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◉ススキ

『パパだーいすき!ハルカね、おおきくなったらパパとけっこんするんだー』
『そっかー!パパ嬉しいなー!』



「いやー、懐かしいなー」

晴天晴れ晴れの日曜日。
珍しく全員が休みの今日、カカシがどこから出してきたのか昔の家族ビデオをリビングの大きなテレビに映し出している。
独り言なのか話しかけているのか分からないことをソファーに座って1人見ているカカシの言葉に、遠くから見ていたハルカは冷めた目をしていた。
自分の小さい頃の、しかも父親と結婚するなんて子供なら誰しも言うことではあるが、それを家族が集まる場所で堂々と見せられているのだ。
今年16歳になるハルカはそんな目をするのも当然である。
そんなハルカの心情を知ってから知らぬか、カカシはソファーに座ったまま振り返りハルカに話しかける。

「なぁハルカー」
「・・・なに」
「昔はパパと結婚するって言ってたけど、今ももちろんパパだよな?」
「は?サスケくんに決まってるでしょ」

ふん、とハルカは鼻を鳴らしてリビングから出ていった。
その目は、黒髪の教え子を彷彿とさせるような軽蔑した目。
近頃思春期のハルカはベタベタしてくるカカシに対してだけ反抗期で、冷たい娘に構ってもらおうとしてこの有様だ。
ガクッと首を落とすカカシは、気を取り直して床で弟のススキと遊ぶツクシに声をかける。

「じゃあツクシは」
「パパ以外」

キッパリ断言したツクシは積み木で遊ぶススキの頭を撫でて、自身の部屋に戻ったハルカの後を追うようにリビングを出て行った。
姉信者にとって姉が正しい。
次女までもが反抗期に入り、カカシは瞳に涙を溜めて一部始終見ていたサクラを見る。

「さく、サクラァ・・・」
「はいはい。もう。私が結婚してるでしょ?」

里を収めていたとは思えないほどの情けなさの夫にサクラは呆れたように笑って、カカシの頭を撫でようと手を伸ばして触れようとしたその時。

「ママーー!!」
「ん?どうしたのススキ」

サクラの手がカカシに触れることはなく、その手は床に座って遊ぶススキを抱き上げる。

「ボク、ママすきー」
「ママもススキが大好きよ」

サクラに頬を擦り寄せるススキと愛おしそうにススキを抱きしめるサクラ。
突然目の前で嫁と息子のイチャイチャを見せられて呆然としていると、ススキはチラッとカカシの方を見る。
そして目が合うとススキは2歳とは思えない顔でほくそ笑んだ。
思春期の娘2人には嫌われ、愛おしい嫁は息子に奪われ。
父親の宿命に、カカシは膝を抱えて1人泣いたのだった。


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