short.2
「よー、カカシ」
任務が終わり、恋人が遊びに来ているであろう自分の部屋に帰ろうとしていると後ろから聞き覚えのある声で呼び止められる。
肩越しに振り向くと、やはりそこには悪友のゲンマが何故かイヤらしい顔でこちらを見ていた。
「なに」
「別に。やけに急いだ足取りだったからよ。お姫様でも待ってんのか?」
「分かってんなら早く解放してくれる?」
「まぁケチケチすんな」
イライラするオレにゲンマはニヤニヤ笑う。
その顔が本当腹が立つ。
友じゃなければヤッているところだ。
オレの苛立ちがピークになりそうなのが分かったのかゲンマはどこから取り出したのか枕をオレに差し出す。
「なんだよコレ」
「イエスノー枕」
「それぐらい知ってる。なんでそんなものがここにあんの」
「これで愛おしい恋人と楽しい夜でも過ごしてみろ」
じゃあな、と枕を押し付けてゲンマはさっさと去っていった。
これは不要なものを押し付けられた。
オレは小さくなるゲンマの背中に舌打ちをして、踵を返して足早にその場を後にした。
「・・・なにこれ」
サクラの手作り夕ご飯を一緒に食べて先にお風呂に入り上がってくると、サクラは床に落ちているのを指差す。
それは寝室に置いておいたイエスノー枕だった。
不機嫌そうに目を吊り上げてこちらを見てくるサクラ。
やっぱりサクラは怒った顔が一番可愛い。
「なにこれって聞いてるんですけど」
デレっとしている顔が気に食わなかったのかサクラは今度は強めに聞いてくる。
「なにって、イエスノー枕」
「そんなこと知ってるわ!何でこんなものがここにあるのかって聞いてるのよ!」
足踏みをして怒りアピールをしてくるサクラに、恋人になると同じことを考えるんだなと場違いなことを考えてしまう。
「ゲンマに押し付けられたんだよ」
「・・・ゲンマさん?」
ゲンマの名にサクラの眉がピクリと動く。
最近オレの悪友たちが碌なことをしないことに気づき始めて微妙な顔をするようになった。
現に枕がそれだ。
「恋人と楽しい夜を過ごせってさ。オレとしたくなったらイエスって面を上にして枕元に置いといたらいいよ」
「!!そんなことしないわよ!」
「え〜?オレはいつでもサクラとイエスなのに、──ぶっ!!」
サクラとの甘々の夜を想像していると、最後まで言う前に顔面に枕が勢いよく飛んできた。
「ばかばか、カカシ先生のバカ!!絶対使わないんだから!ゲンマさんに返しといてよね!!」
ふん、とサクラは鼻を鳴らして洗面所に消えていった。
使ってみたい気持ちもあるが、これ以上これでサクラを怒らせるのは得策ではない。
オレは枕をクローゼットにポイと投げ捨ててベッドに横になった。
****
結局その後もその枕が使われることもなく日々が流れていき。
それから暫くしてオレの3週間ほどの任務が入った。
サクラと離れたくない気持ちの方が強かったが忍が命令を拒否できるはずもなく、渋々オレは任務に出た。
そして無事任務を終えた今日。
いつものように遊びに来ていたサクラの手料理を久方ぶりに食し、ゆっくりと湯船に浸かり疲れを取り。
ソファーで2人並んでテレビを見ている時だった。
隣に座った時から何故かサクラの様子がおかしく落ち着かない様子で。
何かあったのだろうかと不審がっていると、サクラは徐に立ち上がって寝室に消えて行った。
眠たいのに言い出せなかったのか?と思っていると寝室から物音がしてサクラが何かを持って戻ってきたら。
その手にあるのはクローゼットに放っていた、イエスノー枕。
そしてサクラが向けているのはイエスだ。
顔を真っ赤に潤む目でこちらを見てくるサクラ。
無意識に喉が鳴り、枕ごとサクラを抱き抱えてベッドにダイブした。
今度ゲンマに酒を奢ってやろう。
胸の下で生まれたままの姿のサクラを見て頬を緩ませた。
