short.2
とうとう今年もわずか。
日頃何かとお世話になっているのと、ちょっとした気持ちから、クリスマスにカカシにプレゼントを渡すことにした。
しかし父以外に身近に男の人と関わることが無かったから、20代の男の人が何が欲しいのかが分からない。
いや、多分欲しいのは分かるけど18歳未満の自分では買いに行くこともできないし、渡したくもない。
男性向けの小物が売ってるお店の前で彼此20分は商品と睨めっこをしている。
店員も訝しみながらこっちを見ているからそろそろ決めないといけないのは分かってはいるんだけど・・・
「お?春野じゃねえか」
「え?」
後ろから声をかけられて振り向くと、そこには咥えタバコの、親友の師であるアスマが立っていた。
「アスマ先生、こんにちは」
「おう。なんだ?プレゼントか?」
「あ・・・はい」
「ほぉー?まぁもうクリスマスだもんな。しかし、サスケにやるにしてはちと大人向けじゃないか?」
横に立ってサクラが見ていたものを見る。
他の班のアスマにまでサスケ好きがバレていて恥ずかしくなる。
まぁいのといつも競っていたからだろうけど。
でも今は違う。
「えーと・・・サスケくんじゃなくて、その、カカシ先生に・・・」
「カカシに?」
「はい・・・えっと、日頃お世話になってるので何かお礼をしたいなと思って・・・」
恥ずかしさにモジモジと答える。
じー、とこちらを見てくるアスマの視線が怖い。
「は!カカシが羨ましいぜ。こんな先生想いの生徒を持ててな。絶対いのはそんなことすら考えねえぞ」
「はは、は・・・」
頭の上に乱暴に手を置かれてこねくり回される。
ちょっと痛いけどバレてないから良しとしよう。
「なら良い店知ってんだよ。きっとカカシの野郎も気にいる」
「本当ですか!」
「おう。付いてこい」
「はい!」
乱れた髪を整えてアスマの後を追いかけた。
「・・・ん?」
1人里をイチャパラを読みながら歩いていたカカシはある気配に気づいて顔を上げる。
それは密かに恋慕を向けている少女の気配。
師走と言われるだけあってたくさんの人が行き交うこの中でその気配に気づくのだから相当である。
今日は任務が休みだったから顔を見よう、と浮かれながら気配を辿り探すと、人混みの中で小さなピンク色を見つける。
「サク──」
自然と頬が緩み、声をかけようとして止まる。
男向けの雑貨屋にサクラが入っていったのだが、その隣で見覚えのある男も一緒に入って行ったからだ。
「・・・アスマ?」
****
あれからアスマに連れて行かれたお店で素敵な栞を見つけた。
これだったらいかがわしいけど本を読んでいるカカシにはピッタリだろう。
プレゼントは決まったのに、1週間経った今、いまだにプレゼントを渡すことができていない。
サクラとしてはちょっと早いが今すぐにでもプレゼントを渡したいのに、何故かカカシが捕まらないのだ。
任務が終わって声をかけてもナルトに邪魔されて捕まらないし、それならアカデミーで待ってようとしても気づいたら帰ってるし。
いつもなら探さなくても気づいたら横にいてくれるのに──
そんなこんなで気づけば24日。
クリスマスであり下忍たちの仕事納めでもある。
今日を逃せば今年はもうプレゼントを渡すことができない。
「カカシ先生!」
任務終わり、ふらりと逃げるように立ち去るカカシを引き止めると、カカシはどこか不機嫌そうに振り返る。
「・・・なに?」
「あ、あのね、先生に渡したいものが・・・」
「・・・渡す相手、間違えてるんじゃないか?」
「え?」
「アスマなら待機所にいると思うけど」
「あ、アスマ先生!?」
思いもよらぬ人物の名前に思わず大きな声が出てしまった。
なんでここでアスマの名が出るのだ。
「な、なんでアスマ先生?」
「なんでって、この間2人で会ってただろ」
「そ!それは・・・」
この間のプレゼントを探しているところを見られていたことに恥ずかしくなり顔が熱くなる。
モジモジと恥ずかしそうにする姿にカカシは気に障り、話も終わっていないのに去ろうとするのでサクラは慌てて腕を掴んで引き止める。
「せ、先生待ってよ、まだ用事が・・・」
「明日でもいいだろ。忙しいから」
何故か避けようとするカカシにサクラはカチンとなり、カカシのポシェットに勝手に手を突っ込んでイチャパラを取り出す。
