このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

short.2

「ただーいま・・・」

カカシはアパートの自分の部屋の玄関のドアを静かに開け、小声で声をかける。
3日間の任務が終わり、里に帰って来た時には日付が変わっている時間だった。
時々こんなふうに遅くなる時があるから最近同棲を始めた恋人であるサクラには先に寝ておいてくれと言ってある。
静かに真っ暗な廊下を進み、奥の電気の付いているリビングではなく手前の寝室のドアを玄関と同じように静かに開ける。
部屋の真ん中には同棲を機に2人で十分の大きさのベッドを購入した。
生活リズムがお互いバラバラだが寝る時には一緒に。
それはサクラが絶対譲らなくて。
あまりの可愛さに買った日は思い切りサクラを抱いた。

そしてそのサクラは今、気持ちよさそうに寝息を立てている。
毛布に包まり、自分の気配にも気づかないほど疲れているのだろう。
ベッドの右側を開けて縮こまって寝ている恋人が愛おしく、起こさぬように額に口付けをして部屋を出た。
リビングに入ると2人机の上にはメモが置いてある。
そこには「お疲れ様。冷蔵庫にご飯があるのでチンして食べてね」と可愛らしい文字で書いてあり、自然と頬が緩んでしまう。
冷蔵庫を覗くとちゃんと栄養面が考えられた料理が入っており、言われた通りレンジで温めて手を合わせて感謝を込めていただいた。

それからお風呂に入り寝る支度を済ませてベッドに潜り込む。
起こさぬようにサクラの頭の下に腕を通すと、サクラは無意識なのかオレの胸に擦り寄ってムニャムニャと寝言を言っている。
あぁ、本当に可愛い。この子が自分の恋人なのだと未だに実感が湧かない。
夢なのではないかと思ってしまうほどに。
もし夢ならば覚めないでくれと、サクラを強く抱きしめて目を閉じた。


朝、カーテンの隙間から差し込む陽の光が顔に当たり眉間に皺を寄せる。
もうそんな時間なのか、とオレは自分の左側に手を伸ばすも望む感触が訪れない。
ゆっくりと目を開けるもそこにはサクラはおらずもぬけの空。
やはり自分の都合の良い夢だったのだろうか、と落ち込みそうになっていると部屋の外から味噌汁の良い匂いがしてくる。
そしてタイミングよく部屋のドアがノックされ、ドアの向こうから薄紅色の髪がひょこと現れて、起きているオレを見てエプロン姿のサクラは嬉しそうに笑う。

「あ、起きてた。おはよう、カカシ先生」
「・・・おはよう」

オレはベッドに腰掛けてサクラを手招きする。
サクラは嬉しそうに駆け寄ってきて、愛おしい恋人の頭の後ろに手を回して朝のキスをした。


59/159ページ