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short.2

◯別れた、けども

はたけカカシと春野サクラは恋仲にある。
それは忍であるものなら誰しもが知っていることだった。
しかし、反対に誰も知らないことがある。
──それは、2人がもう別れていることだ。
何故誰も気づかないのかというと、2人が今までと何も変わらず、仲睦まじい距離にいるからだ。
これに気づくのは至難の業と言えるだろう。
今だってサクラは当たり前のようにカカシの部屋を訪れてベッドの上でくつろいでいる。

「私たちが半年前に別れてるって言ったらみんなどんな反応するのかしら」
「さてね。それよりサクラ」
「なに?」
「その別れてる男の部屋に毎日くるのは何で?」

カカシの質問にサクラは目を瞬かせ、首を傾げて唸る。

「うーん、居心地いいから?」
「そんなんじゃ新しい男のなんて出来ないだろ」
「いいじゃない、別に」

悪びれもなく笑うサクラはまた視線を雑誌に戻してくつろぎ始める。
別れを切り出したのはサクラでその理由は教えてもらえず仕舞いだった。
今時の女の子は本当何を考えているのか分からないな、とカカシはサクラを見ながらお茶を啜った。






◯口から出た真

カカシはよくモテる
幼少期、アカデミーの女子たちや班員の1人、そして大人になるにつれ告白の頻度は増えていった。
少し話しただけで勘違いをされ、告白のたびにいつも断ってきた。
誰かと付き合う気持ち無ければ、誰かと恋仲になるなどそんなことを許されるはずがない。
だからサクラに告白された時も一緒だ。
顔を髪よりも真っ赤にして告白をされた時は、思ってもいなかったことに戸惑ってしまった。
可哀想ではあるが、いつものように三文字の言葉を口にするのだ。
そう、いつものように、断る言葉を──

「いいよ」

口から出た言葉にカカシは目を見開き口を押さえる。
サクラも同じように目を丸くし、嬉しそうに笑った顔を見て、自分の口から出た言葉に納得した。






◯思春期だもんね

木ノ葉に最近出来たというお好み焼き屋さん。
あのチョウジが絶賛していたので4人で食べに来た。
噂が噂を呼び店に来た時には長蛇の列が出来ており、何十分か待ってようやく席に座ることができた。
そして注文して焼けたお好み焼きは生地はフワフワで出汁も上手く、並んだ甲斐があったというものだ。
サクラは自分の頼んだお好み焼きにマヨネーズをかけようと容器を押すと、残り少なかったのか変な音ともに中身が飛び散って自分の顔にかかってしまった。

「うぅ・・・顔にかかっちゃった・・・」

サクラが嫌な顔をして、顔にかかった白いのを舐めるのを見てナルトとサスケは唾を飲み込む。

「とりあえず顔洗ってきたら?」
「そうする・・・」

カカシに言われてサクラは席を立ちトイレに向かう。
その背中が見えなくなってカカシは男子2人に目線を向ける。

「サクラが戻ってくる前に"ソレ"、どうにかしろよ。それともお前らもトイレ行ってくるか?」
「うるさい!!」
「うっさいってばよ!!」






◯特別扱い?

親がおらず一人暮らしをするナルトとサスケの生活を案じて週末に2人をカカシの家でご飯付きお泊まりをした。
魚料理が美味しかったとナルトに自慢話をされ、そんなことが行われたことを知らなかったサクラはカカシに自分も泊まりに行きたいとお願いした。
しかしそれはカカシに却下された。
どうして自分だけダメなのか。
仲間はずれにされたとサクラの不満が膨れ上がる。

「どうしてよ!」
「サクラは女の子だから」
「私だけ子供扱い!」
「違うよ。女扱い。襲っちゃうかもしれないから」

にこり、と微笑みながらのカカシの爆弾発言に、サクラの思考は止まった。






◯無自覚な八方美人

カカシは愛想が良く、誰でも助けるところから必ず女の人を惚れさせる。
かっこよくて強くて優しいなど、惚れるなというほうが難しいのではないだろうか。
任務先でも女の人がカカシを見て目をハートにして恋に落ちる瞬間を見てきた。
その度にサクラの機嫌は悪くなる。
女の人から戻ってきたカカシは機嫌の悪いサクラを目ざとく見つけて顔を覗き込んでくる。

「どうした?サクラ」
「別に?カカシ先生は八方美人ですよね」
「はぁ?」

サクラの言っていることが分からず首を傾げるカカシにサクラは鼻を鳴らして背中を向けた。
何でこんなにもカカシが女の人といるのが腹立つのか。
まだ幼いサクラには分からなかった。


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