short.2
暗闇の中を暫く歩いていると暖かい光が見える。
その方向に歩いていくと、そこには丸太に座り焚き火をしている愛おしい人が。
「せーんせ」
呼びかけると、その人は最後に見た姿と変わらない顔でこちらに微笑みかける。
「よー。遅かったな」
「カカシ先生が70まで生きろって言ったんでしょ。私、80まで頑張ったのよ?もうおばあちゃんなんだけど」
「その割には昔と変わらないな」
「そりゃこれがありますからね」
サクラは自分の額を指差す。
昔はコンプレックスだったと言っていた広いおでこの真ん中には、かつての師であり木ノ葉の五代目火影として活躍した綱手と同じ百号の印が。
「羨ましいねぇ。オレだけどんどん年取っちゃってさぁ」
「そういう先生だって他の人たちと比べて若かったじゃない。それより、あの2人はちゃんと来た?」
「あぁ、来たよ。サスケは挨拶だけしてとっとと行っちゃったけどな。ナルトはずーと居座って世間話してたよ」
両極端な2人らしいといえばらしいが。
サクラは不満そうに口を尖らせる。
「なんで私のこと待っててくれないのよ。2人の白状者ぉ」
「オレに気使ったんでしょ。二十数年ぶりの再会なんだから。ほら、ここ座りなよ」
「・・・うん」
丸太を叩くカカシにサクラは素直に隣に座る。
せっかく七班が揃う時だったから置いて行かれたのが寂しかったけど、カカシと2人きりにしてくれたサスケとナルトには今度会えたらお礼を言おう。
パチパチと爆ぜる焚き火を見ていると、2人の姿は12と26に変わっていた。
「なんかあっという間な人生だったわ」
「そ?」
「うん。気づいたらもう80だったから、本当あっという間」
「そっか」
その返答から、カカシにとってはそうでもなかったのだろう。
カカシの過去について、生前聞いたことがあった。
父親の自殺、親友の死、仲間を手にかけたこと、師を亡くしたこと。
どれもどれも自分には考えられない長い暗い人生だったはずだ。
サクラは暗い気分を晴らすために昔話をカカシに振る。
「ねぇ、覚えてる?私たちが下忍のときにナルトとサスケくんが橋の上で掴みあいの喧嘩してバランス崩して下の川に一緒に落ちちゃったこと」
「あー、あったあった。任務向かうときだったから急いで焚き火で乾かしたけど臭いがさ」
「そうなの。2人とも生乾き臭と川の匂いがすごくて、依頼人が我慢してたのがおかしくて」
「オレは申し訳なかったけどねぇ」
あの時を思い出したのか、カカシが遠い目をするのでサクラはクスクス笑う。
我儘ばかりだった小さい3人の面倒を見るのはさぞや大変だっただろう。
大人になった時に何回愚痴を言われたことか。
それからサスケの里抜け、ナルトの修行、そしてサクラの弟子入り。
色んなことがあり、その時のことを話しながら焚き火を見ていると、今度は2人の姿が16歳と30歳になる。
「そういえば見て、これ」
「それ・・・」
「先生が私の16歳の誕生日にくれたネックレス。娘たちに棺に入れてねってお願いしてたから持ってこれたみたい」
サクラの胸元にあるのは、桜のネックレスで真ん中に翡翠の宝石が輝いている。
2人が付き合い始めた頃、最初の誕生日にカカシが贈ったものだ。
「これだけは絶対持ってきたかったの。カカシ先生からの初めて意味のあるプレゼントだったから・・・」
「サクラ・・・」
カカシは愛おしそうにサクラの名を呼んで抱きしめ、自分を魅了する大好きな翡翠の瞳に唇を落とす。
「本当よく似合ってる。それ見つけるのにすごい探し回ったからな」
「ふふ。ありがとう、先生」
2人は寄り添うように体をくっ付け、ただ焚き火を見つめた。
だんだん2人の姿は歳をとり、最後の姿になる。
皺が増え、髪も白髪が混ざり。
それは長い時間を一緒に過ごしてきた証。
「本当に幸せだった。好きな人と結婚して、最愛の宝物にも恵まれて」
「オレもだよ」
2人は見つめ合い、最後のキスをする。
カカシは立ち上がってサクラに手を差し伸べる。
「次も一緒になってくれる?」
「もちろん」
サクラはその手を取って立ち上がり、2人は離さないように固く手を繋いで光の方へと歩いて行った。
