ファミリー(長編)
幼稚園が休みの土曜日。
いつものようにハルカの相手をしなから家事をしていると、仕事で問題が発生したと急な呼び出しがあった。
仕事場にハルカを連れていくわけにもいかないし、カカシはもう出勤していない。
どうしよう、とサクラは頭を悩ませているとまた来客がありドアを開けると同じく休みのナルトが遊びにきた。
ハルカの面倒を快く引き受けてくれたナルトに任せ、サクラはすぐ戻ると言って仕事場に向かっていった。
「いい、ふうふ」
「ん?」
ハルカとおままごとをして遊んでいた時、ハルカが急にそんなことを言うので見ると、ハルカはTVの方をジーと見ていた。
ナルトもTVを見ると、数日後に来る11月22日の良い夫婦の日は何をしますか、という街頭インタビューが映っていた。
「ああ、良い夫婦の日」
「って、なぁに?」
「えーと、仲が良いお父さんとお母さんの日かな」
「パパとママのことだ!」
「だね!でもカカシ先生、最近忙しいみたいだね」
「うん・・・かえってこないときもあるの」
「そっか・・・寂しいね。昨日も『サクラとハルカが足りない』とか落ち込んでたし」
うーん、と腕を組むナルトの服を引っ張る。
「ん?」
「あのね、ナルト──」
****
「お泊まり?」
2日ぶりに家に帰ってきたカカシ。
しかし帰り着いたのは日付が変わる頃でハルカは夢の世界に入っていた。
起こさないように寝顔を堪能し、久しぶりの夫婦だけの時間。
サクラの作ったご飯を食べて食後の温かいお茶を飲んで一息つく。
「そう。何かハルカが変にやる気で。ナルトとサスケくんとお泊まりするって」
「ふーん。でもサスケは今外だろ?」
「ナルトが手紙出したらすぐ帰ってくるって返事が返ってきたみたい。何だか申し訳ないわ」
「まぁ、サスケが言ったならお言葉に甘えてもいいんじゃないか?」
「・・・そうね」
カカシの言葉にサクラは頬をゆるめて頷く。
「しかし、せっかくこの日休み取れたから久しぶりに家族水入らずで過ごそうと思ったんだけどな」
「ハルカが絶対この日じゃないと嫌だって。何かあるのかしら」
首を傾げる2人はハルカの思惑など梅雨知らず。
11月22日の朝、ナルトとサスケが迎えに来て、着替えやおもちゃなどを詰め込んだリュックを背負って目を輝かせるハルカを見送りに出るサクラとカカシ。
「いい?我儘言って2人を困らせたらダメよ」
「わかった!」
元気に頷くハルカに逆に心配になるサクラは2人に申し訳なさそうにする。
「ごめんね、ハルカが」
「全然!ヒナタも様子見に来てくれるって言ってたから安心してくれってばよ!」
「お前が何かやらかすか心配なんだろ」
「あん!?そりゃお前だって同じだろうが!」
「なんだと」
「もう!なんでふたりはすぐケンカするの!ケンカはダメ!!」
「「ごめんなさい・・・」」
いつものように喧嘩し出す2人にハルカは腰に手を当てて怒る。
ナルトとサスケが申し訳なさそうにする光景はまさに下忍時代によく喧嘩をする2人を諫めるサクラを彷彿とさせて懐かしく思える。
しっかり者気質は遺伝されているようで、昔の自分を見ているみたいでサクラは少し恥ずかしそうにしていた。
「じゃあいってきます!パパとママはゆっくり、なかよくすごしてね!」
「・・・うん?行ってらっしゃい。気をつけてね」
元気に手を振るハルカとナルト、サスケを2人は見えなくなるまで見送った。
部屋の中に入ったサクラはソファーに座って大きく背伸びをする。
「んー、何か久しぶりにのんびりするかも」
「悪いな。いつも任せっきりで」
「何言ってるの。先生は私たちのパパでもあるけど、里の父でもあるんだから。忙しいのは最初から分かってたわ」
サクラは隣に座るカカシの肩にポンと頭を乗せる。
カカシはサクラの頭を優しく撫で、顔を近づける。
優しくキスをして顔を離し、そしてまたキスをする。
今度は深く、何度も。
「ん、んん・・・!」
