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short.2

ある雨の日、任務が終わって自分の家へと帰ろうとするカカシの目の前に、段ボールに入った3匹の子猫がいた。
恐らく捨てられたのであろうボロボロの段ボールに入れられた3匹は、カカシの姿を見るなり元気に鳴き出す。
今は小雨だがこれからひどくなるかもしれない。
こんな野晒しの場所に放置されていたら病気になってしまう。
こんな手のひらサイズの命など、簡単に・・・。
カカシが葛藤している間も3匹はカカシに何かを訴えかけているかのように鳴いている。
忍犬使いの自分は動物に甘い。
だから、しょうがないのだ。

カカシは段ボールを抱えて3匹を連れ帰り、パックンのシャンプーを拝借して猫たちを洗っていく。
汚れていて分からなかったが、黄色、黒、ピンクと珍しい毛色の兄弟猫だった。
それから里親が見つかるまでの間、3匹の面倒を見ることになったのだがこれまた大変だった。
黄色の一番ヤンチャの猫は部屋中を駆け回り、壁紙もズタボロにしてくれた。
これは大家に怒られるな、とカカシは爪研ぎをされた壁紙にため息を吐いた。
そして黒は大人しく1人でいることが多いから1人が好きなのかと思えばチラチラと遊んで欲しそうにこちらを伺ってくる。
可愛いな、と思って構おうとすると怒って爪を立ててくるから意味が分からない。

そして最後のピンクなのだが。
黒色が好きなのか頻繁に構いにいくのだが黒は歯を見せて怒る。
怒られて落ち込むと必ずカカシの背中にしがみついてきて暫く離れないのだ。
しかも食の好みに煩くて安いご飯は食べないときた。
元気でトラブルメーカーの黄色、構ってほしいけど素直になれない黒、どこか高飛車で甘えん坊なピンク。
なんとなく弟子3人に似ていて憎めないところがある。
手放せるのだろうか、と床に寝転ぶと、ピンクが近づいてきて何故か傷跡がある左目を執拗に舐めてくる。

「ちょ、なに」

鬱陶しさに首根っこを掴んで放り投げるもまた戻ってきて左目を舐めてくる。
喋らない動物は何を考えているか分からない。
諦めてピンクが満足するまで舐めさせてやることにした。
何となく治そうとしているのかその必死さに、どこかあの子みたいだなと思ってしまった。




「先生、なんか手ボロボロじゃない?」

さすがは女の子。
目ざとくカカシの指先や腕に出来た噛み傷や引っ掻き傷を見つける。

「あー、ちょっとね。最近猫飼っててさ」
「猫!?私も好き!ねー、見に行ってもいいでしょ?」
「いいよ」
「やった!あ、あとね、お母さんから聞いたんだけど、これ目に良いっていうブルーベリー。食べてたら写輪眼使っても倒れなくなくなると思うの」
「・・・おー、サンキュー」

写輪眼はチャクラの使いすぎだから目は関係ないんだけどな、と思いながら、隣で楽しそうに歩くサクラを見てまぁいいか、と頬を緩ませた。


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