その方向に歩いていくと、そこには丸太に座り焚き火をしている愛おしい人が。
「せーんせ」
呼びかけると、その人は最後に見た姿と変わらない顔でこちらに微笑みかける。
「よー。遅かったな」
「カカシ先生が70まで生きろって言ったんでしょ。私、80まで頑張ったのよ?もうおばあちゃんなんだけど」
「その割には昔と変わらないな」
「そりゃこれがありますからね」
サクラは自分の額を指差す。
昔はコンプレックスだったと言っていた広いおでこの真ん中には、かつての師であり木ノ葉の五代目火影として活躍した綱手と同じ百号の印が。
「羨ましいねぇ。オレだけどんどん年取っちゃってさぁ」
「そういう先生だって他の人たちと比べて若かったじゃない。それより、あの2人はちゃんと来た?」
「あぁ、来たよ。サスケは挨拶だけしてとっとと行っちゃったけどな。ナルトはずーと居座って世間話してたよ」
両極端な2人らしいといえばらしいが。
サクラは不満そうに口を尖らせる。
「なんで私のこと待っててくれないのよ。2人の白状者ぉ」
「オレに気使ったんでしょ。二十数年ぶりの再会なんだから。ほら、ここ座りなよ」
「・・・うん」
丸太を叩くカカシにサクラは素直に隣に座る。
せっかく七班が揃う時だったから置いて行かれたのが寂しかったけど、カカシと2人きりにしてくれたサスケとナルトには今度会えたらお礼を言おう。
パチパチと爆ぜる焚き火を見ていると、2人の姿は12と26に変わっていた。
「なんかあっという間な人生だったわ」
「そ?」
「うん。気づいたらもう80だったから、本当あっという間」
「そっか」
その返答から、カカシにとってはそうでもなかったのだろう。
カカシの過去について、生前聞いたことがあった。
父親の自殺、親友の死、仲間を手にかけたこと、師を亡くしたこと。
どれもどれも自分には考えられない長い暗い人生だったはずだ。
サクラは暗い気分を晴らすために昔話をカカシに振る。
「ねぇ、覚えてる?私たちが下忍のときにナルトとサスケくんが橋の上で掴みあいの喧嘩してバランス崩して下の川に一緒に落ちちゃったこと」
「あー、あったあった。任務向かうときだったから急いで焚き火で乾かしたけど臭いがさ」
「そうなの。2人とも生乾き臭と川の匂いがすごくて、依頼人が我慢してたのがおかしくて」
「オレは申し訳なかったけどねぇ」
あの時を思い出したのか、カカシが遠い目をするのでサクラはクスクス笑う。
我儘ばかりだった小さい3人の面倒を見るのはさぞや大変だっただろう。
大人になった時に何回愚痴を言われたことか。
それからサスケの里抜け、ナルトの修行、そしてサクラの弟子入り。
色んなことがあり、その時のことを話しながら焚き火を見ていると、今度は2人の姿が16歳と30歳になる。
「そういえば見て、これ」
「それ・・・」
「先生が私の16歳の誕生日にくれたネックレス。娘たちに棺に入れてねってお願いしてたから持ってこれたみたい」
サクラの胸元にあるのは、桜のネックレスで真ん中に翡翠の宝石が輝いている。
2人が付き合い始めた頃、最初の誕生日にカカシが贈ったものだ。
「これだけは絶対持ってきたかったの。カカシ先生からの初めて意味のあるプレゼントだったから・・・」
「サクラ・・・」
カカシは愛おしそうにサクラの名を呼んで抱きしめ、自分を魅了する大好きな翡翠の瞳に唇を落とす。
「本当よく似合ってる。それ見つけるのにすごい探し回ったからな」
「ふふ。ありがとう、先生」
2人は寄り添うように体をくっ付け、ただ焚き火を見つめた。
だんだん2人の姿は歳をとり、最後の姿になる。
皺が増え、髪も白髪が混ざり。
それは長い時間を一緒に過ごしてきた証。
「本当に幸せだった。好きな人と結婚して、最愛の宝物にも恵まれて」
「オレもだよ」
2人は見つめ合い、最後のキスをする。
カカシは立ち上がってサクラに手を差し伸べる。
「次も一緒になってくれる?」
「もちろん」
サクラはその手を取って立ち上がり、2人は離さないように固く手を繋いで光の方へと歩いて行った。
64/159ページ