◉ツクシ
「行きたくない・・・行きたくない・・・」
晴天晴れの朝、玄関に座りぶつぶつと駄々っ子のように呟いているカカシ。
これから火影として雷の国に行き、視察や他の影との会談やらで1ヶ月家を空けなくてはいけなくなった。
そのことが決まってから出発の今日まで、こうやって落ち込むカカシの背中をサクラは励ますように叩いた。
「ほら、早く行かなきゃでしょ」
「だってさー・・・オレがいない間、サクラ1人で2人のこと見なきゃいけないんだぞ?ナルトも次の火影として連れて行くし」
「大丈夫よ。何かあったらいのも、綱手様もシズネさんもいるんだし」
カカシがいない間、里の運営のために前任である綱手が旅から帰ってくることになっている。
「でもさ〜・・・」
「もう!シカマル待ってくれてるんだから早く行きなさい!」
まだ駄々をこねるカカシにだんだんイライラしてきて背中を強く叩く。
外にはシカマルが迎えにきてくれているのだ。
船の時間だってあるのだからこれ以上遅れるわけにはいかない。
サクラの本気の怒りを感じてカカシは渋々立ち上がり、サクラの隣に立つハルカを抱きしめる。
「ハルカ、パパがいない間ママを頼んだぞ」
「うん!おみやげ、かってきてね!」
「あぁ。ツクシもママを困らすなよ」
まだ赤ん坊のツクシはカカシの言葉が分かっていない様子だ。
カカシは3人にキスをする。
「それじゃ、行ってくるよ」
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
「いってらっしゃーい!」
****
それから1ヶ月が経ち、今日はカカシが帰ってくる日。
カカシが我が家のドアを開けると、そこに床に座っていたハルカがカカシを見て嬉しそうに笑う。
「パパ!おかえりなさい!」
「ただーいまー」
飛びつくハルカをカカシも嬉しそうに笑って思い切り抱きしめる。
今日帰ってくると聞いてずっと玄関で待っていてくれたのかと思うと嬉しすぎて疲れなど吹き飛んでしまった。
「良い子にしてたか?」
「うん!ママのおてつだい、まいにちしたよ!」
「お!そんな良い子なハルカに、はい、お土産。雷の国限定のあんみつ。ママと1個ずつな」
「やったー!」
あんみつが入った容器を受け取りハルカはその場で飛び跳ねて喜ぶ。
母親譲りの甘党のハルカはサクラと同じくあんみつが大好物なのだ。
嬉しそうにしているハルカを見てカカシもニコニコしていると、廊下の奥から四つん這いでツクシが現れる。
「ツクシ!ただい──」
おいで、としゃがんで腕を広げようとして目の前の光景に固まる。
ツクシは壁を支えに立ち上がり、右、左と足を動かして、1回も転ばずに離れたところにいたハルカにぶつかりに行った。
カカシは目を丸くし、震える指でハルカのスカートを掴んでこちらを見てくるツクシを指差す。
「つ、ツクシが歩いた!!」
家を出る前は1、2歩歩いたらすぐに転んでいたのに。
口をパクパクさせていると、サクラが部屋の奥から現れる。
「パパ、お帰りなさい」
「さ、サクラ!ツクシが!ツクシが歩いてる!」
「え?あぁ、2週間ぐらい前かな?急に歩き出したの」
「え、ええー・・・」
子供の成長は早いとはいうけど。
まさかこのタイミングとは・・・大事な場面を見逃したことに悔やまれる。
しょうがないか、とツクシの頭に触れようと手を伸ばすと、ツクシはビックリしたようにハルカの後ろに隠れてこちらを訝しんでくる。
「え?」
「あー・・・今この子人見知りしてて、1ヶ月パパのこと見てないから忘れてるのかも」
「そ、そんなことあるか!?」
「あはは、パパどんまい!」
最愛の家族と1ヶ月離れて頑張って帰ってきたのにこの仕打ち。
雪崩崩れるカカシにサクラはなんて言っていいか分からない。
ハルカはおかしそうに笑ってカカシの背中を叩き追い打ちをかけている。
そして当のツクシはもしかしたらパパかもしれないと、ハルカの背中に隠れて泣いているカカシを観察していたのだった。
