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第五章

 流暢に喋るイカ……こんなことができるのはストーク博士しかいない。間違いなく刺客の一人だろう。テネアスはなぜ助けてしまったのだろうと頭を抱えてしまった。

「そうだ、もののついでに聞きたいんだけど、君くらいの年頃のテネアスっていう子を見かけなかった?」
「み、見てない……」

 幸い正体はバレていない。なんとかこの場をやり過ごして逃げようと考えるテネアスであったが……

「あらテネアス、一人で喋ってどうしたの? 買い物は済んだの?」

 間の悪いことに背後からやってきたセレネに声をかけられてしまった。
 こういう日を人間は厄日と呼ぶのだろう。テネアスは真っ白になる頭でそう思った。

「セ、セレネ!? 行方不明になったと思ったらこんなところに! それに今テネアスって……」
「その声はフィノ……!」
「ま、まさかわたしたちを裏切ったわけじゃないよね……? テネアスを捕まえるチャンスを伺ってただけだよね……?」
「許して、私はもう帰っても施設に戻されるだけだから……」
「わたしも一緒に博士に謝るから今からでも帰ろうよ、一生懸命お願いすればきっと博士も……」
「施設に戻さないでくれると思う?」
「……思わない」
「だよね……あの人は決めたら頑固だから……」
「でも、手柄を立てればわからないよ」
「それってもしかして……」
「大丈夫、セレネが捕まえたことにしてあげるから!」
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