濃厚さがどんどん増してきて、激しく絡まるカカシの舌。
ようやく唇が離れたと思ったら気づいたらソファーに押し倒され、カカシに覆いかぶさられていた。
口の端から垂れる涎を舌で舐めとるカカシの妖艶さに、サクラは夫婦になっても慣れず、心臓が飛び出そうなほどにドキドキしている。
「ちょ、せんせ、まだ朝・・・!」
カーテンレースから射し込む太陽の光に恥ずかしくなり、カカシの肩を押して体を離そうとするがそれを許すカカシではない。
「だってここ最近仕事が忙しくて帰れない日もあったし、帰れても疲れてすぐ寝てたからさ。もうサクラが足りないんだよ」
耳元に囁かれ、甘い低音と吐息に腰がゾクゾクする。
もう母親の顔ではなく、カカシがずっと見てきた愛おしい恋人のサクラ。
そんなサクラの表情にカカシは満足そうに笑う。
「それに」
そう言いながらカカシはまたサクラにキスをする。
「ハルカが仲良くしてって言ったんだからご要望に応えないと。ね?」
「それ、絶対意味が違うから・・・」
そう言いながらも、サクラはカカシの首に腕を回した。
****
「ヒナタちゃん、パパとママ、なかよくしてるかな!」
夕ご飯はハルカのリクエストでオムライスになり、ヒナタ手製の綺麗なオムライスにケチャップでハートの描いていく。
「うん、そうだね。してると思うよ」
微笑むとハルカは嬉しそうに笑い、ヒナタが描いたハートのオムライスを美味しそうに食べる。
すると、前から唸る声が聞こえてきてそちらを見ればケチャップを持ったナルトが難しい顔をしていた。
「ナルトくん、どうかした?」
「え、あー、ハルカちゃん描いてるんだけど上手く出来なくて・・・」
ナルトの言葉にオムライスを見ると、グチャグチャになっている人のようなイラスト。
「ナルト、へたくそね!」
「そ、そんなぁ・・・」
イラストを見たハルカはケラケラ笑いながらそう言うと、ナルトは泣きそうな顔をする。
ズバッと物を言う姿はまさにサクラそのもので、凹むナルトの姿を見ると昔を思い出してヒナタは小さく笑う。
もうナルトには興味はなくなったらしく、ハルカはTVを見るとまた良い夫婦特集が映っていた。
「あした、パパとママがどんなふうにすごしてたかきくんだー!」
「エッ」
「なに?ナルト」
シクシクとオムライスを食べていたナルトはハルカの言葉に固まる。
それはヒナタもで、困ったように目が泳いでいる。
サスケはというと、この話には関与しないと黙々とご飯を食べている。
カカシのことだ。
きっとあの後、思う存分えっちなことをしていることだろう。
もしかしたら今も満喫中かもしれない。
それを愛娘は聞こうとしているのだ。
カカシは動じないかもしれないが、サクラはどうなることか・・・。
何て言っていいのか、と腕を組んで唸るナルトにハルカは首を傾げ、目線をお茶を飲むサスケに向ける。
「ハルカね、パパとママがしたなかよしをね、サスケくんとしたいなって!」
「ぶっ!!!」
我関せずだったサスケはハルカの言葉に思い切りお茶を吹き出し激しく咳き込む。
「さ、サスケくん!」
ヒナタはサスケの横に座り背中を摩る。
「サスケくん、どうしたの?」
「は、ハルカちゃん!!」
また首を傾げるハルカの肩をナルトは思い切り掴む。
いきなりのことにハルカは目をまん丸くする。
「な、なに!?」
「それ、カカシ先生には言っちゃダメだってばよ!!」
「なんで?」
「え!?い、いや、ともかく!絶対だから!」
「うん・・・」
納得できてはないが、ナルトの気迫にハルカは頷くしかなかった。
カカシはサクラと付き合うようになってからもサクラに近づく男に目を光らせていた。
特にサスケがサクラといる時は視線だけで殺せそうなほどに。
それは結婚して愛娘が産まれてからは緩和されたが。
そしてカカシはサクラと同じぐらいハルカを溺愛している。
つまり、このことをあの人が知れば恐らくサスケの命はない。
この話はナルトとサスケ、ヒナタだけの墓場まで持って秘密となった。
