ファミリー(長編)
「「ハッピーバースデートゥーユー。ハッピーバースデーディアハルカー。ハッピーバースデートゥーユー」」
歌い終わり、薄紅色の髪の少女が大きく息を吸い込んで、ケーキに刺さったロウソクを吹き消す。
「3歳の誕生日おめでとう、ハルカ」
「ありがとー!」
「はい。どうぞ」
サクラがケーキを切り分けて渡すと、大きな灰色の瞳をキラキラ輝かせて。
フォークで思い切り刺し、大きく口を開けて頬張り嬉しそうに食べている。
「ついてる」
カカシがプニプニと柔らかい頬に付いたケーキの屑を指で取ると、ハルカは嬉しそうに笑ってまたケーキを頬張る。
今年はハルカの要望で、サクラ特製の苺たっぷりのショートケーキ。
サクラは満面の笑みで食べる娘に同じように嬉しそうに笑って、自分もケーキを口に運ぶ。
「なに?」
「いや。同じ顔で食べてるの可愛いなと思って」
見ていることに気づいたサクラは、カカシに目を細めて慈しむように笑いかけられ顔を染める。
「ママ、顔まっかー。どうしてー?」
「ねー。どうしたんだろうねー」
白々しく笑うこの男を殴りたい気持ちに駆られるが、娘の手前そんなことは出来ない。
サクラは自分のケーキをフォークで掬って、それをカカシの口に差し出す。
「はい、パパ。あーん」
「え。いや、オレは・・・」
「はい!あーん!」
有無を言わさないという顔で睨みつけると、カカシは諦めたように口を開けてケーキを食べる。
甘いものが苦手なことを知っているので、眉間に皺を寄せるカカシにサクラは満足気に微笑む。
「パパ、おいしくないの?」
「ん?いや、美味しいよ」
「じゃあ、パパあーん!」
無理して笑うカカシに、まだ無邪気な娘からのあーんにまた口を開けて先程より大きいケーキを招き入れる。
その様子に、サクラはクスクスと笑っていた。
****
「寝た?」
「うん。布団入ったらすぐ寝たわ」
ソファーでお酒が入ったグラスを片手に寛ぐカカシの隣に座る。
カカシはサクラ用に置いていたお酒を手渡してグラスを鳴らす。
「お疲れ」
「お疲れ様」
「それにしても、もう3歳か・・・子供の成長は早いねぇ」
「ね。この間産まれた気がするわ」
チビチビお酒を飲んで、懐かしそうに頬を緩ますサクラ。
そんなサクラにカカシは俯いて。
「ごめんな」
「え?何が?」
「あんまり一緒にいれなかったから」
カカシが何を謝っているのかサクラはすぐに分かった。
ハルカが産まれてすぐ、上忍であるカカシは1ヶ月以上の長期任務に出された。
その後も、度々長期で家を空けて、その間ナルトやサスケが様子を見に来てくれていたのだ。
「先生が忙しいのは最初から分かってたわよ」
「でもさ・・・」
まだ過去のことに落ち込むカカシの額をデコピンする。
そしてカカシにギューと抱きついて。
「サク・・・」
「忙しくても、ちゃんと私たちの誕生日には居てくれるじゃない。それって頑張って仕事終わらせてくれてるんでしょ?」
「うん・・・サクラとハルカの誕生日はちゃんと祝いたいからね」
「私はそれだけでも嬉しいんだからね」
カカシの胸に頬を擦り寄せるサクラ。
そんなサクラの髪を優しく撫でるカカシに表情はもう暗くない。
「でも」
「ん?」
「私たちだってパパの誕生日はちゃんと祝いたいんだから、自分の誕生日も覚えてよね」
サクラは胸から顔を上げて上目遣いで頬を膨らませ、カカシは申し訳なさそうに頭を掻く。
去年、すっかり自分の誕生日を忘れて任務を入れてしまい、2人にものすごく怒られたのだ。
「ごめんね?今年はちゃんと覚えとくから」
「もう。先生は自分のことに無頓着すぎるわ」
ぷりぷり怒る姿は、20歳になっても母親になっても変わらない。
そして2人きりのときにだけ昔の呼び方に戻る。
そんな可愛いサクラにムラっときたカカシは、サクラを押し倒して上着の裾から手を滑り込ませ。
「え、ちょっと、先生!?」
慌てるサクラにカカシは唇を軽く合わせ。
「したい」
「ダメよ、ハルカ起きてきたら・・・」
「はしゃいでたから大丈夫だよ。それに最近出来てないし」
「もう・・・」
こうなったらカカシが諦めないことを知っているサクラは身を委ねる。
カカシは微笑んで、差し込んだ手が胸に触れそうになったとき。
「ままぁ・・・」
リビングのドアが開くと共に、愛娘の呼ぶ声が聞こえサクラは飛び起きる。
「ハ、ハルカ、どうしたの?」
「トイレぇ・・・」
ハルカは誕生日プレゼント貰ったカカシ手製のパックンのぬいぐるみを抱えている。
「トイレ・・・じゃあ行きましょ」
「うん・・・いっしょにねて・・・」
まだ眠たげな声でサクラの手を握る。
トイレで起きたら隣にサクラがいなくて寂しかったらしい。
「分かったわ。それじゃあパパ、おやすみなさい。片付けお願いね」
「パパ、おやすみぃ・・・」
「あぁ・・・おやすみ、2人とも」
眠たげな眼で挨拶をするハルカに手を振る。