「え、ちょっとサクラ!?」
「はい!どうぞ!!」
サクラは綺麗に包まれたプレゼントの包装紙を無理やり破き、中の栞をイチャパラに挟んでカカシに返した。
「・・・これって」
カカシは返された自分の本に挟まれた物を引き抜く。
それはシンプルだが綺麗で、男の自分でも使える栞だった。
目を丸くしてサクラは見ると、顔を背けて怒った顔をしているが耳は真っ赤に染まっていた。
「日頃の感謝のプレゼントです!何がいいか分からなかったからアスマ先生に相談してたの!それじゃあ忙しいみたいだから!さようなら!!」
早口で用件を伝えて立ち去ろうとした時、後ろから勢いよく腕を引かれてカカシの胸に鼻をぶつける。
そしてそのままカカシはサクラを思い切り抱きしめた。
「ちょっと、先生!?」
「・・・ありがとうサクラ。すごく嬉しい。大事に使うよ」
「あ、当たり前よ!選ぶの大変だったんだから!」
悪態を吐きながら恥ずかしさに体を離そうとカカシの胸に手を置いて押すのにびくともしない。
逆に更に密着するように抱きしめられて、こんなふうにカカシと抱きしめあったことがないから顔から火が出そうだった。
「でも、これからはプレゼント買う時はオレを連れて行ってくれ」
「え?なんで?」
「せっかくのプレゼントを他の男と買いに行ったと思ったら、はらわたが煮えくり返る」
「・・・変なの」
「男はそういうもんなの」
「そうなの?」
「そうなの」
機嫌が悪かったり嬉しそうにしたり怒ったり。
普段は見れないカカシにサクラは嬉しそうに笑う。
カカシはそんなサクラの髪に触れる。
「これからお礼にご飯食べに行かないか?」
「・・・忙しいんじゃなかったんですか」
「大事なサクラのためなら火影様からの直接の任務だって断るよ」
「それはちゃんと受けてください!私が怒られるわ!」
顔を勢いよく上げると、カカシが喉の奥で楽しそうに笑っている。
その顔は先ほどまでの邪険に扱う雰囲気はなくて、ほっとする。
体を離してカカシはサクラに手を差し出す。
サクラは恥ずかしそうにその手を取り、恋人たちで溢れる町中へと消えていった。
日頃何かとお世話になっているのと、ちょっとした気持ちから、クリスマスにカカシにプレゼントを渡すことにした。
しかし父以外に身近に男の人と関わることが無かったから、20代の男の人が何が欲しいのかが分からない。
いや、多分欲しいのは分かるけど18歳未満の自分では買いに行くこともできないし、渡したくもない。
男性向けの小物が売ってるお店の前で彼此20分は商品と睨めっこをしている。
店員も訝しみながらこっちを見ているからそろそろ決めないといけないのは分かってはいるんだけど・・・
「お?春野じゃねえか」
「え?」
後ろから声をかけられて振り向くと、そこには咥えタバコの、親友の師であるアスマが立っていた。
「アスマ先生、こんにちは」
「おう。なんだ?プレゼントか?」
「あ・・・はい」
「ほぉー?まぁもうクリスマスだもんな。しかし、サスケにやるにしてはちと大人向けじゃないか?」
横に立ってサクラが見ていたものを見る。
他の班のアスマにまでサスケ好きがバレていて恥ずかしくなる。
まぁいのといつも競っていたからだろうけど。
でも今は違う。
「えーと・・・サスケくんじゃなくて、その、カカシ先生に・・・」
「カカシに?」
「はい・・・えっと、日頃お世話になってるので何かお礼をしたいなと思って・・・」
恥ずかしさにモジモジと答える。
じー、とこちらを見てくるアスマの視線が怖い。
「は!カカシが羨ましいぜ。こんな先生想いの生徒を持ててな。絶対いのはそんなことすら考えねえぞ」
「はは、は・・・」
頭の上に乱暴に手を置かれてこねくり回される。
ちょっと痛いけどバレてないから良しとしよう。
「なら良い店知ってんだよ。きっとカカシの野郎も気にいる」
「本当ですか!」
「おう。付いてこい」
「はい!」
乱れた髪を整えてアスマの後を追いかけた。
「・・・ん?」
1人里をイチャパラを読みながら歩いていたカカシはある気配に気づいて顔を上げる。
それは密かに恋慕を向けている少女の気配。
師走と言われるだけあってたくさんの人が行き交うこの中でその気配に気づくのだから相当である。
今日は任務が休みだったから顔を見よう、と浮かれながら気配を辿り探すと、人混みの中で小さなピンク色を見つける。
