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short.2

よくカカシは昔から淡白とか冷徹などど言われることがあった。
来るもの拒まず、去るもの追わず。
他人には執着をせず、特定の相手は作らずに楽なお友達ばかりを作って。
そしてそのお友達が本気になったら切り捨てる。
周りから見たら屑のようなことをしていた自分が。
まさか本気で愛した相手に対してグイグイいくやつとは思わなかった。
サクラと付き合うようになって周りが呆れるほどにべったりとくっ付き、その度にサクラに鬱陶しがられる。
今になってようやく女達の気持ちが分かった。
好きな人を他のやつに取られたくない。
だからマーキングしていたのだと。
そうやって四六時中付き纏っていると、紅とすれ違った時に忠告をされた。

「女の中にもベタベタされるのが嫌いな人いるから、いつかサクラちゃんにウザがられて振られるかもね」

じゃあね、と去っていく紅。
カカシは紅の言葉が頭から離れず、その場から動けなかった。



その日、仕事をしているサクラの元にカカシから式が飛んできて珍しく自分の部屋に行きたいというものだった。
もちろん断ることはないが、いつもはサクラがカカシの部屋に行くの当たり前になっていたから不思議でならなかった。
仕事を早めに切り終えて2人分の食材をスーパーで買い、一通り作り終えたタイミングでカカシが部屋にやってきた。
初めて部屋に来たカカシに「サクラらしい可愛い部屋だね」と褒められた部屋の真ん中にあるローテーブルを2人で床に座って向い、世間話をして完食した。
2人分の食器を洗いながら、ベッドに座りサクラの医療の本を読んでいるカカシに声をかける。

「先生、お風呂入るでしょ?」
「んー・・・」

是か非とも分からない返事。
カカシの部屋で同じようにご飯を食べたときはサクラがお皿を洗っている間にカカシがお風呂に入っているから、その通りにすると思っていたのに。
返事に続きを待っているとカカシは徐に立ち上がり、

「いや、今日は帰るよ」
「えっ」
「明日は朝早いからね」
「そう・・・」

少しの時間しか居れなかったことに寂しそうな顔にしているサクラにカカシがグッと堪え、優しく頭を撫でて玄関に向かう。
その後を付いていき、靴を履いたカカシは振り返る。

「あ、そうだ。明日から忙しくなるから1週間ぐらい会えそうにないんだ」
「え、あ、うん、わかった」
「悪いね。じゃ」

あっけなくカカシは部屋を出ていき、ポツンと1人残される。
いつもなら鬱陶しいくらいくっ付いてきて、しつこいぐらいにベッドの中でイチャイチャしてくるのに。
いつもと違うカカシに、サクラは不安を覚えた。



それからカカシの言葉通り、あれだけ毎日会っていたのが嘘のように会えない日々が続いた。
鬱陶しく思いながらもずっと側にあった温もりを感じれないと寂しくて。
カカシの体温に包まれていたくて。
気づいたら無意識にカカシの部屋へと歩いていた。
アパートに着いて見上げると部屋の電気は付いている。
部屋のインターホンを鳴らすと、少し時間をおいてゆっくりドアが開く。

「・・・・・・サクラ」

名前を呼ぶカカシは顔色が悪い。

「か、カカシ先生、顔色悪いわよ。体調悪いの?」

どこか悪いのかと心配して体に触れると、いきなりガバっと抱きしめられた。

「え!?」
「サクラーー!サクラサクラ、サクラーーーーーー!!」

大声でサクラの名前を気が狂ったかのように連呼して頬擦りしてくる。
突然のことに放心状態のサクラ。

「ちょ、はなして・・・」
「1週間もサクラに会えないし触れなくて死ぬかと思ったー!紅がベタベタしすぎるとサクラに捨てられるって言うから暫く自重してたけど、もう無理!!」

部屋の外で騒いでいると住人や周りの人たちが何事かと様子を見にくる。
抱きつかれているのを見られて恥ずかしいのにカカシは周りが見えていないのか、服の下に手を入れてきてギョッとする。

「か、カカシ先生!?ここ、外!」
「あー、サクラの匂い・・・もう我慢できない・・・」
「離してよ!バカーー!!」

アパートに頬を叩く気持ちの良い音が響いた。


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