いつものようにハルカの相手をしなから家事をしていると、仕事で問題が発生したと急な呼び出しがあった。
仕事場にハルカを連れていくわけにもいかないし、カカシはもう出勤していない。
どうしよう、とサクラは頭を悩ませているとまた来客がありドアを開けると同じく休みのナルトが遊びにきた。
ハルカの面倒を快く引き受けてくれたナルトに任せ、サクラはすぐ戻ると言って仕事場に向かっていった。
「いい、ふうふ」
「ん?」
ハルカとおままごとをして遊んでいた時、ハルカが急にそんなことを言うので見ると、ハルカはTVの方をジーと見ていた。
ナルトもTVを見ると、数日後に来る11月22日の良い夫婦の日は何をしますか、という街頭インタビューが映っていた。
「ああ、良い夫婦の日」
「って、なぁに?」
「えーと、仲が良いお父さんとお母さんの日かな」
「パパとママのことだ!」
「だね!でもカカシ先生、最近忙しいみたいだね」
「うん・・・かえってこないときもあるの」
「そっか・・・寂しいね。昨日も『サクラとハルカが足りない』とか落ち込んでたし」
うーん、と腕を組むナルトの服を引っ張る。
「ん?」
「あのね、ナルト──」
****
「お泊まり?」
2日ぶりに家に帰ってきたカカシ。
しかし帰り着いたのは日付が変わる頃でハルカは夢の世界に入っていた。
起こさないように寝顔を堪能し、久しぶりの夫婦だけの時間。
サクラの作ったご飯を食べて食後の温かいお茶を飲んで一息つく。
「そう。何かハルカが変にやる気で。ナルトとサスケくんとお泊まりするって」
「ふーん。でもサスケは今外だろ?」
「ナルトが手紙出したらすぐ帰ってくるって返事が返ってきたみたい。何だか申し訳ないわ」
「まぁ、サスケが言ったならお言葉に甘えてもいいんじゃないか?」
「・・・そうね」
カカシの言葉にサクラは頬をゆるめて頷く。
「しかし、せっかくこの日休み取れたから久しぶりに家族水入らずで過ごそうと思ったんだけどな」
「ハルカが絶対この日じゃないと嫌だって。何かあるのかしら」
首を傾げる2人はハルカの思惑など梅雨知らず。
11月22日の朝、ナルトとサスケが迎えに来て、着替えやおもちゃなどを詰め込んだリュックを背負って目を輝かせるハルカを見送りに出るサクラとカカシ。
「いい?我儘言って2人を困らせたらダメよ」
「わかった!」
元気に頷くハルカに逆に心配になるサクラは2人に申し訳なさそうにする。
「ごめんね、ハルカが」
「全然!ヒナタも様子見に来てくれるって言ってたから安心してくれってばよ!」
「お前が何かやらかすか心配なんだろ」
「あん!?そりゃお前だって同じだろうが!」
「なんだと」
「もう!なんでふたりはすぐケンカするの!ケンカはダメ!!」
「「ごめんなさい・・・」」
いつものように喧嘩し出す2人にハルカは腰に手を当てて怒る。
ナルトとサスケが申し訳なさそうにする光景はまさに下忍時代によく喧嘩をする2人を諫めるサクラを彷彿とさせて懐かしく思える。
しっかり者気質は遺伝されているようで、昔の自分を見ているみたいでサクラは少し恥ずかしそうにしていた。
「じゃあいってきます!パパとママはゆっくり、なかよくすごしてね!」
「・・・うん?行ってらっしゃい。気をつけてね」
元気に手を振るハルカとナルト、サスケを2人は見えなくなるまで見送った。
部屋の中に入ったサクラはソファーに座って大きく背伸びをする。
「んー、何か久しぶりにのんびりするかも」
「悪いな。いつも任せっきりで」
「何言ってるの。先生は私たちのパパでもあるけど、里の父でもあるんだから。忙しいのは最初から分かってたわ」
サクラは隣に座るカカシの肩にポンと頭を乗せる。
カカシはサクラの頭を優しく撫で、顔を近づける。
優しくキスをして顔を離し、そしてまたキスをする。
今度は深く、何度も。
「ん、んん・・・!」
濃厚さがどんどん増してきて、激しく絡まるカカシの舌。
