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short.2

◯怒った顔が

「サクラー、好きだよー」
「はいはい」

毎日聞かされる告白はすっかり耳にタコになっていて、もう右から左に流すのが当たり前になっていた。
なんでこんな子供に告白をしてくるのだろうか。
揶揄って面白がりたいだけなんだろう。
それはとてつもなく腹が立ってくる。

「ねぇ、先生」
「ん?」
「私のどこが好きなの?」
「ん〜、怒った顔かなぁ」
「はぁ?」

どうせ「見た目〜」とかありきたりな答えが返ってくると思ったら、ヘンテコな答えに眉を顰める。

「サクラは笑顔も素敵だけど、怒るのは信頼してる相手にしか見せないからね。だからサクラがオレを怒る顔が1番好きなんだ」

蕩けそうな顔でこちらに微笑む先生。
そんな顔で見られたら本気で私のことが好きなんだと勘違いしてしまいそうで。
顔が熱くなっているのを見られるのは悔しいから思い切りそっぽを向いた。



 


◯愛おしい湯たんぽ

新年を迎え、寒さも本格的になってきた。
ベッドに入るとその冷え切った寝具に身を震わし、時間をかけて毛布の中を暖めていたというのに。

「はー、さむさむ」
「ひっ!!」

遅れて先生がベッドに入ってきたら、氷のように冷たい足で私の足に触れてきた。
その冷たさに背中がゾクッとして思わず悲鳴が出る。

「ちょ、冷たいってば!」
「サクラは暖かいな〜子供体温〜」

ギュッと抱きしめてきて足も絡めてくる。
せっかく時間をかけて暖めてきた体温が急速に失われていく。
これは眠りにつけるまで時間かかるな、と思っていると、冷たい手がパジャマの下を這っていく。

「ひゃ!」
「身体の中から温めてよ、サクラ〜」
「や、やだー!!」

ベッドで身体の中からなど、1つのことしか思いつかない。
断固拒否しようと思っているのに、大好きな手が下着を着けていない胸に触れたと同時にそんな気持ちは消えてしまった。






◯帰ってきたら

先日カカシ先生に告白をされました。
まさか先生に好きだと言われるなど、全く頭になくて。
そりゃ2人が居なくなって色々気にかけてくれてるのか、ちょくちょく様子を見にきてくれたり甘いものを奢ってくれたりはしてたけど。
それは先生として、寂しい生徒を思っての行動だと思っていたから。
何て返事をしたらいいのか分からずにいると、先生は「ちゃんと考えて返事をしてくれ」と言った。
私は言われた通り、何日も何日も考えた。

それから暫く経った頃、カカシ先生が長期に任務に出ると師匠から聞かされた。
しかも出発はこれからと言うのだ。
私は慌てて阿吽の門まで走った。
門が見えたとき、ちょうど出発しようとしている集団の中に目立つ髪色を見つける。

「カカシ先生ー!」
「サクラ?どうした」

肩で息をする私を先生は何かあったのかと心配そうに身を屈めて顔を覗き込んでくるので、いつもより近くにある襟首を掴んで引き寄せ、キスをする。
チュッとリップ音とともに顔を離すと、先生の目がまん丸に見開かれていた。
私は他の人に聞こえない声で囁く。

「・・・無事に帰ってきたら、先生の好きにさせてあげる」

人前でキスをした恥ずかしさに、それだけを言って逃げるようにその場から走った。


その場にはカカシと一緒と任務に行くメンバーもいて、一部始終見ていた彼らはリーダーであるカカシの行動を見ていた。
カカシはサクラがいなくなっても暫く立ったまま固まっていたのだが、ズルズルとしゃがみ込む。

「・・・これは、生殺しでしょ・・・」

顔を真っ赤にしたカカシの言葉はもちろんサクラの耳には入らなかった。






◯本当だったのか・・・


「カカシ先生とサクラちゃんが付き合ってるなんてまだ信じれないってばよ」

2人は付き合ってはいるが、人前でイチャつくタイプではお互いないので、付き合う前と大差なかった。
だから未だにサクラに恋慕を抱くナルトは疑っているのだ。

「ふーむ、ならちゃんと再認識させてあげよう」

顎に手をかけて唸ったカカシは、隣に立つサクラの頬に手を当てて、徐にキスをした。
それも舌を絡ます、教え子の前にも関わらず濃厚のを。
人前でキスをするような性癖を持っていないサクラはもちろん抵抗するも、腰に腕を回すカカシの力には勝てず、ナルトの目の前で無理やりラブラブシーンをさせられる羽目に。
ようやく口が離れた時にはサクラの頭はまともに働いておらず、カカシの胸元に倒れる。
カカシはそんなサクラの頭を優しく撫でてナルトに顔を向ける。

「これで分かった?」

初心なナルトは顔を真っ赤にして固まっている。
お子様だねぇ、と笑うカカシは、拳にチャクラを込めて鳩尾に打ち込もうとするサクラに気づくのが遅かった。






◯星

『夜になったら星を見て。どれだけ離れてても同じ空を見てると思ったら寂しくないわ』

野営中、火の番をしているカカシは空を見上げるとそこには満天の星が輝いていた。
この星をサクラも見ていると思ったら自然に頬が上がる。

「・・・本当だね、サクラ」

でしょ、と自慢げに笑う君の声が聞こえた気がした。


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