そしてドアが閉まるとき、カカシのため息が聞こえてきてサクラは苦笑した。
歌い終わり、薄紅色の髪の少女が大きく息を吸い込んで、ケーキに刺さったロウソクを吹き消す。
「3歳の誕生日おめでとう、ハルカ」
「ありがとー!」
「はい。どうぞ」
サクラがケーキを切り分けて渡すと、大きな灰色の瞳をキラキラ輝かせて。
フォークで思い切り刺し、大きく口を開けて頬張り嬉しそうに食べている。
「ついてる」
カカシがプニプニと柔らかい頬に付いたケーキの屑を指で取ると、ハルカは嬉しそうに笑ってまたケーキを頬張る。
今年はハルカの要望で、サクラ特製の苺たっぷりのショートケーキ。
サクラは満面の笑みで食べる娘に同じように嬉しそうに笑って、自分もケーキを口に運ぶ。
「なに?」
「いや。同じ顔で食べてるの可愛いなと思って」
見ていることに気づいたサクラは、カカシに目を細めて慈しむように笑いかけられ顔を染める。
「ママ、顔まっかー。どうしてー?」
「ねー。どうしたんだろうねー」
白々しく笑うこの男を殴りたい気持ちに駆られるが、娘の手前そんなことは出来ない。
サクラは自分のケーキをフォークで掬って、それをカカシの口に差し出す。
「はい、パパ。あーん」
「え。いや、オレは・・・」
「はい!あーん!」
有無を言わさないという顔で睨みつけると、カカシは諦めたように口を開けてケーキを食べる。
甘いものが苦手なことを知っているので、眉間に皺を寄せるカカシにサクラは満足気に微笑む。
「パパ、おいしくないの?」
「ん?いや、美味しいよ」
「じゃあ、パパあーん!」
無理して笑うカカシに、まだ無邪気な娘からのあーんにまた口を開けて先程より大きいケーキを招き入れる。
その様子に、サクラはクスクスと笑っていた。
****
「寝た?」
「うん。布団入ったらすぐ寝たわ」
ソファーでお酒が入ったグラスを片手に寛ぐカカシの隣に座る。
カカシはサクラ用に置いていたお酒を手渡してグラスを鳴らす。
「お疲れ」
「お疲れ様」
「それにしても、もう3歳か・・・子供の成長は早いねぇ」
「ね。この間産まれた気がするわ」
チビチビお酒を飲んで、懐かしそうに頬を緩ますサクラ。
そんなサクラにカカシは俯いて。
「ごめんな」
「え?何が?」
「あんまり一緒にいれなかったから」
カカシが何を謝っているのかサクラはすぐに分かった。
ハルカが産まれてすぐ、上忍であるカカシは1ヶ月以上の長期任務に出された。
その後も、度々長期で家を空けて、その間ナルトやサスケが様子を見に来てくれていたのだ。
「先生が忙しいのは最初から分かってたわよ」
「でもさ・・・」
まだ過去のことに落ち込むカカシの額をデコピンする。
そしてカカシにギューと抱きついて。
「サク・・・」
「忙しくても、ちゃんと私たちの誕生日には居てくれるじゃない。それって頑張って仕事終わらせてくれてるんでしょ?」
「うん・・・サクラとハルカの誕生日はちゃんと祝いたいからね」
「私はそれだけでも嬉しいんだからね」
カカシの胸に頬を擦り寄せるサクラ。
そんなサクラの髪を優しく撫でるカカシに表情はもう暗くない。
「でも」
「ん?」
「私たちだってパパの誕生日はちゃんと祝いたいんだから、自分の誕生日も覚えてよね」
サクラは胸から顔を上げて上目遣いで頬を膨らませ、カカシは申し訳なさそうに頭を掻く。
去年、すっかり自分の誕生日を忘れて任務を入れてしまい、2人にものすごく怒られたのだ。
「ごめんね?今年はちゃんと覚えとくから」
「もう。先生は自分のことに無頓着すぎるわ」
ぷりぷり怒る姿は、20歳になっても母親になっても変わらない。
そして2人きりのときにだけ昔の呼び方に戻る。
そんな可愛いサクラにムラっときたカカシは、サクラを押し倒して上着の裾から手を滑り込ませ。
「え、ちょっと、先生!?」
慌てるサクラにカカシは唇を軽く合わせ。
「したい」
「ダメよ、ハルカ起きてきたら・・・」
「はしゃいでたから大丈夫だよ。それに最近出来てないし」
「もう・・・」
こうなったらカカシが諦めないことを知っているサクラは身を委ねる。
カカシは微笑んで、差し込んだ手が胸に触れそうになったとき。
「ままぁ・・・」
リビングのドアが開くと共に、愛娘の呼ぶ声が聞こえサクラは飛び起きる。
「ハ、ハルカ、どうしたの?」
「トイレぇ・・・」
ハルカは誕生日プレゼント貰ったカカシ手製のパックンのぬいぐるみを抱えている。
「トイレ・・・じゃあ行きましょ」
「うん・・・いっしょにねて・・・」
まだ眠たげな声でサクラの手を握る。
トイレで起きたら隣にサクラがいなくて寂しかったらしい。
「分かったわ。それじゃあパパ、おやすみなさい。片付けお願いね」
「パパ、おやすみぃ・・・」
「あぁ・・・おやすみ、2人とも」
眠たげな眼で挨拶をするハルカに手を振る。
そしてドアが閉まるとき、カカシのため息が聞こえてきてサクラは苦笑した。