかげか、角から現れた男たちは2人を見て恋人と思ってくれたのか舌打ちをして去って行った。
気配が遠のき、2人以外に人がいないことを確認したカカシはようやくサクラから唇を離す。

「サクラ、大丈夫か」

ボーとする頭でカカシを見ると、何でもないといった顔でこちらを心配そうにこちらを見てくるカカシ。
今、自分たちはキスをしていたというのに、なんでそんな平気な顔ができるのだ。
恋愛経験0のサクラの頭はパニックに陥る。

「も、」
「も?」
「もう寝る!おやすみなさい!!」
「お、おやすみ・・・」

早口で喋ったサクラはカカシと顔を合わせずに、個別で借りた自分の部屋へと逃げ去った。
1人取り残されたカカシは、サクラが去って行った方向を見て頭を掻く。
あの様子だと明日はきっと任務どころではなさそうだ。



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