晴天晴れの朝、玄関に座りぶつぶつと駄々っ子のように呟いているカカシ。
これから火影として雷の国に行き、視察や他の影との会談やらで1ヶ月家を空けなくてはいけなくなった。
そのことが決まってから出発の今日まで、こうやって落ち込むカカシの背中をサクラは励ますように叩いた。
「ほら、早く行かなきゃでしょ」
「だってさー・・・オレがいない間、サクラ1人で2人のこと見なきゃいけないんだぞ?ナルトも次の火影として連れて行くし」
「大丈夫よ。何かあったらいのも、綱手様もシズネさんもいるんだし」
カカシがいない間、里の運営のために前任である綱手が旅から帰ってくることになっている。
「でもさ〜・・・」
「もう!シカマル待ってくれてるんだから早く行きなさい!」
まだ駄々をこねるカカシにだんだんイライラしてきて背中を強く叩く。
外にはシカマルが迎えにきてくれているのだ。
船の時間だってあるのだからこれ以上遅れるわけにはいかない。
サクラの本気の怒りを感じてカカシは渋々立ち上がり、サクラの隣に立つハルカを抱きしめる。
「ハルカ、パパがいない間ママを頼んだぞ」
「うん!おみやげ、かってきてね!」
「あぁ。ツクシもママを困らすなよ」
まだ赤ん坊のツクシはカカシの言葉が分かっていない様子だ。
カカシは3人にキスをする。
「それじゃ、行ってくるよ」
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
「いってらっしゃーい!」
****
それから1ヶ月が経ち、今日はカカシが帰ってくる日。
カカシが我が家のドアを開けると、そこに床に座っていたハルカがカカシを見て嬉しそうに笑う。
「パパ!おかえりなさい!」
「ただーいまー」
飛びつくハルカをカカシも嬉しそうに笑って思い切り抱きしめる。
今日帰ってくると聞いてずっと玄関で待っていてくれたのかと思うと嬉しすぎて疲れなど吹き飛んでしまった。
「良い子にしてたか?」
「うん!ママのおてつだい、まいにちしたよ!」
「お!そんな良い子なハルカに、はい、お土産。雷の国限定のあんみつ。ママと1個ずつな」
「やったー!」
あんみつが入った容器を受け取りハルカはその場で飛び跳ねて喜ぶ。
母親譲りの甘党のハルカはサクラと同じくあんみつが大好物なのだ。
嬉しそうにしているハルカを見てカカシもニコニコしていると、廊下の奥から四つん這いでツクシが現れる。
「ツクシ!ただい──」
おいで、としゃがんで腕を広げようとして目の前の光景に固まる。
ツクシは壁を支えに立ち上がり、右、左と足を動かして、1回も転ばずに離れたところにいたハルカにぶつかりに行った。
カカシは目を丸くし、震える指でハルカのスカートを掴んでこちらを見てくるツクシを指差す。
「つ、ツクシが歩いた!!」
家を出る前は1、2歩歩いたらすぐに転んでいたのに。
口をパクパクさせていると、サクラが部屋の奥から現れる。
「パパ、お帰りなさい」
「さ、サクラ!ツクシが!ツクシが歩いてる!」
「え?あぁ、2週間ぐらい前かな?急に歩き出したの」
「え、ええー・・・」
子供の成長は早いとはいうけど。
まさかこのタイミングとは・・・大事な場面を見逃したことに悔やまれる。
しょうがないか、とツクシの頭に触れようと手を伸ばすと、ツクシはビックリしたようにハルカの後ろに隠れてこちらを訝しんでくる。
「え?」
「あー・・・今この子人見知りしてて、1ヶ月パパのこと見てないから忘れてるのかも」
「そ、そんなことあるか!?」
「あはは、パパどんまい!」
最愛の家族と1ヶ月離れて頑張って帰ってきたのにこの仕打ち。
雪崩崩れるカカシにサクラはなんて言っていいか分からない。
ハルカはおかしそうに笑ってカカシの背中を叩き追い打ちをかけている。
そして当のツクシはもしかしたらパパかもしれないと、ハルカの背中に隠れて泣いているカカシを観察していたのだった。