任務が終わり、恋人が遊びに来ているであろう自分の部屋に帰ろうとしていると後ろから聞き覚えのある声で呼び止められる。
肩越しに振り向くと、やはりそこには悪友のゲンマが何故かイヤらしい顔でこちらを見ていた。
「なに」
「別に。やけに急いだ足取りだったからよ。お姫様でも待ってんのか?」
「分かってんなら早く解放してくれる?」
「まぁケチケチすんな」
イライラするオレにゲンマはニヤニヤ笑う。
その顔が本当腹が立つ。
友じゃなければヤッているところだ。
オレの苛立ちがピークになりそうなのが分かったのかゲンマはどこから取り出したのか枕をオレに差し出す。
「なんだよコレ」
「イエスノー枕」
「それぐらい知ってる。なんでそんなものがここにあんの」
「これで愛おしい恋人と楽しい夜でも過ごしてみろ」
じゃあな、と枕を押し付けてゲンマはさっさと去っていった。
これは不要なものを押し付けられた。
オレは小さくなるゲンマの背中に舌打ちをして、踵を返して足早にその場を後にした。
「・・・なにこれ」
サクラの手作り夕ご飯を一緒に食べて先にお風呂に入り上がってくると、サクラは床に落ちているのを指差す。
それは寝室に置いておいたイエスノー枕だった。
不機嫌そうに目を吊り上げてこちらを見てくるサクラ。
やっぱりサクラは怒った顔が一番可愛い。
「なにこれって聞いてるんですけど」
デレっとしている顔が気に食わなかったのかサクラは今度は強めに聞いてくる。
「なにって、イエスノー枕」
「そんなこと知ってるわ!何でこんなものがここにあるのかって聞いてるのよ!」
足踏みをして怒りアピールをしてくるサクラに、恋人になると同じことを考えるんだなと場違いなことを考えてしまう。
「ゲンマに押し付けられたんだよ」
「・・・ゲンマさん?」
ゲンマの名にサクラの眉がピクリと動く。
最近オレの悪友たちが碌なことをしないことに気づき始めて微妙な顔をするようになった。
現に枕がそれだ。
「恋人と楽しい夜を過ごせってさ。オレとしたくなったらイエスって面を上にして枕元に置いといたらいいよ」
「!!そんなことしないわよ!」
「え〜?オレはいつでもサクラとイエスなのに、──ぶっ!!」
サクラとの甘々の夜を想像していると、最後まで言う前に顔面に枕が勢いよく飛んできた。
「ばかばか、カカシ先生のバカ!!絶対使わないんだから!ゲンマさんに返しといてよね!!」
ふん、とサクラは鼻を鳴らして洗面所に消えていった。
使ってみたい気持ちもあるが、これ以上これでサクラを怒らせるのは得策ではない。
オレは枕をクローゼットにポイと投げ捨ててベッドに横になった。
****
結局その後もその枕が使われることもなく日々が流れていき。
それから暫くしてオレの3週間ほどの任務が入った。
サクラと離れたくない気持ちの方が強かったが忍が命令を拒否できるはずもなく、渋々オレは任務に出た。
そして無事任務を終えた今日。
いつものように遊びに来ていたサクラの手料理を久方ぶりに食し、ゆっくりと湯船に浸かり疲れを取り。
ソファーで2人並んでテレビを見ている時だった。
隣に座った時から何故かサクラの様子がおかしく落ち着かない様子で。
何かあったのだろうかと不審がっていると、サクラは徐に立ち上がって寝室に消えて行った。
眠たいのに言い出せなかったのか?と思っていると寝室から物音がしてサクラが何かを持って戻ってきたら。
その手にあるのはクローゼットに放っていた、イエスノー枕。
そしてサクラが向けているのはイエスだ。
顔を真っ赤に潤む目でこちらを見てくるサクラ。
無意識に喉が鳴り、枕ごとサクラを抱き抱えてベッドにダイブした。
今度ゲンマに酒を奢ってやろう。
胸の下で生まれたままの姿のサクラを見て頬を緩ませた。
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