ようやく唇が離れたと思ったら気づいたらソファーに押し倒され、カカシに覆いかぶさられていた。
口の端から垂れる涎を舌で舐めとるカカシの妖艶さに、サクラは夫婦になっても慣れず、心臓が飛び出そうなほどにドキドキしている。
「ちょ、せんせ、まだ朝・・・!」
カーテンレースから射し込む太陽の光に恥ずかしくなり、カカシの肩を押して体を離そうとするがそれを許すカカシではない。
「だってここ最近仕事が忙しくて帰れない日もあったし、帰れても疲れてすぐ寝てたからさ。もうサクラが足りないんだよ」
耳元に囁かれ、甘い低音と吐息に腰がゾクゾクする。
もう母親の顔ではなく、カカシがずっと見てきた愛おしい恋人のサクラ。
そんなサクラの表情にカカシは満足そうに笑う。
「それに」
そう言いながらカカシはまたサクラにキスをする。
「ハルカが仲良くしてって言ったんだからご要望に応えないと。ね?」
「それ、絶対意味が違うから・・・」
そう言いながらも、サクラはカカシの首に腕を回した。
****
「ヒナタちゃん、パパとママ、なかよくしてるかな!」
夕ご飯はハルカのリクエストでオムライスになり、ヒナタ手製の綺麗なオムライスにケチャップでハートの描いていく。
「うん、そうだね。してると思うよ」
微笑むとハルカは嬉しそうに笑い、ヒナタが描いたハートのオムライスを美味しそうに食べる。
すると、前から唸る声が聞こえてきてそちらを見ればケチャップを持ったナルトが難しい顔をしていた。
「ナルトくん、どうかした?」
「え、あー、ハルカちゃん描いてるんだけど上手く出来なくて・・・」
ナルトの言葉にオムライスを見ると、グチャグチャになっている人のようなイラスト。
「ナルト、へたくそね!」
「そ、そんなぁ・・・」
イラストを見たハルカはケラケラ笑いながらそう言うと、ナルトは泣きそうな顔をする。
ズバッと物を言う姿はまさにサクラそのもので、凹むナルトの姿を見ると昔を思い出してヒナタは小さく笑う。
もうナルトには興味はなくなったらしく、ハルカはTVを見るとまた良い夫婦特集が映っていた。
「あした、パパとママがどんなふうにすごしてたかきくんだー!」
「エッ」
「なに?ナルト」
シクシクとオムライスを食べていたナルトはハルカの言葉に固まる。
それはヒナタもで、困ったように目が泳いでいる。
サスケはというと、この話には関与しないと黙々とご飯を食べている。
カカシのことだ。
きっとあの後、思う存分えっちなことをしていることだろう。
もしかしたら今も満喫中かもしれない。
それを愛娘は聞こうとしているのだ。
カカシは動じないかもしれないが、サクラはどうなることか・・・。
何て言っていいのか、と腕を組んで唸るナルトにハルカは首を傾げ、目線をお茶を飲むサスケに向ける。
「ハルカね、パパとママがしたなかよしをね、サスケくんとしたいなって!」
「ぶっ!!!」
我関せずだったサスケはハルカの言葉に思い切りお茶を吹き出し激しく咳き込む。
「さ、サスケくん!」
ヒナタはサスケの横に座り背中を摩る。
「サスケくん、どうしたの?」
「は、ハルカちゃん!!」
また首を傾げるハルカの肩をナルトは思い切り掴む。
いきなりのことにハルカは目をまん丸くする。
「な、なに!?」
「それ、カカシ先生には言っちゃダメだってばよ!!」
「なんで?」
「え!?い、いや、ともかく!絶対だから!」
「うん・・・」
納得できてはないが、ナルトの気迫にハルカは頷くしかなかった。
カカシはサクラと付き合うようになってからもサクラに近づく男に目を光らせていた。
特にサスケがサクラといる時は視線だけで殺せそうなほどに。
それは結婚して愛娘が産まれてからは緩和されたが。
そしてカカシはサクラと同じぐらいハルカを溺愛している。
つまり、このことをあの人が知れば恐らくサスケの命はない。
この話はナルトとサスケ、ヒナタだけの墓場まで持って秘密となった。