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◉ツクシ

「ママって昔はサスケくんが好きだったんでしょ?」

家で洗濯物を畳んでいると、どこから引っ張り出してきたのかサクラの昔のアルバムを床に広げてツクシと見ていたハルカが聞いてきた。
ハルカもサスケのことが好きのはず。
どういう意図で聞いてきたのか分からなかったが素直に答える。

「そうよ」
「なら何でパパと結婚したの?」

直球な質問にサクラは苦笑いする。

「そうねー・・・なんでかしら」
「あー!はぐらかした!」
「もう。急にどうしたのよ?」
「だってママもイケメン好きじゃない。サスケくんの方がイケメンなのにどうしてかなーって」
「・・・それパパに言わないでよ?泣いちゃうから」

娘のナイフそのものの言葉に夫であるカカシが泣き崩れるのが容易に想像できる。
サクラは立ち上がって2人の隣に座り、アルバムを覗き込む。
そこにはスケア、カカシに撮ってもらった、嫌がるサスケの腕を組んで嬉しそうにピースをする自分の写真。
この時のことを今でも鮮明に覚えていて懐かしくて微笑む。

「・・・私がサスケくんに恋をしたのはアカデミーの頃。それからずっと好きで、同じ班になった時はすごく嬉しかったわ。そしてその時にカカシ先生・・・パパに出会ったの。最初は顔を半分以上隠して、自分のことは名前以外教えないし、いつも子供の私たちの前でいかがわしい本を読んでるし。しかもね、初めて会った時に私たちのこと『嫌い』って言ったのよ?」
「えー!パパひどい!」
「でしょ?でもね、それから一緒に任務に出てパパのすごさがどんどん分かったの。あんなに頼りないのに戦闘になったら誰よりも強くて私たちを守ってくれる。あの大きな背中はいつからか私の目標になったわ」
「それからパパのこと好きになったの?」
「・・・うーん、その時はまだサスケくんだったわね」

ふふ、と困ったように笑うサクラは昔を思い出すように目を細める。

「・・・暫くしてサスケくんとナルトがギクシャクし始めて、私は何も出来なくてずっと泣いたの。そしたら先生は『大丈夫。すぐ元に戻るよ』って言ってくれた。・・・結局私たちはバラバラになっちゃって先生はその時の根拠のない言葉を謝ってきた。でも私はその『大丈夫』の言葉をお守りに頑張れたの。多分その言葉がなかったら私は諦めてた。先生はナルトとサスケくんが居ない間、ずっと私の側にいてくれた。私が寂しくないようにずっと隣にいてくれた。そしたらね、何だかその距離が居心地が良いことに気づいちゃって。先生が隣にいない時はいつも探してた。それで、もしかしたら好きなのかもーって思ったってわけ」
「へー!で?で?ママから告白したの?」

キラキラした目で見てくるハルカにサクラは首を横に振る。

「ううん。パパから」
「え!」
「パパもママと同じこと思ってくれてたみたいで、ママも告白された時はビックリしちゃった」

照れた顔で笑うサクラにハルカも嬉しそうに笑う。

「ふふ!ママ嬉しそう!」
「そうねー。昔はパパと付き合って結婚するなんて想像も出来なかった。でもこうやってハルカとツクシに出会えたことがママは幸せなの!」
「きゃー!」

サクラはハルカとツクシを思い切り抱きしめると2人は嬉しそうに声を上げる。
そうやって3人で戯れていると玄関の方から「ただーいまー」と声が聞こえてツクシが「パパ!」と反応する。

「あれー。楽しそうだね。3人で何してたの?」
「ないしょー!」

ねー、と顔を見合わせて笑う2人。
ツクシはまだよく分かっていないが「ねー」と同調する。
そんな3人にカカシはつまらなさそうな顔をする。

「えー・・・じゃあパパもギューって・・・」
「先に手洗ってうがいしてきなさい!」
「はい・・・」

カカシも輪に入ろうとしたが指を指してハルカに怒られ、肩を落としてトボトボ洗面所に向かっていく。
そんな大きいようで小さい背中に、昔はこんな光景も想像出来なかったな、とサクラはまた幸せな気持ちに満たされていたのだった。


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