「サク──」
自然と頬が緩み、声をかけようとして止まる。
男向けの雑貨屋にサクラが入っていったのだが、その隣で見覚えのある男も一緒に入って行ったからだ。
「・・・アスマ?」
****
あれからアスマに連れて行かれたお店で素敵な栞を見つけた。
これだったらいかがわしいけど本を読んでいるカカシにはピッタリだろう。
プレゼントは決まったのに、1週間経った今、いまだにプレゼントを渡すことができていない。
サクラとしてはちょっと早いが今すぐにでもプレゼントを渡したいのに、何故かカカシが捕まらないのだ。
任務が終わって声をかけてもナルトに邪魔されて捕まらないし、それならアカデミーで待ってようとしても気づいたら帰ってるし。
いつもなら探さなくても気づいたら横にいてくれるのに──
そんなこんなで気づけば24日。
クリスマスであり下忍たちの仕事納めでもある。
今日を逃せば今年はもうプレゼントを渡すことができない。
「カカシ先生!」
任務終わり、ふらりと逃げるように立ち去るカカシを引き止めると、カカシはどこか不機嫌そうに振り返る。
「・・・なに?」
「あ、あのね、先生に渡したいものが・・・」
「・・・渡す相手、間違えてるんじゃないか?」
「え?」
「アスマなら待機所にいると思うけど」
「あ、アスマ先生!?」
思いもよらぬ人物の名前に思わず大きな声が出てしまった。
なんでここでアスマの名が出るのだ。
「な、なんでアスマ先生?」
「なんでって、この間2人で会ってただろ」
「そ!それは・・・」
この間のプレゼントを探しているところを見られていたことに恥ずかしくなり顔が熱くなる。
モジモジと恥ずかしそうにする姿にカカシは気に障り、話も終わっていないのに去ろうとするのでサクラは慌てて腕を掴んで引き止める。
「せ、先生待ってよ、まだ用事が・・・」
「明日でもいいだろ。忙しいから」
何故か避けようとするカカシにサクラはカチンとなり、カカシのポシェットに勝手に手を突っ込んでイチャパラを取り出す。
「え、ちょっとサクラ!?」
「はい!どうぞ!!」
サクラは綺麗に包まれたプレゼントの包装紙を無理やり破き、中の栞をイチャパラに挟んでカカシに返した。
「・・・これって」
カカシは返された自分の本に挟まれた物を引き抜く。
それはシンプルだが綺麗で、男の自分でも使える栞だった。
目を丸くしてサクラは見ると、顔を背けて怒った顔をしているが耳は真っ赤に染まっていた。
「日頃の感謝のプレゼントです!何がいいか分からなかったからアスマ先生に相談してたの!それじゃあ忙しいみたいだから!さようなら!!」
早口で用件を伝えて立ち去ろうとした時、後ろから勢いよく腕を引かれてカカシの胸に鼻をぶつける。
そしてそのままカカシはサクラを思い切り抱きしめた。
「ちょっと、先生!?」
「・・・ありがとうサクラ。すごく嬉しい。大事に使うよ」
「あ、当たり前よ!選ぶの大変だったんだから!」
悪態を吐きながら恥ずかしさに体を離そうとカカシの胸に手を置いて押すのにびくともしない。
逆に更に密着するように抱きしめられて、こんなふうにカカシと抱きしめあったことがないから顔から火が出そうだった。
「でも、これからはプレゼント買う時はオレを連れて行ってくれ」
「え?なんで?」
「せっかくのプレゼントを他の男と買いに行ったと思ったら、はらわたが煮えくり返る」
「・・・変なの」
「男はそういうもんなの」
「そうなの?」
「そうなの」
機嫌が悪かったり嬉しそうにしたり怒ったり。
普段は見れないカカシにサクラは嬉しそうに笑う。
カカシはそんなサクラの髪に触れる。
「これからお礼にご飯食べに行かないか?」
「・・・忙しいんじゃなかったんですか」
「大事なサクラのためなら火影様からの直接の任務だって断るよ」
「それはちゃんと受けてください!私が怒られるわ!」
顔を勢いよく上げると、カカシが喉の奥で楽しそうに笑っている。
その顔は先ほどまでの邪険に扱う雰囲気はなくて、ほっとする。
体を離してカカシはサクラに手を差し出す。
サクラは恥ずかしそうにその手を取り、恋人たちで溢れる町中へと消えていった。
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